エピローグ1~幼い頃の記憶~
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ーーぼくがキミのおうじさまになってあげる!
だからぜったいぼくのおよめさんになってね。
やくそくだよ?ーー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ジリリリリリリリリリ
ピピピピ ピピピピ ピピピピ
一斉に目覚まし時計とスマホのアラームが鳴り出す。
「また…あの夢か…」
私、鷺坂碧。高校2年。
私がまだ幼い頃の記憶。
顔もぼんやりとしか思い出せないくらいだけど、
なぜか繰り返し夢に出てくる男の子。
覚えているのは幼いながらの可愛い将来を誓う約束と、
泣いている私の手をぎゅっと握ってくれた小さい手の記憶だけ。
私は、小学校に上がる年になるまでの数年間だけ
お母さんの実家のある星美町という所に住んでいた。
昔は自然の多さだけが取り柄の田舎町だった。
最近は都会からはそう離れていない立地の良さと、
空が晴れて空気が澄んだ日には
星がよく見えるとの口コミが広がって、
週末や大型連休には家族連れやカップルなどの観光客も
ちらほら来るみたいってお母さんが言ってたっけ。
繰り返し夢に見るのは、その町にいた頃に出会ったその子がくれた小さなおもちゃの指輪を、今でも王子様を夢見て大事に持ってなんかいるからだろうか。