第0話「はじまり」
初めまして、K.R.です。
今回から新しく小説を書くことにしました。
1から設定を考え物語を作るんでどこまで続けられるかわかりませんが、完結できるよう頑張ります。
夏も終わりを迎え、秋の到来を感じさせる気候となった9月27日の昼下がり………。
大手企業への就職や大学進学等、様々な志を抱く高校生たちが数多く通うとある街の高校にて、
「……はぁー、だるいわー、なげぇ一日だった………」
一人の黒髪褐色肌の青年がポツリと気怠そうに呟きながら校門の近くの道を歩いている。
「登校すんのも面倒くせぇし、なんか良い事起きねぇもんかなー」
なんとも退屈げな様子を見せる青年は、両手をズボンのポケットに入れつつゆっくりと高校の中へ入っていった。
◇ ◇ ◇
「うしッ! 帰ったら二時間以内に腹筋一万回だ!! うおおぉ! 頑張るぞッ!!」
こちらも同じくある街の高校へ続く道路を一人、太い眉毛をした黒髪の青年が気合いに満ちた顔で大きく独り言を口にしながら歩いている。
「俺はもっともっと強くなるッ!! 毎日鍛えて鍛えて、鍛えまくるんだァァーーッ!!!」
何故かうおおぉーー!と住宅街の道の真ん中で大声で叫んだ後、青年は自転車にも追いつきそうな程の途轍もない速度で走りだした。
◇ ◇ ◇
「はぁ………、もう嫌だ。行くんじゃなかった………」
こちらは河川敷に程近い長閑な田舎町……。
その西部に位置する高校の地区で黒縁の眼鏡をかけた黒髪の青年が、とぼとぼと項垂れながら明かりのない薄暗い路地を進んでいる。
「誰もおれの努力を認めてくれない……、この世界は………なんてクソなんだ………」
青年は最後にチッと舌打ちをすると、ブツブツと誰に対してかわからない陰口を言って路地の隅の排水溝の上に座り込んだ。
◇ ◇ ◇
ある街の高校内では……
「やっと授業終わったねー」
授業終了のチャイムが鳴り響き多くの生徒たちが行き交う校内の廊下にて、茶色の高校の制服を着た茶髪の少女が他の女子生徒と話している。
「うん、でもこの放課の時間って短いからすぐまた教室に戻らないといけないんだよね」
少女の友達の生徒は、学校内の廊下を歩きながら放課の時間について少しばかり不満に感じた事を茶髪の少女に明かす。
「わかるー、あたしもそう感じるよー」
茶髪の少女がそれに同調して、若干眉を顰めつつ返事する。
「はー、退屈だなぁ。何か面白い事起きないかなー? 例えば魔法とかモンスターが存在する世界に行ったりさぁ」
「ははははっ! そんなのないない!」
つまらなそうに呟く茶髪の少女。
現実逃避したいとも捉えられるその発言に、彼女の隣の少女は大笑いしその言葉を否定した。
「そうだよねー。次の授業も頑張ろう」
そんな事あるわけない、と茶髪の少女もまた自分の口にした台詞を否定すると、放課後の授業に思考を切り替えて廊下を歩いて行くのだった。
◇ ◇ ◇
少し退屈げだったり、いつも全力だったり、常に元気だったり、ひどく暗かったりしつつも、何の脅威も危険もないいつもの平和な高校生活を送る青年少女たち……。
彼らはまだ知らない。
自分たちがこれから先数多くの困難を乗り越え、勇気と力、そして名誉を手にし、仲間と共に世界を救う長い長い冒険に出る事を。
これは…………現実世界より剣と魔法に溢れた摩訶不思議な世界に飛ばされてしまった、青年たちの勇気と成長を描いた物語である。