第27話「C級モンスターとの戦い」
「マリバ! ……!! こいつらは!?」
馬車の後方で何かがぶつかるような大きな音を聞いた北本は、その音の原因を確かめに行ったマリバに合流した。
だが彼の真正面に居たのは体長およそ1メートルほどの4頭の紺色の狼だった。
「北本さん! あいつらは魔物です!! 恐らくあの魔物共が馬車にぶつかったのでしょう!!」
北本が現場に駆けつけた後、マリバは前に居る紺色の狼たちを見ながら奴らは魔物だと教える。
「そうか! やっぱコイツらは魔物だったか!! ……チッ、面倒くせぇ!!」
マリバから前方にいる狼の魔物こそ馬車の揺れを引き起こした犯人だと知らされた北本は面倒くさそうに軽く舌打ちをした後、戦闘態勢に入った。
「……! 北本さん!! あまり油断はしないように気をつけて下さいよ!! あの魔物……レブルウルフたち はスライムやゴブリン、オークよりも強い部類の"C級モンスター"に入る魔物です!!」
北本ら二人に今にも襲い掛かろうとしている紺色の体毛をした狼の魔物たちを注視していたマリバは名前と共に、周辺でよく見かける魔物よりも強い"C級モンスター"に該当するということを北本に伝える。
「C級だと……? 確かに気が抜けねぇな! ……てかあの魔物共は"レブルウルフ"って言うのか。アイツらがC級モンスターだということはそこら辺の魔物よりもさぞ強いんだろう!!」
マリバに教えられ、レブルウルフたちを見定めている北本は呟くと、C級モンスターに分類される魔物がどれくらいの強さなのか少しだけ気になった。
「ええ、C級のモンスターは総合力が最低でも1000以上はあります! なのであのレブルウルフたちも、並みの冒険者では倒せないほどの戦闘力はあるはずです!!」
真剣な面構えでマリバは、レブルウルフの高い総合力を北本に説明した。
「並みの冒険者じゃぶっ倒せねぇのか……、そういやオレ、今"E"ランクなんだけどなぁ……。なんかアイツら倒せるか自信無くなってきたわー」
マリバからC級モンスターの平均の総合力を聞いた北本は、現在の自身の冒険者ランクがEランクだという事を思い出すと深い溜息をついた。
「えっ? 北本さんの冒険者ランクはEランクなんですか? ……そうですか、確かに……Eランク冒険者だとあの頭数のレブルウルフを相手にやるには少々厳しい戦いになりそうですが……」
「けど、ご安心下さい! この私も戦いますので!! きっと二人でやれば大丈夫ですよ!!」
北本から今の冒険者ランクを聞いたマリバはEランク冒険者がC級モンスターと戦うと少し苦戦を強いられることを口にした後、北本一人では無く自分も戦闘に参加する事を自信満々に宣言した。
「……そうなのか。そりゃ助かるけど……んっ!? 来たぞ!!」
マリバと話していた北本は、正面のレブルウルフがこちらに向かって走り出したのを見て咄嗟に身構えた。
「北本さん! 私は右の二頭をやります! 左の方は任せましたよ!!」
「……あぁ! わかった!!」
マリバは北本に正面左側に居るレブルウルフの二頭を倒す事を頼むと、自身の腰に携帯していた鞘から細身の刀身の剣を取り出して構え突撃して行った。
(さて、倒せるかわからねぇけど、頑張ってみるか!!)
レブルウルフと戦う覚悟を決めた北本は、背中に納めている大振りの剣を手に持つと全速力で二頭の方へ駆け出していった。
◇ ◇ ◇
(……くっ! コイツらっなかなか強えぇなっ!! オレの"幻影"での移動を読んでやがるのかっ!?)
戦闘が始まってから暫し、北本は"幻影"を駆使しながら彼らと戦っていたが、幻影使用時の移動が読まれているのか中々彼の攻撃が当たらず、防戦一方となっていた。
(……チッ!! 幻影での移動だけだと、奴等の間合いに近付けても攻撃が当たらず避けられる!!)
(……参ったなぁー。どうすりゃあ良いんだー?)
北本はこの戦況に少しの間悩まされたが、ふとある攻撃方法を思いついた。
(……! こうすればいけるか!!)
有効的な攻撃手段を考え終わった北本は早速レブルウルフの近辺まで移動し、直後"幻影"を使って攻撃をすり抜けながら二頭のうちの一頭の背後に回り込んだ。
(上手く背後を取れたぜ……よし、"幻影"解除!!)
そしてレブルウルフの後ろで北本は幻影状態を解除すると、素早くその真上へ跳び上がり持っていた剣で胴体部分を突き刺した!
「……幻影急襲突。オレの必殺技のつもりで使ってみたが名前を付けるならこんなところか………」
北本は先程までの一連の攻撃手段を必殺技と捉え命名した。
北本の剣で突き刺されたレブルウルフは、急所を刺し貫かれ断末魔を上げる間もなく絶命する。
(……よし、やっと一体目!! あとは……ん!?)
レブルウルフ二頭のうち片方を見事倒した北本だが、剣を引き抜き視線を前方に戻した途端もう片方が彼に接近し口から火を吐いたのを目の当たりにした。
「はっ!? おいおいマジかっ!?」
北本はそれに驚きながらも、咄嗟に後方へ飛び退いてレブルウルフから距離を取った。
「はあああっ!!」
するとその直後、横からレブルウルフに向かってマリバが凄まじい速度で駆け寄り手に持っている細身の剣で斬り伏せた!
「……ふぅ、これで3体目か。あっ! 北本さんも終わりましたか?」
レブルウルフを斬った剣に付着した血を振り払い、マリバは北本に話しかけた。
「ん、あぁ……なんとか倒せたが……?」
マリバの問いかけに若干返す言葉を迷いながらも討伐したことを告げる北本。
「おおー! そうですか!! お強いですねぇ!!」
北本がレブルウルフを倒した事を聞くとマリバは、彼の強さに感激をしているかの如き口ぶりで話した。
「いやそれはこっちの台詞なんだが……。マリバ、お前他の2体も倒したんだろ? 本当お前は何者なんだよ……」
しかし北本は、彼の台詞はむしろ自分が言いたいと話した。
北本が倒した一頭以外のレブルウルフをマリバは全て一人で倒す事ができたからだ。
「……そうですかね? 騎士団員の中でもまだまだ自分は半人前だと思っているんですがね……」
北本に指摘されても、マリバは自身が強いということを認めようとしない。
「……ん? おいマリバ。今騎士団員って……?」
しかしその時急に出てきた"騎士団"という言葉が北本の動揺を誘う。
何とも急に話された"ソレ"に属していると言ったマリバ。彼のこの一言を聞き逃さなかった北本は、呆然としながら彼へ尋ねる。
「え? ああまだ伝えておりませんでしたか、すみませんね。……はい、私こうみえてフィブリア騎士団に所属する"騎士"として活動しているのです」
キョトン、としながらもマリバは自身がフィブリア騎士団に入っていることを北本に伝える。
やはり、というべきか彼はこれから北本が入団を目指す"フィブリア騎士団"に所属していたのだ。
「や、やっぱりな……だからレブルウルフを三体もやれるのか……」
これを聞いた北本は改めて、マリバの強さを凄いと心から感じた。
◇ ◇ ◇
馬車の移動より、さらに数時間が経過した。
「……ここがカルアーノか!」
二人を乗せた馬車はようやく、目的地の王都・カルアーノに到着した。
客車から降りるなり、北本は早速背伸びをして口にする。
(……なかなかに広いとこだな! さて、ここの一体何処に騎士団の場所があるんだ?)
北本はカルアーノの周りを見回して感想を呟くと、騎士団の本拠地がどの場所にあるのか考え早速目的の騎士団入団を目指し移動を開始した。




