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勇気を出して手に入れた世界
「星彩ちゃんって、本当に何でもできるんだね!将来は何になりたい?」
「私は…」
何でもできる。小さい頃から周りによくそう褒められた。しかし、私はその言葉が何より嫌いだった。何でもできるという肩書きに応じるために努力しても、天才に生まれたからできて当たり前という扱い。いつしか私は他人を失望させないために、何事にも全力で挑むことにした。そうして、気付いた―自分は何事にも興味を持たないということに。だから、何になりたいかわからない。何もできるのに、何もできない。そんなの…
「お嬢様…お嬢様……星彩お嬢様…!」
「はい!」
夢にうなされていた星彩は、輝夜に起こされて授業が終わった教室で目を覚ました。
「もう昼食のお時間となりましたので、こちらまで何か食事をお持ちしましょうか。」
「いいえ、いつものように部屋でいただくわ」
「かしこまりました。では、そのように手配をいたします。では、お嬢様はこちらへ。お部屋までご案内いたします。」
「助かるわ」
二人は教室を出て、星彩の部屋へ足を向けた。