表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
勇者召喚編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/269

第10話「秩序の欠片」


「アンタが、創造神だと……?」

「そっ、私は君たち三人が召喚された世界"アルメシア"を作った張本人さっ★」


アデン、と名乗る男は北本の問いに肯定すると、格好つけなのか両手を腰に置いてドヤ顔で彼を見る。


「マジかッ!? ……信じられんぞッ!?」


東洋は焦った表情を見せながら首を横に振り、アデンに言った。


「えー? ……この"亜空間"は私が作ったやつなんだけどなー。それに、S級モンスターの"フォレストベアー"にやられちゃった君たちを生き返らせて、ここまで移動させたのも私のおかげさ★」


アデンは周りの白い空間を一度見やり、少し困惑したような顔で東洋を見て口にした。


「おおッ、あの巨大な熊の魔物は"フォレストベアー"と言う名前なのかッ!?」

「ああ、そうさっ★ 安直な名前だけど、アレでも森の王者と呼ばれてるんだよ?」


アデンは東洋の質問に答えながらフォレストベアーの二つ名について明かす。


「おいアデン、って言ったか………?」

「……何かな?」


すると、二人のやり取りに無言で耳を傾けていた北本が声をかける。

自分の事だと思ったアデンが北本の方を向き、彼の話を聞く。


「アンタが"創造神"って……それ、本当か? 正直言ってにわかには信じ難いんだが? オレらと同じで"死んだ奴"だったりするんじゃねぇの?」

「………言われてみれば、そ、そうだ! 確かに神じゃなくて"死人"かもしれんぞ! この男はッ!!」


彼はアデンが本当に神なのか信じられないようで、自分らと同様の存在なのではないかと訝しむ。

これを聞いた東洋も、北本の言う通りだと彼を指差して叫ぶ。


「ふう、仕方ない。なら特別に見せてあげよう」


しかしアデンははあ、とため息を吐くと、何やら左手を上下左右に動かし始めた。


「……? 何をしてんだあの人は?」

「い、一体何だ!? 何かしようとしているのかッ!?」


その様子を見た二人は咄嗟に身構えて、アデンを警戒する。


「………"東洋"君と"北本"君、そんなに私を怪しまなくて良いじゃないか………」

「…………!?」

「………は!? んなッ!? な、な……何で俺たちの名前を知っているんだ!?」


次の瞬間、アデンが口にした言葉に、二人は揃って驚愕する。

それは、まだ名乗ってもいない自分達の名前。

それをすでに知られている、となっては動揺するなという方が無理な話だ。

ますます二人は彼へ怪訝の目を向ける。


「君らがこの世界へ来る以前から、この空間でずっと君たちを観察してたのさ★ 名前ぐらいは分かるものだよ」


淡々と告げるアデン。

その言葉を聞いた東洋と北本の二人は、諦めたのか警戒を解く。


「…………。はあ、これ以上言っても無駄みてぇだな……。そんなメチャクチャな能力持ってるとか……どうやらアンタは本当にアルメシアの創造神様らしい………」

「そ……、そうだな北本ッ、オレたちがまだ言ってもいないのに、見事に名前を当てられてしまったなッ!!」


彼が神だということを信じることにした彼らは、内心焦りを覚えながらもおとなしく彼との話を聞く事にする。


「信じてくれてありがとっ。………さてと、あまり時間が無いみたいだし、そろそろ伊村君を起こしてあげようかなっ★」


アデンは礼を述べると、伊村が倒れている場所に向かって歩き始める。


「……! 伊村を起こすのか? アイツは結構強引にやらねぇと起きないタイプだぞ?」


伊村を起こさせた経験のある北本が、少し懸念を示しながらアデンに忠告する。


「いや、物理的に起こす気は無いよ? 私はこう見えて暴力とか争い事は嫌いなんでねっ★」

「………? 直接じゃないなら一体どうやって起こそうというんだッ? まさか伊村の耳元で大声で叫ぼうというつもりなんじゃッ!!?」


耳元で言うと伊村の鼓膜が破れてしまうのではないかとアデンのやり方に不安を覚える東洋。


「まあ、見てなって〜。………ほんの一瞬だからさっ★」


アデンは最後に小声で呟くと東洋と北本の二人の間を通り抜け、伊村がいる場所の手前まで歩いて行った。


「zzzzzz…………」

「……にしてもアイツ、こんなどこなのか分からん場所でよく寝られるな………」


完全に熟睡している伊村を眺め、北本は呆れ気味に呟く。


「………"意識覚醒"・ON」


一言、呟くと伊村に向けて右手をかざし、集中するように目線を伊村へ向け続ける。


「zzzzz………ッ!?」


するとしばらくして、目を閉じて眠っていた伊村の目が急に開き、スッと立ち上がった。


「え、……な、何だっ!? えええ!? どこ此処ォ!?」


伊村は何故自分はここに居るのかが分からず、わかりやすく慌てふためいている。


「やあ、……伊村君っ。やっと起きたか★」


そんな彼を起こした人物であるアデンは、彼の名前で呼びかけ挨拶する。


「ちょ? あ、あなたは誰? そしてここはどこ? ……ていうかおれの名前をなぜ知っているんです? なぜおれは生きているのです? 死んだはずなのn」

「……どうやら、私に聞きたいことが沢山あるようだね。まぁ一つ一つ私の口から説明してくから、取り敢えず落ち着いて聞きたまえ★」


アデンは伊村の話を途中で遮ると、質問の答えを簡潔ながら説明し始めた。



◇ ◇ ◇



「…………まあこんなところかっ。どうだ? 今の状況を理解できたかい?」

「はっ、はい……、なんか信じられない話ですがなんとか………」

「………いやそこは信じろって(笑)」



アデンは伊村の信じられないという言葉に微笑しながらツッコミを入れた。


「………、話は終わったか?」

「うおおお! 伊村ァッ! お前起きるのが遅いぞッ!!」


北本と東洋の二人がアデンの横に並びアデンと伊村に目を向けて聞いた。


「あぁ、早いとこ終わらせたよ……。さて、伊村君も起こしたし、そろそろ、君たちへの用事を済ませるかな★」


アデンはこのように口にすると、伊村の方へ視線を移す。


「伊村君? 大丈夫かな?」

「なっ、何ですか……? アデンさ……様?」

「いや私への呼び方は普通にアデンさんで良い………、それより、君ちょっと北本君らの近くに行ってくれないか★」


アデンは北本の方を指すと、伊村に移動を促した。


「へっ? わ、分かりました………」


彼の言葉に従い、伊村は北本と東洋のもとへ歩み寄る。


「さて……、君たちをここに呼んだのは当然訳がある…………」


すると、アデンは先程までのテンションを少し変え、冷静な口調で語り出す。


(……何だ? さっきまでとはまるで態度が変わったようだが?)


北本も彼の変化に少し疑問を感じるが、ひとまずは心の奥にしまっておくことにした。


「というのも、君たち三人にある頼みがあるからだ…………」


淡々と北本たち三人に告げたアデン。

北本と東洋、そして伊村は頼みと言われて少し動揺しつつも、彼の話を聞く。


「君たちへの頼み、それは……このアルメシアの世界に散らばっている、"秩序の欠片"というアイテムを集めてほしい事なんだ……」


北本たち三人を真剣な眼差しで見つめながら、彼が口にした言葉……。

それは、こんな要求だった。


「ち、"秩序の欠片"………? 何だソレ?」

「欠片だとぉ!? 全部嵌めれば完成する……パズルというヤツかッ!?」


アデンの言った"秩序の欠片"というアイテム、欠片……から"パズル"を連想する東洋。

彼の言葉を聞いた北本はやはりズレてるなと思いつつ、アデンの口にした秩序の欠片というのが何なのか思案し始める。


「……"秩序の欠片"? 名前に秩序が付くってことは何か重要なアイテムなのでは? それを創造神たるアデンさんが集めてほしいって事は………まさか」

「そう。察しが良いな伊村君………。"秩序の欠片"とはその名の通り世界の秩序……つまりアルメシアの平和や均衡を保つ作用がある……。神のみが持つことを許された結晶・"秩序の結晶"がバラバラに砕け散った破片の事さ」

「わかりやすいように、今さっき僕が考えてそう名付けてみたんだけど、これがアルメシアにはざっと数えて"50個以上"はあるようなんだ………」


秩序の欠片の名前の意味を理解し、どんなアイテムか考察した伊村を評価すると、アデンはソレの詳細を語った。


「………なるほど、平和や均衡を保つ……か、そんなのが何十個もあんのか………」

「……うーん? その"秩序の結晶"とやらが何故砕け散ったのかが少し疑問に感じるな! 一体なぜそうなったんだッ?」


北本は多少面倒に思いながら"秩序の結晶"の効果を復唱する。

東洋も秩序の結晶がバラバラとなった原因は何なのか気になっている様子。


「………、少なくとも私がバラバラにした訳ではでは無いよ? けど同じアルメシアの神(・・・・・・・)の誰かが破壊しやがったって事はほぼ確実だろうな………」


アデンは握り拳の力を少し強めながら、悔しそうな表情を少し見せる。


「……で、これからその秩序の欠片というのをおれたち三人で集めてこいと……?」

「………ああ、君たちを生き返らせてあげたその見返りとしてやってもらいたいんだ★ あ、でも心配しないで、この世界の時間は君らがいた世界の時の流れとは全く異なっている……。何年かかってもいいから頼んだよ★」

「それと、次死んだら"もう二度と"今回のように生き返らせる事はできないから十分気をつけてくれよ。……さて、何か不安とかはあるかな?」


ここまで説明したアデンは全てを見透かしたかのような表情をして彼らを見下ろす。


「………あのー、少し言いにくいんですが、お……、おれに………」


すると、その中で伊村が少し勿体ぶりながら、自分の言いたいことを口にしようとする。


「うーん、そうだな〜。私に頼みがあるというのなら、まず先に秩序の欠片を集めることを、君たち全員が今ここで約束してくれないか? 話はそれからにしようっ★」


再び元の口調へと戻ったアデンが口にすると、北本と東洋の方にジロリと視線を移す。

彼の視線を見た北本と東洋は意図を察し、伊村の近くにまで近付いていく。


「約束? そんな面倒くさそうな事やんなきゃいけねぇのか………」

「まあ、こんなことになってしまったのなら、仕方がないさ! アデンッ、あんたの頼み、引き受けるぜ!!」


二人はアデンの近くまで寄って行き、合流した伊村と共に秩序の欠片収集を約束した。


「よし……、じゃあ、そろそろおれの頼みも聞いてくれますかっ?」

「ああ、そうだね★、どんな頼みかなっ?」

「単刀直入に言います! おれに…………ス、"スキル"を下さいっ!!」


伊村はぺこりと頭を下げ、アデンに頼み込んだ。

彼の頼みは"スキル"、これを欲しいと言ったのだ。


「………は? 頼みってそれかよ!」

「はッ!? 伊村ッ!?」


彼の一言に北本と東洋は思わず驚く。


「それが君の頼みか?」

「はい、おれはこの二人とは違って何一つスキルを持っていない………。だからこの先、この世界でもせめて死ぬ事が無いように、何かスキルを頂ければ、と………」


真剣な表情で伊村は言い、アデンへと申し出る。


「へぇ、なるほど、いいよ。分かった。ではちょっと待っててくれよ★」


するとアデンは伊村をその場に待機させると、懐から緑色の水晶玉を取り出し、何やらブツブツと唱え出した。


「………おい、あれは一体何をしているんだ?」


この様子を見た北本が一言呟く。


「もしかしたらッ! 伊村のヤツのスキルをアレで探しているんじゃないかッ?」


緑色の水晶玉を指差して東洋が口にする。


「お………おおっ! 今スキルを作っているんですね!?」


伊村はこれを面白そうに凝視しながら、アデンに聞いた。


「………いや、作ってはいないさ、君に似合うスキルを探している(・・・・・)のさっ★」


アデンは伊村の言葉に応えると、間も無く水晶玉から視線を外し、伊村の方へ向き直る。


「お、終わったんですか? おれのスキルは………」

「ああ、君には"音速化"と"身体能力強化"をプレゼントしよう★」


アデンは伊村へ二つのスキルの名前を教える。


「お、"音速化"と、"身体能力強化"………?」

「ああ! ………"音速化"は使用すると君のSPD・つまり速さが大幅に上がる。追い詰められた時の切り札として使用すると良い★」

「"身体能力強化"はその名の通り、使用すると君のステータスが"二倍"と言えば二倍に、"三倍"と言えば三倍、"五倍"と言えば五倍にパワーアップさせる事ができる! もしそのままのステータスじゃあ勝てない場合に使用すると戦局を大きく変えたり出来るのさ!!」


多少自慢げに、アデンは伊村のスキルを解説した。

その効果はとても強力。一度発動すれば戦闘が有利に運ぶ代物だった。


「お、おおぉぉっ! ………ほ、本当にありがとうございます! おれなんかの為に、こんな素晴らしいスキルを下さるなんて! 感謝してもしきれないです!!」


自分用のスキルを用意してくれた事に感動をあらわにする伊村。

アデンへ感謝を述べて、さっそくそのスキルを頂くことにする。


「はい、この右手にあるのが"音速化"。そしてもう一方の左手にあるのが"身体能力強化"さ、遠慮なく受け取るんだ」

「わ、わかりました! では左手にある"身体能力強化"から!」


どちらがどのスキルかを聞いた伊村は、迷いもなく選ぶ。

先に選択したのは左の手にあるとされるスキル、左手で赤色に発光しているエネルギーに触れることで受け取り、その後青色に発光しているエネルギーにも手を近付け、両方のスキルを貰い受けた。


「よし、これでもう君は自由にその二つのスキルを使うことができる★」

「ありがとうございます! 大事に使わせていただきますっ!!」


伊村はアデンに対して最大限の感謝を述べる。

よほど嬉しいのか、彼は少し飛び跳ねながら笑顔を浮かべている。


「……スキルの話は終わったか?」


ここまで、伊村とアデンのやり取りを横から見ていた北本が口を挟む。

彼らへ尋ねて、次の話に進めようとする。


「はい、すっごく便利なスキルを頂きました!」

「うおおおお! そうか! 良かったな伊村ッ!」

「…………さて、君たち、そろそろ時間が無い」


なぜか左手首に付けていた腕時計を見ながらアデンが呟く。

どうして時計?そんな疑問も抱く間も無く、彼は三人の方を見て手品をするかの如く忙しなく両手を動かす。


「え? 一体何をしてるんです?」

「これから君らを………"アルメシア"へバラバラに戻す」

「………転送陣メタスメント!」


伊村の戸惑いをスルーしつつ、アデンは声高らかに宣言する。

なんと彼らは今からまた別の場所へと移動させられるというのだ。


「じゃあ、またいつか会おう……、特に伊村君」

「なっ……、まだ聞きたいことがあるんだg」


突然"魔法陣"が現れ、北本が一瞬にして姿を消す。


「おッ!? おおいッ!! せ、せめてどこに転移させるか教えてくれy」


ヒュン!

今度は東洋の身体が一瞬で消える。


「えっ!? あっ、あのっ!! ちょっとまだ質問があr」


ヒュン!

伊村は前者二人よりもインターバルが短く、彼の身体が一瞬にして消え去った。



* * *

           


(………。"闘気"。伊村君……君にはその資質があるようだね★ 使わないままなのは勿体ないから、………その力、引き出させてもらったよ)



東洋、北本、伊村の三人がいなくなった亜空間。

アデンは彼らのうち、最後に転移魔法で飛ばした"伊村"に"闘気"という何らかのエネルギー的な名をした概念の素質を持っていると考え、伊村本人のいないところで、その力を使えるようにしておいたと思考する。


(………まぁ別に引き出さなくとも、君ならいずれその"存在"に気付くかもしれないけどねっ★)


ただ、それをせずとも伊村の方が自覚する時が訪れるだろうとアデンは彼の行く末に希望を抱く。


(とにかく……、彼らの今後の活躍が楽しみだよ……★)


最後にアデンは、彼だけでなく北本、東洋の二人に対しても、これからの成長、躍進を大きく期待する。

そうして、安心したように頬を少し緩めると、亜空間からスウゥ……と霧に靄がかかるように姿を消していったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ