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スナップドラゴン  作者: さおり
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はじまり

今回は初投稿ですので、描写が下手でしたらすみません。楽しんでいただけると幸いです。

*不定期投稿の連載作品になる予定です。

「ん……うるさい……うるさいな~もう!」

  星彩(せいら)は慌てて布団からパッと身を起こし、目覚ましを止めた。

「いけない!寝坊しちゃった!宿題しなくちゃ……予定通りに終わるかな?」

 時間を確認しながら布団から出て、目を擦りながらゆっくりと椅子についた。気合を入れるために一回深呼吸してから、宿題の上にペンを素早く走らせた。数歩しか歩けないほどの狭くて薄暗い部屋に、使い古された布団と机。これらとは場違いと思わざるを得ない真新しい鞄と文房具は、少女の煌びやかな学園生活を物語っている。廊下からはテレビの音がうるさく響いてきているが、鼻唄を歌いながら宿題している星彩の耳には届いていないだろう。やがて宿題の束は少しずつ鞄の中へと納められていき、最後に文房具も片付けた彼女は布団の中へと再び深い眠りについた。

 翌朝、彼女は新調した制服に身を包み、鞄を片手に学校へ向かった。外はまだ夜のように真っ暗だが、そんなことを気にする素振りもなく、彼女は速い足取りでスキップしながら登校した。

「おはよう!」

「おはようございます、星彩様。いつもお早いご登校で、お疲れ様です。」

「ううん、速く教室に行こう。」

 星彩は鞄を両手に持ち直し、さっきとはうって変わって、お淑やかに城壁(ランパートゥ)の門を潜り、朝焼けで金色に染まった石畳みをつたって西洋風のお城(キャッスル)のような校舎へ足を向けた。その後ろを彼女が先ほど挨拶を交わした一人の少年が付き人のように付いて行った。二人は校舎の入り組んだ廊下を渡って、ようやく2-A(2年A組)と書かれた扉の前に辿り着いた。少年はドアノブに手をかけ、柔らかな笑みを浮かべながら手慣れた仕草で彼女を教室の中へ招いた。あまりに品がよい一連の仕草に、少女は戸惑いを覚えたのか、一瞬眉をひそめたかと思うと俯くようにして教室に足を踏み入れた。彼もその後に続いて教室に入り、後ろ手で音も立たずに扉を閉め、自分にしか聞こえないような軽くかつ長い溜め息をついた。それが終わるか否か、少女は訴えるような目つきで口を開けた。

輝夜(かぐや)、この時間は学園に誰もいないから、気を使わなくていいよ。」

「いえ、お嬢様の世話をするのが私の役目ですので。」

「だから…!」

「先ほどは大変失礼致しました。お嬢様に鞄を持たせるなど、執事の名折れです。申し訳ございません。」

「輝夜は何も悪くないよ!自分の鞄ぐらい自分で持ちたいの。こっちこそ迷惑をかけてごめん…」

「ごきげんよう、(せい)ちゃん。久しぶり!」

 扉が大きな音を立てて開けるとほぼ同時に友人の(すず)に挨拶されて、星彩は顔を伏せて小声で挨拶を返して、急いで自分の席についた。輝夜も軽くお辞儀をし、同じように星彩の隣の席についた。帰ってきた挨拶のテンションが予想より低いせいか、鈴は残念そうにしばらくじっと立っていた。そのぎくしゃくをした空気を破るように登校してきた人達が次々増えていき、鈴も皆と同様に席につくことにした。しばらく経つとチャイムが鳴り、先生が教室に来た時には燕尾服とドレスに身を包んだ生徒達がもう30人近くいた。

「石原先生、ごきげんよう。」

「皆さん、ごきげんよう。もうおわかりかと思いますが、昨日で夏休みは終わりを迎えました。くれぐれも気を抜かないでください。専属執事はそれぞれの主と行動を共にするよう、お忘れなきように。では移動教室の方は移動してください。」

「では星彩様、参りましょうか。」

「うん…」

 星彩は差し出された手に自分の手を重ね、伏せながら輝夜にエスコートを任せた。顔を伏せ続ける理由が自分の日常を翻すとは思いもよらずに…

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。お楽しみいただけたら幸いです。次回は、星彩が顔を伏せている理由がわかるかも?!次回もよろしくお願いいたします。

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