4歳
特に何も考えずに、思わず歌ったのは前世のアイドルソングでした。
絶対に鼻歌なだけで振り付けなんて真似てません。
「良く踊れてたな」
「踊ってないよ?!」
アイドルソングの鼻歌に、お兄ちゃんが私の後頭部にツッコミを入れたのが始まり。
「あんな間抜けなバレ方はないんじゃないか?」
「だから鼻歌だってば!」
「お手伝いさん達が、お嬢さんの奇行は大丈夫なのか、って心配してたぞ」
「嘘っ?!」
「冗談はともかく」
「……」
「分かったから睨むなよ。悪かったよ」
「セイイが足りない」
「足りないって言うなら、誠意くらい漢字にしろ」
「中学生になんて無茶ぶり」
私は、記憶があるのは中学校に入学したところまで。お兄ちゃんは三十代だ。
大人と子供じゃあ、使える記憶が違うと思う。私のせいじゃないです。
「分かったから、記憶にあるものを書き出せ」
「うん」
今、私達がやっているのは、前世の記憶の書き出しです。
自分自身の記憶もそうだし、算数……数学?の公式や、料理や農業の……いや、家庭菜園の仕方とか。
そういえばお婆ちゃん家で家庭菜園やってたなあ。とうもろこしは獲ったらすぐ調理しないと味が落ちるんだよね。
だからいつもすぐに蒸かして食べたなあ。美味しかった。
「おい。手が止まってるぞ」
「だって子供だもん。記憶があるからって何にも分からないよぅ」
「まあ、入学したばかりじゃほぼ小学生だしなあ」
「今は瓶詰めの仕方と、マヨネーズと味噌とラー油とタルタルソースとロールキャベツと。生クリームが早く角がたつ方法を書いたよ」
「見事に食い物か」
「……味噌が要らないんだね」
「今のは俺が悪かった」
他には浅漬けとかクッキーやパンケーキとか。
ただ、ベーキングパウダーってあるのか分かりません。クッキーは母の日用に練習していたから、そのクッキーだけは分量を覚えていたけど、応用はきかない気がする。お菓子って分量が大事ですよね。
「あ。フレンチトースト忘れてた」
「オムライスも書いといて」
「……お米ないけど?」
「……あ」
そう。まさかのお米がないなんて。
この辺りにないだけで、他の町にならあるんじゃないかと願っています。
と言うのも。
「……中世ヨーロッパ風のわりには、トマトもジャガイモも有るのにな」
「胡椒と砂糖は高いけどね」
「……あれは地味にきついよな」
「味付けが塩とハーブばっかりだもんね」
まあ、でも。
お母さんの料理の腕がかなりいいみたいで、美味しいんですけどね。ハーブの使い方が上手いんだとか。
それでも、もっと色々食べたい。
「ヨーロッパ風だから、日本の食材は難しいのかなぁ」
中世ヨーロッパ風とはいえ、魔法と魔物があるので、地球じゃありません。
剣とかの武器だって、地球上ではありえない技のオンパレードだ。
国名も全く違うし。
「確かにな。
髪の毛だってありえない色合いだしさ。前の感覚じゃ駄目だね」
「ピンクとかブルーとかレッドとか」
「それにしては明るめとはいえ茶色い俺達は、地味なんだろうけど」
「……ピンクが良かった?」
「茶色でいい」
ちらりとお兄ちゃんが書き出したものを見ると……知らない暗号が。
「暗号じゃなくて数学の公式だ。
いや、小学生でも習ってないか?図形の内角の和とか」
「……円周率3.14と」
「おい」
「九九も書いとこっと」
「……まさかの一の段からかよ!」
「基本から、基本からだよ」
ふぅ、とため息つかれました。
「料理をメインに書き出しとけ」
「なんで?」
「俺は家庭科以外で包丁を持ったことがない。
でもお前より、知識はある」
「うっ」
「逆に言えば、お前は料理の知識があるんだから、そっち担当な」
「!うん!」
そうと決まればやる気満々!
そんなこんなで私達は、夕御飯の時間までせっせと書き出していました。
紙が貴重なこの世界では、中流家庭の私達が無駄遣いを出来るわけなく、細々とした文字でみっちりと。
粗悪品ならもっと安いみたいです。この際、書き出し用には粗悪品でも良くないかな?
気にせずガンガン書き出せるのはメリットだと思う。
お父さんは商会を経営しているんだし、お願いしてみようかな。今月のお小遣いで何枚買えるかな?
「取り敢えずこのくらいか」
……また暗号が増えてる。
「いや、暗号じゃなくて……まあ、もういい。
で、ミアは?……って、おい!」
「痛い!なんで叩くの?」
「醤油がないから食えないのに唐揚げなんて書くな」
「塩ニンニク味だから大丈夫だよ?」
「……なに?」
ちょっとお兄ちゃんの目の色が変わったような。あれ?
お兄ちゃんが私の書き出した紙を隅々まで見ています。夕御飯前だからお腹すいてる?
「ミアがいて良かったよ」
ぽん、と頭を撫でられた。
前世は妹しかいなかったから、お兄ちゃんは大歓迎。
ぎゅっ、と私はお兄ちゃんに抱きつきました。
「私もお兄ちゃんがいてくれて嬉しいよ」
一人だったら……うん、そんな怖いことは考えないことにします!
私は頭は良くはなかったけど、そこまで悪くもなかったし、今回もなんとかなるよね?
それにお兄ちゃんもいるんだから大丈夫。
ちょっと顔を上げると目があいました。
「これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ。仲良くやっていこうな」
「うん」
今世、悪くないと思うと、もう一度ぎゅっ、とお兄ちゃんに抱きついた。
さっそく作ってもらおうとお母さんに塩ニンニク味の唐揚げのレシピを持っていったところ、肩を掴まれました。
「ミア。唐揚げってなあに?」
「……へ?」
あれ?何か駄目でしたか?
唐揚げは唐揚げだと思うのですが、お母さんの目が真剣過ぎて怖いです。
「この世界に、揚げ物って概念がまだないのよ」
「?うん」
「つまり、ミアは唐揚げがあるところから転生したってことよね」
お母さんが掴む力が強まりました。雰囲気的に、痛いと言いづらいです。
「その言い方だと母さんも?」
「アルフ?!」
私の後ろからした声にお母さんが視線を向け、驚いています。
「じゃあ、二人とも……?」
「なんだ。それじゃあ隠す必要ないんだ」
お兄ちゃんはそう言うと、台所に入ってきました。
そこからはお兄ちゃんとお母さんの話し合いです。
私のことは、既にお兄ちゃんが知っているので、お任せです。
「━━という訳で、昨日気付いたばかりなんだけど」
「そうかぁ。でもまあ、同じ境遇の人が子供って複雑だわ」
「俺はラッキーだけど。母さんもミアも料理が上手いから」
「料理は元々好きだったけど、調味料が作れないからね。ハーブと塩で何とかしているけど」
「調味料ならミアが分かるよ」
ん?私の話?
首をかしげていると、お兄ちゃんが部屋に一度戻り、紙を持ってきました。
「この辺りが、ミアが書いた調味料のレシピ」
「……味噌にぽん酢?」
「味噌はおばあちゃん家で毎年お手伝いしていたから分かるかも」
「作ってみようか?駄目で元々だし。ぽん酢は醤油自体が見当たらないからそのうちね」
「うん!」
この日の夜ご飯は塩ニンニク味の唐揚げでした。
転生者ではないお父さんも巻き込みながら、私達は食生活の向上のため、あちこちの食品を試すことになっていきました。
□ □ □ □ □
味噌を作ったことがあるとは言え、種麹は買っていたから、最初からの作り方はネットでちらと見ただけです。
とりあえず、お父さんに稲を探してもらいました。そこで稲穂についている黒いつぶと玄米と木灰を用意して。あれこれしてみました、お母さんが。私は横から口を挟むだけです。
多分このやり方で合っているはずなんだけど。種麹は初めてだからなぁ。不安でした。
……成功するイメージが全くわかないにも関わらず、お母さんが時間短縮を使って完成したっぽいので、更に、味噌にまでしてみました。
どうやら成功です。見た目と匂いは大丈夫そうです。味見のために、解毒とかの薬を用意しています。が、お母さんに止められてまだ食べていません。
《新たなレシピを入手しました》
何か頭の中に響きましたけど、何なのでしょう?
「……味噌の熟成が5日?」
「母さんに習った時間短縮が使えたからね。
私の魔力が高ければ、その日のうちに出来上がったんだけど。無理して魔力を使いすぎるとダメだから」
「時間短縮?便利だね。私も出来る?」
「そうね、そのうち教えてあげるわ」
「……ちょっとこの世界にまだ馴染めてないって分かったよ。何、そのスキル」
「魔法だってあるんだから、そんなに変じゃないでしょ」
それはそれとして。
「今、頭の中に声がしたんだけど」
「え?」
「新たなレシピを入手しましたって」
「ミアも聞こえたの?私も聞こえたのよ。唐揚げを作った時も聞こえたし。それ以前も」
お母さんは、今まで生きてきた中で、何度も頭の中に声が流れてきたそうです。
でも、誰も何も言わないので、おかしいと思われないようにと、誰にも言わなかったそうです。
「ただいま。例ので何か作ったのかい?」
「あ、お父さんお帰りなさい」
ぎゅっと抱きついて挨拶すれば、お父さんに抱き上げられました。
「ねえ、お父さん」
「なんだい?」
「お父さんは《新たなレシピを入手しました》って頭の中に響いたことない?」
私がお父さんに聞くと、お母さんとお兄ちゃんがぎょっとして目を見開きました。
ここは子供の私が聞いた方がいいはず。変なことだとしても、子供だからで済ませられるはず。
なんて考えていたら。
「お父さんは料理が出来ないから、それはないなあ。仕入れの最中に《鑑定のレベルが上がりました》っていうのは何度もあったけどね」
「ええ?!」
お父さんの返しに、私達は揃って声をあげました。
「なにをそんなに驚いているんだい?ハンナだって知っているだろう?ステータス画面を見たことあるだろ」
「ステータス画面?え?見れるの?」
「見れるのって……ああ、そうか。ハンナは農村の出身だったから、見たことなかったのか」
「農村の出だと見ないものなの?」
「識字率が低いから、見ても分からないんだよ。それに、うっかり他人に見られて、何かいいものを持ったステータスだと、さらわれることがあるからな」
お母さんがステータス画面を知らなかったのは、誘拐にあわないための、農村の知恵ってところのようです。
自分がステータスを見ているだけでは、他の人に見られる心配はないそうですが、見せることも出来るため、言葉巧みに子供に近づいてはステータスを見ようとする怪しい人がいるらしいです。
「文字が読めないと、ステータスから色々なスキルを取ったり、レベルが上がってから上位スキルの選択が出来ないからさ。
町の人は何とか頑張って文字を覚えるんだよ」
お父さんの説明に、ちらりとお母さんを見上げます。
「お母さんって、スキルをいじったことないの?」
「……全然ない」
「そのわりには、何でも色々出来るんだよな」
お父さんが感心していますが、それはそれとして。つまり、お母さんはもっと凄くなるってことです。美味しい料理食べ放題ですね、きっと。
「じゃあ、ステータスオープン」
台所の扉を閉めて、家族だけの場でお母さんがステータスを表示させます。
うん、見えない。
「設定の中に、表示切り替えがあるだろう?そこをいじると自分以外にも見せられるようになるんだよ」
「あ、これね」
お母さんが空中を指で叩くと、半透明な板が見えた。
「二人もこれから必要になることだから、ちゃんと聞きなさい。
それから、三人とも。ステータスの種類は一番目から変えないこと」
「一番目?」
「ああ。1/6って表示になっているだろう?そこはいじったら駄目だ。
他の種類のステータスに変えた奴がいたんだが、今まで使えていたスキルとかが使えなくなったりしたんだ。
変えてしまうと俺達みたいな一般人は、仕事や生活に影響が出るんじゃないかって言われている。絶対に一番目から変えないこと。右上の固定を押さなければまだいいらしいが、スキルが勝手にリセットされてしまうこともあるらしいからな。変える必要もないのだから、決して変えてはいけないよ」
「はい」
私とお兄ちゃんは頷くと、お母さんの両隣に座り、お父さんは向かい側から覗きこむように身を乗りだし、一から説明をしてくれます。
ステータス画面が、ゲームみたいです。
HPとかMPとか。器用度とか色々。
その辺りは、生活内容で成長の仕方が変わっていくそうです。だから子供のうちは色々経験しなさいとのこと。
「この辺りの数値は、魔術師や軍人でないなら、あまり気にしなくていい。平均値はHPとMPは100、こっちの度がつくものが30だよ」
お母さんは平均よりもHPが高く、体力がある。「農業のせいかもね」と笑っていますが、器用度も敏捷度も高いです。
MPは低く、魔法はほぼ使えないとか。ちょっと水を出したり、火を着けたりするくらいとか。
「普通の生活では、ここから下が重要になってくる」
お父さんが指で示すのは、スキル欄というところ。
お母さんの欄には、料理、発酵、裁縫、清掃、算術、調合、栽培、採集、木工などと書かれていて、それぞれその隣にレベルが表示されています。
……料理と栽培が50なんですけど。
レベルは50が最高とか。お兄ちゃんが「……カンストか」って呟きました。意味が分かりませんが、びっくりしているようです。
その栽培ですが注釈付きで、樹木を除くと記載されています。お母さんは農作物を栽培していたけれど、果樹は育てていなかったため、限定されているようです。
自動車免許のオートマ限定って感じでしょうか?
木工は、農村時代に、家という名の小屋を直したり食器を作ったりしたからだろうとのこと。
「やっぱりな。ハンナの料理が上手いから腕がいいとは思っていたけど……」
「あら。私って凄かったのね」
「お母さんのご飯、美味しいもんね」
お父さんがあまり外食が好きではないのは、商会の仕事で各地を回らなくてはならなくて、帰ってきた時くらいお母さんの料理を食べたいからだそうです。
携帯食のパンが、まぁ腐らないことを第一に考えているから、硬いそうです。外食のパンは普通に…いや、お母さんが作るパンの方が美味しいけど。
「スキルっていうのは、ここのスキルポイントを使って取得するんだ」
「え?私、ステータス画面は今日初めて知ったから、ポイントなんて使ってないけど?」
「ポイントを使わなくても、スキルを覚えられる場合があるんだよ。
例えば、スキルを持っている人に師事するとかね。料理や農耕は親から習っただろう?」
「だから農村でも親から子へ、スキルが伝わるのね」
「ハンナはそれでスキルを得ていたからだろうね。ポイントが大分溜まっているよ」
スキルとの相性や、スキル自体の難易度によって、必要なポイントが異なるそうです。
むむむ。それなら、色々な人に師事してスキルを覚えた方がいいのかな?
私が首をひねって考えたことをお父さんに聞けば、苦笑されました。
「ポイントで覚える方が楽なんだよ。まぁ、ミアはまだ子供だから、ハンナやアルフに色々習いなさい」
「はい」
便利だからといって子供の頃からポイントでスキルを覚えてしまうと、大人になって欲しいスキルのポイントが足りずに、困る人がいるみたいです。
ん?お母さんのスキルの中に、《魔法・水》《魔法・火》《魔法・空間》があって、《魔法・空間》のところに赤文字で、「※要確認」と書いてあります。
「お父さん、魔法の空間のこれってなあに?」
「ん?ハンナ、この要確認に触れて」
「はいはい」
お母さんがそこに触れると、ステータス画面の上に小さな画面が重なって表示された。
「《魔法・空間》を使うには、同スキルを既に取得している人に教わるか、書物等で学ぶ必要があります?」
「ああ、魔法は時に危険だからな。MPが切れるとその場で倒れるし、使えるようになる最初だけ、教わらないとならないことになっているんだ。
ハンナは、親に教わらなかったのかい?」
「火と水は教わったけど……空間って何?」
「空間には収納というのがあって、自分だけが使えるバッグを常に持ち歩いているようなものかな?魔力によって容量は違うけど、重さも感じないし、そこに入れておくと時間も経過しないから、劣化したり腐敗したりしないんだよ。
商人としては欲しい魔法だが、俺は使えないんだよな」
「……ちょっとよく分からないわ」
「ゲームのアイテムボックスとか?」
「ああ、なるほど。って、父さんが農具をポンポンどこかから出したりしていたのってこれね!」
お母さんが昔を思い出しながら言えば、ステータス画面に重なって表示されていた小さな画面が消え、《魔法・空間》に使用可となっていました。
スキルとその状況が一致したので、お母さんは教わった扱いになったようです。
「……なるほど」
お兄ちゃんがどうやら自分のステータス画面を見ているようです。腕を組んで難しい表情をしています。
「HPが150は、平均値超えなんだ」
「150?大人を超えているじゃないか!」
「スキルに剣術とか」
お兄ちゃんはステータス画面をお父さんに見せながら、色々話しています。
私もステータス画面を出してみると、赤い文字があります。
「システム解放前のため、一部制限されています?」
「ああ、ミアもアルフも、まだ魔力検査の前だからね。スキルに魔法が記されていないんだよ」
「……使えない訳じゃない?」
「俺もハンナも魔力量はあんまりないから期待はしないようにな。
それでも、二人とも水と火が使えるから、アルフも大丈夫じゃないか?」
「属性って、遺伝?」
「先祖帰りもあるから確実じゃないけどね。遺伝も関係あるんじゃないかって。まだ研究途中らしい」
この時からたまに、お父さんにステータスの相談をしながら、それでも今までと変わらない生活を送っていきました。
あ。色々調味料が作れて、お母さんがポイントで料理関連のスキルを取ったので、更に美味しい生活にはなっていきましたけどね。燻製とか。時間短縮のための錬金術のレベル上げたりとか。
私もお母さんのお手伝いを良くするようになって、ちょこちょこスキルを覚えました。
いいお嫁さんになれそうなスキルばかりですね、うん。レベルは初心者だけど、これからもちゃんとお手伝いします。生活力は大切です。
その後の話はそれとして、お父さんが鑑定のスキルを持っているんです。ということで。
「お父さん、これ鑑定して?」
「……変わったものだね」
うん、初めて見る人の反応はそうかもしれないですね。
「……味噌?」
「え?本当に?本当に味噌ってなってる?!」
眉を寄せたお父さんに、お母さんがつかみかかってガクガク揺さぶっています。
どうやら成功らしいので、きゅうりにつけてかぶりつきました。美味しいです。
「あっ!ミア!」
「おひひーよ?」
モグモグ。
お母さんの時間短縮スキルや料理とかもそうだけど、そこにお父さんの鑑定があったら色々作れそう。
だって、試しに作っても、ちゃんと出来てるか分からないし。発酵って、ちゃんとしてないと危ないから確認出来るって大事です。だから味噌だって、食べられずにいたんだから。
「うん、味噌だな」
「お米があるなら、日本酒と味醂が出来ないかなぁ?」
「……ミアは未成年だし、未成年だったよな?」
「日本酒って、料理酒として欲しいんだよ」
「ああ、そういうことか」
飲みたいなんて言っていません。酒蒸しとかは食べたいですけど。
「ん?しょっぱいが旨いな」
「ああ、味噌なんて食べられるとは思わなかったわ」
キッチンで立ったまま、家族できゅうりに味噌をつけて食べているなんて、ちょっとシュールです。
でも、家族がみんな食いしん坊なので、度々こんな状況になるのですが。美味しいご飯のためなら努力しますとも。
モグモグ。




