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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
冒険者編

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第35話「デザートダイル」



「暑い! なんだこの暑さはーッ!!」



公国を出ておよそ一時間が経過、場所は公国の周囲に広がるルガロ砂漠。

東洋はそこで、今回の討伐依頼の対象である"デザートダイル"という魔物が何処にいるかを探していた。


「クソ! どこにも見当たらないッ! デザートダイルとやらは、確か"昼行性"の魔物だと依頼書には書いてあったというのにッ!」


しかし、砂漠に来てからそれなりに時間が経過しているが、標的の姿は一向に見つからない。その事を彼は疑問に思う。

依頼の説明を念頭に入れているのに、何故全く姿を現さないのか、と。


(そ、そうだ! 焦っているから見つけられないんだッ! 立ち止まって気を落ち着かせればきっと一匹ぐらいは……)


このままでは一向に先には進めないと考え、冷静さを取り戻す事にした東洋は歩みを止めて心を落ち着かせてみる。


ザーーーーー………!


するとその直後、東洋の近くから砂が流れるような音が聞こえてきた。


(ッ! 何か聞こえて来る……! こ、この音は、まさか! 段々と俺に近付いて来ているのかッ!?)


その音が自分に接近しつつあると感じた東洋は、咄嗟に飛び退き周囲を警戒し始める。


(ど、何処から来るんだ!? この音の正体は一体何なんだッ! ………んん!?)


辺りに注意を払っていると、彼の視界に数十センチほど盛り上がった砂の塊のようなものが映り込み、鈍いスピードでこちらに近付いて来ていた。


「うおぉ! これは!? ………敵か!? モンスターかッ!? そうだ、一応この刀で刺してみるかッ!」


地面から隆起したソレを見て驚きつつ、即座に東洋は左腰に帯刀していた"長斬刀"を抜き、塊目掛けて突き刺した。


バウゥッ!


すると、砂の塊が突如動き始めたかと思えばどんどん盛り上がっていき、直後上部の砂が流れ落ち体長2メートル程の薄茶色の大きなワニが正体を現した。


「……! こッ、コイツは! 茶色の体色に2メートル前後の身長……そして何より、昼に姿を見せているという事はッ!」

「………やはりデザートダイルで間違い無いな! 依頼書に書かれていた通りだ、随分と探したがよーやく見つけたぜッ!」


即刻長斬刀をワニから引き抜いた東洋は、砂の塊がこれまで探していたデザートダイルだと理解して少しだけ喜んだ。


「さぁ、来いッ! デザートダイル!」


彼が言うのと同時にデザートダイルは大きな顎をガバッと開けると、そこから数十センチ前後の砂の物体が生成され次の瞬間勢い良く東洋に向けて発射された。


「………何ッ!? おわッ!?」


思わぬところからの攻撃に少し驚きつつ咄嗟に東洋は射出された大きな砂の物体を紙一重で避け、素早い身のこなしで敵のそばへ回り込んだ。


(危なかったぜッ! よし今だ、食らえッ!!)


東洋はデザートダイルがまだ気付いていない事を把握すると、右手に構えた刀を大きく振りかぶり頭部を斬りつけようとした。


ブンッ!


「……!? くッ! こ、これは尻尾(・・)か!? 厄介だなッ!」


しかしその瞬間、デザートダイルの尾が突如として彼の居る位置へ振られる。

間一髪のところで東洋は長斬刀を使い防御。

なんとか難を逃れた。


「………ふッ! これで仕留めたと思ったが甘かったか、流石ワニ……、なかなか強いぜッ!」

ブオォォ……!


尾の一撃を避けた後、攻撃を仕掛ける前の位置に戻り呟いていると、今度は敵の大顎から緋色に燃え盛る火炎が放出される。


「ッ! な、何だこれは!? ………炎ッ!?」


デザートダイルが吐いた火炎は凄まじい範囲に広がり、あっという間に東洋の目と鼻の先にまで達した。


(……クソ! 逃げようにもこの距離じゃあ避けきれないッ! 一体どうすれば……! 考えろ俺ッ!!)


迫り来る火炎放射をどう対処すれば良いか、東洋は僅かな時間の中考えを巡らせるが全くといっていいほど最善の策が思いつかない。


(……! あぁ、もう火が目の前に……。なんて事だ……まさかこんなところでくたばる事になるなんてッ! 自分でも本当に情けないと思うぜッ!)


必死に考える東洋だが、視界全体にまで広がっている火の手を見て自分自身の身体的な弱さを悔いる。

そして、そのままなす術も無くデザートダイルの火炎で焼き尽くされる、

かと思われたが………。


キュィィィン!!


(…………。んぬ? 炎が消えた……? あれほどまでに燃え広がっていた火が急に……? それに今の音はまさか……"技能殺し(スキルイーター)"かッ?)


聞き覚えのある高音が辺りに鳴り響き、火炎が跡形も無く消える。

眼前で起きたこの光景を目の当たりにした東洋は驚愕するが、サボテンの姿をした魔物と戦った時の事を思い起こし、炎が消えた原因は"技能殺し(スキルイーター)"なのかと考えた。


(いや、先程の火炎が魔法かスキルによるものとは考えにくい……。だとしたら一体何故"技能殺し(スキルイーター)"が発動したんだッ……?)


しかし"技能殺し(スキルイーター)"が炎を打ち消したのなら、火炎放射自体が何らかの魔法かスキルによるものでなければ無効化する事はまず出来ない筈だと東洋は推察。

"技能殺し(スキルイーター)"が何故発動したのか、しばらく疑問に思った。


(ええい、これじゃ埒があかんッ! とにかく今はデザートダイルだッ!)

(……! あれは見た感じまた炎を出そうとしているようだが……、結構時間がかかっているようだなッ! よし! チャンスだッ!)


だが長く原因が不明な事を考えてもただ冗長になるだけだと見切りをつけ、デザートダイルとの戦闘に注力する事にする。

再び敵の方へ視線を移すとあちらは口に炎を溜めている最中。

これを好機と考え彼は長斬刀を両手に持ち、刃先を前に向け特攻した。


ブオォォ!!


デザートダイルは炎を蓄えている隙をつかれた事に驚きながらも、刀を構え向かって来る東洋をまた尾で振り払おうとした。

だが、それよりも早く東洋は後方に回り込み、刀で刺突する構えを取り……。


「喰らえッ! これが俺の……必殺・死角疾突(しかくしとつ)ッ!!」

ザァンッ!


次の瞬間デザートダイルの尾から頭部まで隼の如きスピードで一突きし、そのまま反対方向へと突き抜けた。


ブォォグァァ!


敢え無くデザートダイルは砂漠の果てまで伝わりそうな断末魔を残して絶命し、身体が真っ二つに裂け四肢が千切れて辺りに血飛沫を撒き散らした。


「………ふぅ、デザートダイル。なかなかの相手だった! だがどんな奴だろうと俺は負けるわけにはいかないんだッ! あと二匹……張り切ってやるぜッ!」


何とも無残な状態となったデザートダイルを見て東洋が告げると、残り二匹を探しに砂漠地帯を歩いて行った。



◇ ◇ ◇



「おっしゃー! ようやく最後のデザートダイルを倒したぞーーッ!!」



約二時間後………残り二匹のデザートダイルを探し討伐し終えた東洋は戦闘の疲れを癒してから、満面の笑みで砂漠中に響き渡りそうなほど達成感のこもった雄叫びをあげた。


「よーし、公国へ帰るぞー………って、お? ……冒険者カードが光っている?」


そのまま彼は街へ戻ろうと思ったが、その時布袋にある冒険者カードが薄く発光していた為取り出して確認してみた。

……すると、カードに刻まれたステータスが変化している事に気付き、早速それを確認する。


【名前】 東洋 五郎

【性別】  男性

【種族】  人間

【職業】 冒険者

【年齢】  18歳

【体調】  健康

【Lv】    3

【HP】   252

【MP】   5

【ATK】  140

【INT】   12

【RES】  131

【DEF】  130

【SPD】  95

【CHM】  78

【MOT】  103

【LUK】  150

【DEX】  55

【総合力】 970


東洋のステータスはLv(レベル)を始めとした全項目の数値が幾らか上昇していた。


(う、うおおおぉぉぉぉッ! 何か俺のステータス少し上がっていないかッ!?)


この変化を知った東洋は舞い上がり、デザートダイルとの戦闘によってLv(レベル)が上がりステータスの数値が増えたものだと自覚する。


「はははは! 気分が良いな! 決まりだッ! ……このまま公国に着くまで全力疾走だ! やる気が出てきたァーーーッ!!」

ダダダダダッ!!


砂漠の太陽に照らされながら東洋は言い残し、街入口が見えてくるまでの間上機嫌で猛ダッシュして行った。


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