第9話「神との邂逅」
* * *
「………ぐっ! ………んん? んぬ、はッ!? ここは……どこだ!? ま、まさかあの世かッ!?」
あれから暫しの時が経ち……
辺り一面が白で統一された不思議な空間で、東洋は一人意識を取り戻す。
「一体どうなっているんだ……! …………。……え? な、何ッ!? あ、あの時やられた傷が、な、治っているぞッ!?」
仰向けの状態から飛び起きた彼は、状況の変化に戸惑う。
ここはどんな場所で、なぜ自分はここに……、そういった疑問を浮かべる。
だがその時、彼は身体に違和感を覚える。
先程の熊のモンスターにより攻撃を受けた事が原因で負った傷、自分の腹の方へ目を向けると、なんとソレは完全に治癒しており、何の問題もなく身体を動かせる程ダメージがなくなっていた。
(どういう事だ………確か俺はあの時……、デカい熊の魔物にやられて……、ってことはやっぱり俺は死んだんだなッ!? ここは黄泉の国の入り口かッ!?)
ここはどこだと慌てふためく東洋は今いるこの真っ白な空間のことを先の不可解な事実と併せ死後の世界かと捉え、自分は既に死亡したということを悟った。
(……いや、なら待てよ! 死人の俺がここにいるってことは……、まさか他にも死んだヤツがいるのかッ!?)
ヒュンッ!
「……!? あ、あれはッ!?」
すると、東洋から数メートル離れたところが青白く光り出す。
しばらくすると光が消えていき、その場所には横たわった状態の北本がいた。
「き、北本ッ!? あ、あれはアイツで間違いないッ!」
東洋は彼の名前を叫び、ドタドタと駆け寄る。
「うおおおい! 北本!? しっかりしろォ!! 死んではいないよなッ!?」
北本の側まで着いた東洋は大きな声で北本に呼びかける。
すると、程なく北本の身体は少しだけ痙攣を起こした後、瞼を開けてゆっくりと立ち上がった。
「………はぁー、だれの声かと思えばお前か。やかましーぞ東洋」
「……!! お、おう! 良かった! 北本、お前よく生きていたなッ!!」
彼が意識を取り戻した事に、東洋は安堵の息を漏らす。
◇ ◇ ◇
「生きていた……? 何言ってんだお前? オレはあの時、熊の奴に返り討ちにされて死んだんだ。東洋、お前のすぐ後に………」
意味がわからないといった感じで北本は東洋の言葉に異議を唱える。
「………そ、そうだったのかー!? ……待てよ? よくよく考えれば確かにそうだなッ!? 死んだ筈の俺がここにいて、お前もここにいるってことはお前も死んだ事になるな!!」
東洋は北本の話を理解し、北本が自分と同じく既に死んでいる事に気付いた。
「……にしても東洋、此処は一体どこだ? そして伊村はどうなったんだ? アイツはどこ行ってんの?」
「い、いやーソレなんだが、この近くを探してもどこにも居なくてだな………」
先程から姿が見当たらない伊村のことについて彼は何処に行ったのか東洋に聞いた北本。
しかし東洋も彼がどこにいるのか分からないと首を横に振る。
「………じゃあ、アイツまだ生きてるのか? ここにいねぇってことは、きっとそうだよな?」
「あぁ! そうだということを信じようッ!!」
「信じる………か、まぁアイツのことは一先ず後回しだ。とにかくこの場所は一体なんなのかが重要だな………っ!?」
北本が話し終えると、急に彼は右方向を向いて目を見開く。
彼は少し身構え、その方向を凝視。
……直後、北本の右手側すぐ近くの地点が黄色く光り始める。
「……!! 何ィ!? またアレかッ!?」
それを見た東洋は北本と同様に身構えその光を警戒するが、ふとあることに気付く。
「ん? 確か北本のやつもこれと同じような光があって……! もしかしてアレはッ!!」
東洋は北本が現れる前に出た光を思い出し、一つの答えに行き着いた。
「北本ッ! あの光はまさか……!」
「おい、もしかしたら伊村か……? あれは……?」
北本は東洋が言おうとした黄色く輝く光の正体を言い当て、伊村がこの白色の空間に来たことに若干だが安堵する。
「お! 光が収まってきたぞッ! …………おお! やっぱり伊村だったなッ!」
黄色く輝く光が収束していき消え去ると、そこには北本たち二人の予想通り伊村がうつ伏せの状態で倒れていた。
「あぁ、……さて、どうするか。コイツをどうやって起こそうかね………」
北本は東洋の言葉に頷き、伊村を見て呟いた。
「そうだねぇ、どうやって伊村君を起こそうかねぇ〜?」
「えッ!?」
すると急に東洋の背後から男の声が聞こえた。
「………!! 誰だよ?」
東洋が振り返るとそこには身長は約2メートルはあるほどの探検家風の服を着た大男が立っていた。
「私はこのアルメシアの神、"創造神アデン"さ………。これからよろしくねー★」
創造神と名乗った大男は言うと北本に近付く。
「な、なにィッ!? そ!? そ……"創造神"!?」
創造神と聞いて驚いた東洋は思わず一歩後退りして、その創造神を自称する大男の姿に釘付けになった。




