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第3話「説明と自己紹介」



「……じゃあ、この"アルメシア"とかいう世界はどんなとこなんだ?」



魔法陣についての知見を得た青年二人。

次に片割れ、褐色肌で背の高い青年が今度は自分らの居るこの世界の事についてローブの人物に質問をする。


「ええ、アルメシアは……、豊かな自然と広々とした大海原が広がっています。そこに浮かぶ島や大陸に私達人間が暮らしているのです」

「また森や洞窟、平原、空などには動物の他、スライム、オーク、ゴブリン、ドラゴンなどといった"モンスター"が生息していますね」

「………因みにモンスターというのは、基本我々へ危害を加える凶暴な存在で、普通の動植物との違いに"邪気"を持つか持たないかといった点があります」

「へぇー、なーるほど。……で? それ以外になんか知ってるのか?」


青年は、話の中で自分が知りたい情報が少し手に入るとすぐに話の続きを促す。


「勿論……。次にここで暮らす人々は皆、なんらかの職に就いており、大半の方が"冒険者(ぼうけんしゃ)"と呼ばれる職に就いております」

「そして、この世界には幾つもの国がありまして、中でも全大陸に一つずつ大国とされる国家が点在しています。ここ"バーディア帝国"もそれに含まれるといってまず間違いありません」

「それと、身分は大きく分けて三つありまして……一番高いのが"王族"で、私達平民がその下、最も低いのが"奴隷"ですね」


ここまで青年へ説明すると一息置き、再び話を再開する。


「…………ああ、あとは"暦"ですが、このアルメシアにおいては基本的に、"サンバル暦"という暦を使用します」

「サンバル暦は一年365日でひと月が約30日〜31日。七日で一週間と決まっているので、覚えておくと良いでしょう」


そうして今度はアルメシアに存在するという暦について解説した。


「サンバル暦、か……"西暦"とほぼ同じと見て良いみてぇだな」


サンバル暦なる暦の事を聞いた背の高い青年が、それが地球の西暦と殆ど同じであると理解し馴染みのある暦と同様に日数等を把握できる事に少しだけ安堵する。


「ちなみに今日の日付はサンバル暦でいうと……"627年9の月27の日"、となりますね」


さらにローブの人物はそのサンバル暦で表記した際の今現在の日付を明かした。


「………これくらいでしょうか、あの……自分の話は少し長くなりますので、アルメシアについてもっと詳しい事が知りたい場合は、街にある図書館などに行って調べてみてはどうでしょうか?」


より細かい説明を求められたローブの人物は太眉毛の青年たちに、アルメシアという世界の情報をある程度教え終わった後もう少し詳細な知識を手にしたいのなら図書館等で調べるよう彼らへ勧める。


「そうか……、分かった」


青年はまだまだ聞き足りなさそうな表情をしつつも、一応話を理解したと返事をした。


「おい!? "冒険者"って言ったなッ!? も、もしかしてソレって、探検家のようなモノなのかッ!?」


するとその時、背の高い青年の後ろにいた太眉毛の青年が少し大きな声でローブの人物に聞く。


「え、……ええ、冒険者も探検家と同じく様々な危険が伴う場所に行ったりしますが……、探検家ほど冒険要素はありませんよ?」


彼の言葉に太眉毛の青年は大喜びして喋る。


「おおッ! やっぱりそうかッ! いやーワクワクしてきたぞッ!! ……なぁ相棒!」


青年はそう言うと前方にいる背が高い青年の肩に手を置き馴れ馴れしく話しかける。


「いや何でオレがお前の相棒になってんだ、……そして今は全ッ然ワクワクしてないからなぁ?」

「ワクワクしてないのかッ!?」


後ろにいる太眉毛の青年に相棒と勝手に呼ばれた彼は、面倒くさそうな表情で言った。


その後、背の高い青年は再びローブの人物の方向に向き直り話を再開させる。


「……オレたちは勇者としてここに呼ばれたんだよな?」


背の高い青年がローブの人物に確認を取る。


「はいそうです。先程この私が言った通りあなた方は、近いうちに復活してこのアルメシア全土を支配しようとするであろう"魔王"を倒す為の勇者としてこの私が召喚しました」


はっきりと重大な言葉を告げるローブの人物。

その言葉を聞いた背の高い青年は何やら額に手を当てて考え出し、太眉毛の青年は驚きすぎて尻餅をついた。


「ま、まま魔王〜〜〜!!? やっぱいるのかァ!? この世界にはァッ!?」

「……勇者とやらがこの世界にはあるらしーからもしかしたらとは思っていたが……、あーあ、こりゃ面倒な事になっちまったぞー」


ローブの人物は二人の反応を見て多少引き気味な顔をしつつも、話を最後まで続ける。


「無論今この状態でそのまま倒しに行くという訳ではありませんよ。……魔王が復活するまでは最低でも残り数ヶ月の時間の猶予があって、勇者はその期間中に修行をして魔王を倒せる強さを身につけるのです」

「しゅッ、修行だとッ! 俺は毎日"四時間"は筋トレをしているぞッ! だから今の俺ならスライム程度なら倒せるんじゃないかッ!?」


太眉毛の青年は自分の顔を指差し、自慢そうな表情をして言った。


「そ、そうですか……、ところで? まだお聞きしていなかったのですが……あなたのお名前は?」


ローブの人物は太眉毛の青年に尋ねる。


「俺は"東洋五郎(とうよう ごろう)"っていう名前だッ! よろしくな! えーーーと、そっちはッ?」


東洋五郎と名乗った青年に聞かれるとローブの人物は被っていたフードを取り、丁寧に自分の名前を口にする。


「……、私の名は"コルトン・ランガー"と言います。この"バーディア帝国"にて"召喚術士"を務めておりますので、お二人ともよろしくお願い致します!」


そして、二人が自己紹介をしているのを聞いたのか背の高い青年も自分の名前を言った。


「……"北本修二(きたもと しゅうじ)"だ、まぁよろしく頼むわ」


三人全員で自己紹介をすると、北本がそう言えばと言ったような視線を後ろの方向へ送る。

その方向には……、何やらブツブツと寝言を発しながら爆睡している眼鏡をかけた"青年"が居た。


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