エピローグ2~突然の転校?!~
身支度を済ませ、リビングのテーブルにふと目を向けると
メモ紙が。
______ママの大好きな碧へ。パパと楽しんでくるわね!碧にもきっと今よりも楽しいことが待ってるわ♪ 体には気をつけて。おばあちゃんにもよろしくね!アデュー! ママより__
「もう。ママったら。」
さてと、荷物もまとまったし、出発するとしますか!
ここ数日の慌ただしさから、昨日は疲れてぐっすり眠れて、
目覚めはすっきり。
色々とショックもあったけど今は落ち着いた、かな?笑
それというのも遡ること1週間。
音楽家で、日本の有名なオーケストラの指揮者も勤めたことがあるパパが突然、
「碧。ここに座って。」
「パパは1週間後、パリに発つ。1年間世界中を廻って演奏するコンサートツアーの指揮者に是非って声がかかってね。ちょっと急だけど、友人からの頼みでパパも断れなくてさ。ママも一緒に行くことになった。碧が望むなら一緒に来てくれたらパパは嬉しいけれど、ママは碧を日本に置いていくって言うんだよ。」
え?なに?うそでしょ?1週間後?そんな突然!
「1週間後って急すぎるよ!外国?しかも1年!?私を置いていくってどういうこと。ねぇママ?」
「もう!そんなにぷりぷりしないの碧!
折角の世界一周でしょ?ママはパパと二人っきりがいいの!お願い碧!パパと二人でパリに行きたかったのよ!それに置いていくっていっても、何も碧を一人でって訳じゃないの!」
「一人じゃないって誰か呼ぶってこと?誰?」
「呼ぶんじゃないの。碧が行くのよ♪」
「行くってどこへ?」
「ママの実家。おばあちゃんのいる星美町。
ちなみにこのマンションはもう売りに出しちゃったから。ここには住めないからね!」
「売った?!星美町って、ママがおばあちゃんと喧嘩して3人で家出たっきり帰ってないじゃない。早く仲直りすればいいのに拗ねたまんま10年以上だよ?」
「おばあちゃんには電話したから大丈夫!碧に会いたいから、碧だけがくるのは構わないって。ね?パパ」
「驚かせてしまったね碧。ママは言い出したら聞かないの知ってるだろう?」
「碧、星美町好きだったでしょう?空気もきれいだし、ね?」
そういってウィンクするママ。
星美町は好きだけど、でも……いくらなんでも急すぎる…。
「もう!パパもママも勝手すぎるよ!」
と、話を聞いたその日は拗ねて泣きながら部屋に閉じこもったりもしたけど、ママの思いつきはいつもの事で、私の反抗もそこそこに折れるしかなかった。
だってもう転校手続きまで黙ってやってたんだもん。
ひどいよママ。
パパとママはもう旅立っちゃったし、一人残された私はおばあちゃんの家に行くしか選択肢がない。
だからパパとママが戻ってくるまでの1年間、私は一人でおばあちゃんの家のある星美町に引っ越して生活することになった。
それで今こうして、荷物をもって東京駅の新幹線乗り場まで来てるってわけ。
「星美町かぁ、ずっと帰ってないもんなぁ。
おばあちゃん、元気にしてるかな。」
新幹線に乗り込み、窓の外を見眺めながら私は呟いた__