表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出番ですか?  作者: 五月女ハギ
モルトハウス伯爵領
60/96

モルトハウス伯爵領━━ その2

お兄ちゃんがお兄さん呼びになっていたのを直しました。

一文字下げる箇所が全てそのままですが、直しにくいので今回そのままです、すいません(;>_<;)

咆哮が空から聞こえる━━つまり、それは飛んでいる、ということです。

私は視線をそちらに向けて、咄嗟に自分達の周りに結界を張ります。

一重じゃ足りない。二重三重とかけていって、結果五枚。

馬車をひいていた馬達が暴れ出しますが、危険なので魔法で眠らせます。


「……まさか」


伯爵が呆然としている中、お兄ちゃんが腰に手を伸ばします。うちは護衛がいないので、ずっと身に付けていた。


「……スクワイア王国内でドラゴンが出た記録はないはずだ」


伯爵様が呟きますが、記録があろうとなかろうと、実際にいるじゃないですか。青く輝く鱗を持ったものが。

ここは南端です。湖の奥の森から現れましたし、この先からモルトハウス伯爵領に入ってきてしまったのでしょうか。


「ミア。結界は━━」

「今、五枚張ってるよ。暴れると危ないから馬は眠らせてあるし……あとは、皆の服も防御力上げるようにする?」

「そうだな、何があるか分からないし」


話しながらお兄ちゃんが剣を鞘から抜き出すと、私は切れ味を上げる魔法をかけます。

ワイバーンとは大きさが違う。更に、護衛の人たちはドラゴンに足がすくんでいて、一緒に戦ってはくれないと考えた方がいいみたいです。

ブレンダお姉様が、お兄ちゃんの腕を掴んだ。


「アルフ?まさか一人で倒すつもりじゃないわよね?!」

「このままだと、皆が危ない。

俺達が逃げても、モルトハウス伯爵領に被害が及ぶのが分かりきっているじゃないか」

「でも!」

「ワイバーンなら一度倒してるよ」


それだって一人じゃなかった。

どうしよう。どうしたらいいんだろう。

ドラゴンの生態なんて知らない。


「お兄ちゃん。ドラゴンが青いと何が危険で、何が弱点なの?」

「さあな。使う魔法かな。青いから、水か氷かもしれない」


それだと凍らせるのは無理そう。

気絶させる?どうやって?あ、電気ショックとか?じゃあ、そのイメージで。


「ミア?」


バリバリって雷にうたれちゃえ。

雲一つなかったのに、急にドラゴンの足に翼に頭に、雷が大音量をたてぶつかります。これで動けなくなれば。


「ミア、結界を維持しろ!」

「うん」


お兄ちゃんが軽く手足を回す。


「アルフ!」

「まだあれは小さいからドラゴンとは言え、成体じゃあなさそうだ」

「でも!」

「ここで見失うとそのあとがどうなるか」


以前倒したワイバーンよりも一回りは大きいのに、まだ子供?!


「ミア、固定してくれ」

「ワイバーンの時みたいに?」

「ああ」


私は言われた通りに頑丈な結界を張ります。


「…お兄ちゃん」

「ちょっと行ってくる」


お兄ちゃんは私の頭を撫でてから、結界を出ていった。




見ているだけなのに、私もブレンダお姉様も、体に力が入って手を強く握っていた。

お兄ちゃんは、何度も首の付け根に剣を振り下ろし、けれどもそれは薄皮を剥いでいくかのようで、なかなか切断には至らない。

流石にずっと倒れているわけもなく、途中で起きたドラゴンが結界を破る度、私が張り直します。

どれくらい繰り返したのか、お兄ちゃんが振るった一振りがゴンと何かにあたった音がして、ドラゴンが今までにない鳴き声をあげ、暴れ回り、結界を吹き飛ばすと同時にお兄ちゃんも弾き飛ばされました。


「アルフ!!」


お兄ちゃんはゴロゴロ転がり、止まると何とか立ち上がった。

口の端から、血が流れている。

私はドラゴンに何度目か分からない結界を張り、それからお兄ちゃんに回復魔法をかける。

遠い距離のものは初めてだけど、ゲームだとこのくらいの距離なら問題なく出来たはずです。だから大丈夫。

自分に言い聞かせるように念じれば、ダイヤモンドダストみたいなキラキラがお兄ちゃんに降りかかる。

お兄ちゃんの口角が、上がった。どうやら効果があったみたいで、私のしたことが分かったようです。

それでもドラゴンは攻撃を緩めることなく、激しく体を結界にぶつけ、あ、また結界が破られました!

自由になった途端、大きく口を開けます。


「ブレスか!」


護衛の誰かが声をあげました。その声に合わせたかのようにドラゴンが吐いたブレスは、辺り一帯を凍らせていきます。

お兄ちゃんは━━剣に炎を纏わせ、そのブレスを切り裂いて避けました。

ほっ、と力が抜けて座り込みました。

それから、なんとかまたドラゴンに結界を張ります。


戦いはずっと続き、結界が破れる度に急いで張り直す。

こちらと同じように何重にも張りたいけど、そうすると剣が届かない気がして、気をつけて結界が途切れる時間を最小に押さえようと目が離せません。

そうやってどれだけ時間がたったのでしょう。

肩で息をし始めたお兄ちゃんが、呼吸を整えます。

私の張った結界の隙間に剣を振るうと、それは真っ赤な炎を纏っていた先程の技。


『ヴィギャ━━』


ドラゴンのけたたましい鳴き声は途中で途切れ、地響きを上げながら倒れると起き上がることはありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ