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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
冒険者編

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第14話「図書館」



「すげぇなー、まるでヨーロッパに来たみてぇだな……」



門を通った後、北本は足を止めて周囲を見渡し、街の外観や雰囲気を感じ取り感想を呟いた。

……すると、彼はある事に気付く。


「…………?」

(……ん? あれ、何かオレちょっと見られてね……?)


北本のそばを通り過ぎて行く人間の大半が、彼の着ている制服を物珍しそうに見ていたのだ。

彼は転移者、こことは異なる世界から来た。

衣服も顔立ちも他より浮いている。現地の人間から奇異の目で見られるなんて当然だろう。


(や、やっべ……そういやあオレ、制服だったな。そりゃ変な奴みてーに見えちまうか……。って、それよりまずはこの世界の情報を知らねえと……)


それに気付いた彼は、若干恥ずかしく思いながらも次に取るべき行動を考える。


(効率よく知識を得るには、本を読んで頭に吸収する。それが一番手っ取り早い。いや待て、肝心の書店の場所が分からん)

(んーー……、ま、取り敢えず情報収集か。この世界のこともコルトンの奴から少し聞いたが、まだ分からねぇことが多すぎる……。今オレがやるべきことはそれだ。…………よし、決まりだ!)


こうして北本は目的を決めると、再び街の中を歩き出し、今自分に必要な情報を探し始める。



◇ ◇ ◇



(……さて、ここが"図書館"か?)



あれから、街中を練り歩き情報をかき集めた北本は、街の中に建てられた図書館へやって来ていた。


「おー」

(扉の真上にデカデカと"図書館"って、何故か漢字で書いてあったから入ってみたが、意外に広いな……。もう少し狭いもんかと思ってたが………)


両開きの木の扉を開け中へ入ると、そこには数メートル程の高い本棚が四つ一直線上に奥まで果てなく広がっていた。

これが図書館、現実世界とあまり相違は無い内装に、北本は感心する。

また、入り口の扉すぐ横には、受付員らしき女性が二人いた。


(……今から目当ての本を探すのは、なかなか骨が折れそうだ。仕方ねえ、面倒くせぇけど……受付に聞いてみるかー)

「……おい、この図書館でちょっと調べたいことがあるんだが、良いか?」


北本が思い立つと、受付の机の前まで移動してその二人に話しかける。


「………んっ! はっ、はいっ!? "シレーノ"図書館へようこそっ!!」


しかし、女性の一人は彼に話しかけられたことに驚き、多少慌てた様子で応対した。

どうやら眠気に襲われ集中が切れていたようで、顔を見ると目元にシワがより、口元に少し涎の跡がついている。


「……ん? この街は"シレーノ"っていうのか。なんというか、すげぇ覚えやすいな。ふん、おもシレー(・・・)じゃねぇの………」


受付にしては気が抜けているのではないか、そんな事はさておき彼女の言葉のある部分に北本は引っかかった。

それは街の名前だった。初めて聞いたがまさに異世界らしさ全開の名だ。

その名を声に出して覚える北本。

さりげなくギャグを口にして、受付の反応も楽しむ。


「………? あ、あの……どうかしましたか?」

「チッ、滑ったか……。あぁいや、此処って"シレーノ"という街で合ってるか?」


しかし彼女はそれを聞いていなかったのか、キョトンとした顔で見つめる。

思ったのと違う、ほんの少し不満を抱くが、仕切り直して彼は話題の街について改めて聞き直す。

そのとき最初舌打ちしていたが、聞こえていないのか、女性は普通に接する。


「はい、この街は"シレーノ"といいますが? ………あ! もしかしてあなたは旅のお方ですか?」

「………! まあ、そんなもんだよ。この街には来たばっかだから、まだ名前とか知らなくてな……」


街の名を再び知らせる受付だが、同時に彼女からこちらの事情を大体言い当てられる。

思わず北本は一瞬目を丸くする。

しかし、転移者だとバレれば面倒だ、と彼はすぐに平静を装い、彼女の言う通り旅人という設定にしてはぐらかしつつ返答した。


「そうなんですかぁ、大変ですねー」

(……ふぅ、面倒事に巻き込まれるのはゴメンだからな。できれば転移者だと気付かれないようにしねえと……)


彼女に無事バレずに済んでひとまず彼は安堵する。

そして、心の中でこの世界にいるあいだは、極力自身の素性を隠すことを決める。


「まあな……、あぁ、あとこの国の名前も教えてくれるか?」


街の事を聞き終えた北本だったが、もののついでに国の名も聞いてみる事にした。

シレーノがある国の名を、受付の女性へ尋ねる。


「……はい! お教えしますね。この国の名前は、"フィブリア王国"といってこの世界の北部の大陸に広大な領土を持つ、平和を愛する国です!」

「へぇ、"フィブリア王国"か。悪いな、そっちも教えてくれて」


北本の求めに応じ、彼女は丁寧に国名と、それに関する情報を教えてくれた。

相槌を打ち納得した様子で、北本は受付へ感謝を伝える。


「…………で、本題に入るが」

「えっ、調べたいことがあるって言ってたじゃないですか!?」


……と、ここまではついでとして聞いた話。

北本の本来の目的は、図書館の利用。地域情報を知りたくて来たのではない。

だが、その言葉を聞いた受付の女性はわかりやすく戸惑う。


「なに言ってんだよ。オレが調べてーのはそれだけじゃねえ……、アルメシアの色んな情報が載ってる本なんだよ」

「ぐ、具体的にはどんな……?」

「オレが知りたいこと、調べたいこととかが載ってる本を読みたいんだ。例えばこの世界にはどんな国があるのかとか……、どんな武器や防具があるのか……。あと、どんな魔物がいるのか、とかな。もうこれでわかったろ?」


冷静な表情で、北本は事情を話す。

彼はこの図書館には、異世界アルメシアでの知識を吸収すべく、本を読みに来たのだ。


「な、なるほど、そうですか……。分かりました。では早急に探させていただきますね! しばらくお待ち下さい!」


彼の目的を把握した受付は返事すると、くるりと向きを変えて移動。

その先にいる、常に沈黙している物静かな同僚女性に小声で囁き、彼女を手早く本棚の方に向かわせた。


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