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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
義賊団と王国の闇編

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第98話「初めての破壊」

はい! 連続投稿三発目です!

9時50分までに全部投稿しますのでよろしくお願いします!!



「ふぇっ!? う、うわあぁぁぁっ!?」

ヒュウウウーーーン!!!



アデンの転移魔法陣の上に立っていた南野は、白く眩しい光に包まれながら、再び異世界・アルメシアの大地へとその身を移した。


しかし次の瞬間、彼女の身体は思わぬ方向へと引き寄せられていた。


転移した先は……なんと地上ではなく、上空のど真ん中。数十メートルはあろうかという高度から、一直線に落下していったのだ。

当然、下に着地するものと思い込んでいた南野にとって、状況を理解する暇すらなかった。


ドグァーンッ!!!


(……う、うぅぅ……痛ぁぃ……。こ、ここは……?)


レンガ敷きの道。そこに巨大な陥没痕が刻まれていた。

南野はおよそ10秒ほどの空中遊泳を経て、建物に囲まれた市街地のど真ん中に墜落したのだった。


(…………見る限り、そこらじゅうに建物がある……ってことは、ここ、街? あれ……?)


舗装された地面に両手をついたまま、南野舞衣はゆっくりと体を起こす。辺りを見回せば、大小さまざまな建物が並び、道を行く人々がいた。まぎれもなく都市の一角……市街地のようだ。


だが。


「あれ……なんで……?」


視線を感じる。しかも、ただの好奇ではない。

道行くほぼすべての人々が、明らかに彼女へ向けて目を見開き、息を呑んでいるのだ。


(そりゃ確かに空から人が落ちて来たら、びっくりはすると思うよ!? けど……)


その反応にしては、どこか違和感がある。

驚いているというよりは、引きつった顔。恐怖や警戒に近い表情が多かった。


(な、なんなんだろう……。まったく……)

「ーーるか! ……おい、そこの小娘! 聞こえているかと言っているんだ!!」


そのとき、怒声が響いた。


「……っ!?」


舞衣が振り返ると、そこには華やかな装飾を施された馬車。

その最前列に座す、貴族然とした中年男。横には屈強な護衛らしき男たちがずらりと控えていた。


「あなた達は誰?」


まずは名を名乗ってほしい。

舞衣は自然と、初対面としてごく真っ当な疑問を口にする。


「なっ!? 生意気な態度を取るな貴様!! この方をどなたと心得るか!!」


護衛の一人が激昂し、口角を吊り上げて睨みつけてくる。

男の隣にいる貴族風の中年もまた、じろりと舞衣を見下ろしていた。


「……え、すみません。誰なのか本当にわからないけど……もしかして、あたし邪魔だったかな? だったら退きますね」


一歩下がり、自然と頭を下げる舞衣。だが……

中年男の表情が、見る間に憎悪に染まっていった。

足元の石畳は、舞衣の落下の衝撃で大きく陥没していた。

それを目にした貴族風の男は、唇を歪めて言い放つ。


「……汚らしい下民が……。どこからやって来たかは知らんが、この私に無礼な振舞いを取るだけでなく、街の歩道をも破壊するとは……」


凍てつくような視線を向けてくる男。

その声には、見下しと怒りが交じっていた。


「“アストラル王国”、王都ガルスの領主・“マルクス=スレンサー”殿から賜ったこの街と、貴族たる私の威厳に傷をつけた罪は重いぞ!! ……護衛兵共、あの下民を殺すのだ!!」


「ザザザザザッ!!」


金属音が連鎖する。舞衣の周囲を、数人の護衛兵たちが囲む。

抜き放たれた剣が、冷たい音を立てた。


(囲まれた!? ど、どうしよう……。確か、今のあたしのステータスって……)


焦りを覚えながらも、舞衣は記憶を掘り返す。バーディア帝国での修行中に確認した、自身の成長した数値を……


【名前】 南野 舞衣

【性別】  女性

【種族】  人間

【職業】  無職

【年齢】  15歳

【体調】  健康

【Lv】    17

【HP】   680

【MP】   264

【ATK】   508

【INT】   312

【DEF】   437

【SPD】   485

【CHM】   262

【MOT】   238

【LUK】   221

【DEX】   474

【総合力】  3,381


「……今のあたしのステータスだったら、もしかしたら何とかなるかもしれないけど……」


南野は、水晶に映る自分の現在ステータスを改めて見つめる。

かつては自信の欠片も持てなかった数値たちが、今ではしっかりとした力としてその身に根付いていた。

特に総合力は以前の三倍以上。

並の兵士なら、少なくとも怯える必要はないだろう。

そう思った矢先……


「……いやいや! 流石に油断はできないよね!!」


彼女は自らの思い上がりに気づいた。

敵は街の貴族を護衛する兵士たちだ。ただの町人や盗賊とは訳が違う。鍛え上げられた彼らを相手にして、油断するなどもってのほかだった。


「………。そうだ! アデンさんがくれた“破壊者(デストロイヤー)”を使ってみよう!!」


一瞬の思考のあと、彼女の脳裏にかつてアデンから与えられた強力なスキルが閃いた。

その効果は……視界内の自分と同等かそれ以下の大きさの無機物を、瞬時にして消し去る能力。


「えーと……スキルの説明はたしか……『“破壊者(デストロイヤー)”:攻撃対象に向けて使用すると、跡形もなく破壊可能。対象は視界に入る無機物で、自身と同等かそれ以下のサイズ。レベル上昇により効果対象拡大』だったよね……」


南野は思い出すように呟きながら、周囲を見渡し、狙いを定める。

そして、護衛兵の一人が携えていた鋭い剣に意識を集中させた。



「“破壊者(デストロイヤー)”!!」



強く、はっきりと叫んだその瞬間……


カッ!! バシュゥーンッ!!


「……ん? お、オレの剣がっ!?」


その兵士の手元で、一瞬だけ紫光が迸ったかと思うと、剣は砂のように砕け散り、霧の如く消滅してしまった。


「………!!? 剣が、壊れた……! 間違いない……! “破壊者(デストロイヤー)”の効果だ!! 凄い……こんな事ができるなんて!!」


スキルの威力を目の当たりにした南野の目が見開かれる。信じられないような光景に、心が踊った。

しかしその感動も束の間──


「なっ!? 勝手に壊れたぞ!? あの女! 一体何をしたんだっ!!」

「何かのスキルを使ったに決まってるだろう!! 全員でかかればあんな小娘ごときすぐに仕留められるぞ!!」

「おおおおーーー!!」


怒声と共に、護衛兵たちが一斉に南野へ襲いかかる。

その人数は六人を下らず、たとえもう一度スキルを使ったとしても、すべてに対応することなど不可能だった。


「嘘……ど、どうしよう! “破壊者(デストロイヤー)”を使うにも数が多すぎる!! こ、こうなったらこの剣で戦うしか……」


覚悟を決めかけたその時だった。



「………おい! こっちだ!!」

ガシッ!!

「え、……ちょ、えええーーーーーっ!?」



突然、左手首を掴まれ、南野の身体が大きく引き寄せられた。

目を向けてみれば、彼女の手を持つのは20代程の青年だ。

一体今度は誰なんだ?

……などという疑問すら抱く間もなく、南野は謎の青年にそのまま抱えるように引っ張られ、兵士たちの包囲網から抜け出していくのだった。


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