表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出番ですか?  作者: 五月女ハギ
モルトハウス伯爵領
61/96

ある兵士の驚愕

 ドラゴンとしては幼体らしいが、胴と首が切り離されたそれをポイと簡単にしまったのを見て、隣の魔法使いが「どんな容量なんだ」と呟いた。

 他にも、何度も結界を張り直していたり、その戦いの前に俺達にまで防具や武器の強化をしていたよな。魔力量のせいなのか。

 っていうか、単純にあんなでかい魔物が入るってどうなんだ。


「アルフ、大丈夫?」

「ああ。疲れたけどな」


 剣に炎をまとわせたのは剣技の一つみたいだが、俺達にはできる奴なんていない。

 なんでも騎士団の練習に時々とは言え参加しているらしい。って、ついていけるのか。まだ子供じゃないか。


「えっと、しまったドラゴンってどうしたらいいの?」

「モルトハウス伯爵、半分ずつでいいですか?」

「いや、我々はなにもしなかったからこちらには要らないよ」


 ドラゴンの素材が欲しくないわけないが、俺達は見ていただけだもんな、伯爵も断って当たり前だろう。


「う~ん、でも、またドラゴンが出た時に困りませんか?」

「そうだよな?やっぱり半分ずつにして、兵士たちの武器や防具を整えてはいかがですか?」

「…また?」

「あって困るものでもないでしょう」


 まさか。

 俺達がドラゴン素材の剣を振るうのか?盾や鎧を身につける?!なんてことだ!!


「…過度な武力は国に睨まれる元だ」


 ああ、うん。伯爵のおっしゃる通りだ。

 …ドラゴンの、使いたかったな。


「じゃあ、国にも納めて、その残りを半分ずつ?」


 え?


「そうだな。半分を国に、その残りを分けましょう」

「…いいのかね?倒したのは君たちだぞ」

「ドラゴンに対抗できるものを手に入れられた方がいいです。ブレンダも安心できないでしょうし」

「ああ、分かった。国には私から報告しよう」

「父には私が報告します」

「ああ、そうしてくれ」


 ……え?本当にドラゴンの装備が出来るのか?

 俺達はそわそわしたが、でもなにもやっていないよな、と微妙な気持ちになった。

 ……まあ、お嬢様の嫁ぎ先からの贈り物ってことだろう。

 ちらりと辺りを見れば、ミア様が張った結界とアルフ様が剣で相殺した箇所を除いて、凍っている。

 ……これを俺達が相手しなければならないのか。

 それでも、やることは一つ。

 もっと訓練を厳しくして、少しでも実力を磨こう。

 うん、それしかないよな。ここは俺達の住む場所だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ