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出番ですか?  作者: 五月女ハギ
王都・到着
23/96

9歳━5

 あれよあれよという間に、お父さんとお母さんは領地に出発です。

 私とお兄ちゃんは見送りに、ベンさんとバーナードさんが泊まっている宿に来ています。そんな私とお兄ちゃんの護衛に、騎士団の方が二人います。護衛なんてオーバーだと思うんですけど、お偉いさんの命令らしいです。


「じゃあ行ってくるよ」

「いい子にしてるのよ」

「はい」

「分かった」


 シューとソックを撫でていた私は馬車から離れます。

 お父さん達は幌馬車に乗り込み、騎士団の方達は馬に乗っています。

 ん?ブルーノさんは幌馬車に乗り込みました。馬じゃないんだ?


「行ってらっしゃい!」


 走っていく幌馬車に向けて、見えなくなるまで手を振りました。ちょっと寂しいので、そのままお兄ちゃんの手と繋ぎます。


「城に戻るか」

「うん」


 見送りに来たものの、今日もマナーと魔法の勉強があります。

 マナーは、簡単なものはなんとかなっていますが、「伯爵令嬢らしくたおやかに」とか言われても、まだ数日しか令嬢でない私がたおやかも何もないもんだ。

 魔法ははじめは面白かったです。今は自分で魔法を使うことを学んでいますが、魔法陣や魔道具に興味が湧いています。

 洗浄とか冷蔵とか冷凍とか。ちょっとの魔力で実現出来たら、洗濯が楽チンになるし、食物の保存が簡単に出来たら冬の飢えが減ります。

 領地を開拓することになったら、食物の保存が誰でも簡単に出来るのは有り難いだろうと考えると、こっちを学びたくもあります。

 魔術省の方に相談しましたが、難しい分野だから、今回は魔法だけで、と言われてしまいました。

 残念なので、王城内の図書館でこっそり(記名するので、図書館司書さんにはバレていますが)本を借りてあれこれ見ています。

 使えそうな魔法陣は、空間収納に入れてい た紙に片っ端から書いていきます。

 いくつも書いていくと、色々な図形や文字で作られた魔法陣には法則性があるようです。

 その辺りは私なんかよりお兄ちゃんの理解力がずば抜けていて━━何でも数学は好きだったそう━━試しに書いた魔法陣の上にコップを置き発動させると水が溜まっていく。

 それを更に、ぬるま湯、熱湯が溜まっていくようにと魔法陣を改良しました。

 発動にそこそこ魔力が必要なのが問題ですが。ここも改良出来ないかと、魔法陣の勉強中です。




 私はお兄ちゃんと手を繋ぎ、王城に戻りました。

 今日もお兄ちゃんとマナーの勉強をして、お昼ご飯を食べてからそれぞれ剣術と魔法を学びに行きます。


 魔法はつかみとして、生活に役立つちょっとしたものをいくつか教えて頂きましたが、すぐに攻撃魔法に変わりました。私としては攻撃魔法なんて使いたくない。

 こちらの魔法って、イメージ出来れば出来るほど、イメージ通りに魔法が発動します。

 私は前世で、映画を見ています。ニュースだって見ています。

 普通に爆発や竜巻や台風や地滑りやエトセトラ、見たことがある━━つまりイメージ出来る。

 でも、もし私が失敗して、周りを巻き込む何かをしでかしたら、止められる人がいない可能性がある。テレビのないこの世界では、前世の私より見たことない人ばっかりでしょう?

 それを思うと、攻撃魔法に心動かされることもなく、ずうっとやりたくないと言っているにも関わらず、魔術省の方達はなんとか私に攻撃魔法を身に付けさせようと、機嫌をとったりちょっと威圧的に振る舞ったりしていました。

 ━━昨日までは。

 今日の先生はやけに若いと思ったら、どうやら私に攻撃魔法の素質がないということになり、お偉いさん達が興味を無くしたみたいです。やったあ!


「魔力も属性も沢山あるのに、落ちこぼれだね」


 お兄さんは辛辣な言葉を放つと、口角を片方だけ上げて嗤います。

 それでも私に生活に役立つ魔法を教えてくれましたが、正直言って初日と比べても、ブルーノさんから貰った本と比べても、同じものかそれ以下の魔法でがっかりです。


 次から次に魔法を乱発して、気のせいではなくお兄さんが疲れています。そろそろ今日はおしまいだろうと思ったものの、まだやる気みたいです。


「じゃあ……じゃあ、次は……」


 息も絶え絶えに喋りますが、今日はもう止めた方がいいでしょう。

 魔力切れで倒れられても、私ではカバーしきれません。


「今日はもう疲れちゃった」

「そ、そうかい?そうだね。子供には辛いよね」


 私の言葉に飛び付き、お兄さんは終わりを告げ、さっさと私を追い出します。

 疲れているのはお兄さんの方ですね。

 私は空気を読んで退室し、部屋に戻ります。

 途中図書館に寄ろうかとも考えたのですが、まだ借りた本が読み終わってないので、部屋で魔法陣を写すことにしました。

 出来れば領地の開拓をはじめるまでに、洗濯機がわりの洗浄の魔法陣を完成させたいものです。それから薪が要らなくなるから、加熱の魔法陣も欲しいところです。

 これが出来ると、洗濯と薪を集めるためにかかっていた時間が開拓にまわせる。開拓した後だって、仕事が出来る。もしくはちゃんと休める。

 食事のための薪を作らなくて良い分、変に森を切り開かなくてもいい。冬の暖房分はいるけど、上手く空気を暖める魔法陣も出来たら、薪が全く要らなくなる。

 間伐材は、きちんと薪にして、王都で売れば収入になるからいいだろう。


 それにしても、こんな便利な魔法が広まっていないのは、この属性を持つ人が少ないのかなあ?


 私は本から使えそうなものを選びながら、ソファーでついついうたた寝をしてしまいました。

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