余命
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん~?」
「私……あと、どのくらいで死んじゃうのかな」
「はぁ? 何言ってんだよ」
「多分、もうすぐだよね……」
「おいおい、個室の病室だからって心が弱くなってないか? 入院期間は短いって言われただろ?」
「…………」
「そんな辛気臭い顔すんなよな……お前はいつもみたいに馬鹿笑いしてるくらいが丁度いいんだからよ。ほれ、リンゴ剥いてやるから元気出せ! な?」
「いらない……」
「お~いおいおい! お兄ちゃんがスーパーで厳選しこれぞと思って持ってきたお見舞いの品ですよ!? ひどくなぁい!?」
「食欲ないの……」
「んだよ~既に病院食いただいた後だったり? どうすんだよこれ、もう剥き始めちゃってるよ……」
「……お兄ちゃん」
「あん? ちょいまち、今兎にしてっから」
「なんで、ここにいるの?」
「ええぇぇぇ!? よりにもよってお見舞いにきた麗しのお兄様にそんな事言っちゃう!? 我が妹の事ながらびっくりなんですけど!」
「ねぇ、なんで?」
「何でもへちまも無いってぇの。カワイ~イ妹が病室で寂しく入院してるから、お兄ちゃんがお見舞い行って、兄妹間でのあれこれをスムーズなものに~って画策です! はいっ」
「だってお兄ちゃん……」
「それとも何か~? お前お兄ちゃんよりは同じ大学の佐藤先輩のが良かった~って腹か? そんならそう言えよ~! 佐藤くんも連れてきてあげたのにさ! あっはっはっはっは!」
「お兄ちゃん、ここに来る途中、自動車事故で死んだって……!!」
「あっはっはっはっは……」
「…………グス…………」
「はっはっはっは…………あっはっはっはっは」
「はっはっはっはっは…………」
「あは、あは…………あっはっはっはっは! あはははははははははははははははははははは!!」
「あは! あはひはははははははははははははあはhっっははぅはあああぁはぁっtじゃあはあははははhg@fじゃじゃはjっかははかかはhlははははははははははははははjかっはははjはあははjははh!!」
「もうやめようよ、お兄ちゃん……! 私、悲しいよ……!」
「ヒッ、ひひひいひ! はhっははははは! あはははは!」
「お兄ちゃ」
「剥けたぞ、リンゴ」
「…………」
「食え」
「やだ……」
「食えって。お前の好きな兎」
「やだぁ……!」
「いいいいいいいぃヵからくえってほらぁっぁあああ!!」
「いや! いやあぁぁ!!」
「助けて!」
「嫌だ!」
「死にたくない! 死にたくない!」
「しにたく
「……! 意識が戻りました!」
「良かった……もう安心だ」
「裕子! 裕子ぉ! 良かった……!」
「……おかぁ、さ……」
「裕子さん、わかりますか? お返事できます?」
「……はい……」
「なぁんで返事できんだよぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「おかしいだろうがぁぁぁあああああああああああああああああ!!」
「俺だけなんて嫌だ! 妹だろぉ! 来いよ!! いやだいやだいやだ!!」
「死にたくない! しにたくない!!」
「しにたく