王様…酷いし口悪いっすよ
隣には放心状態の要。
周りには呆然としているコスプレな人達。
その中の王様みたいな人が口を開いた。
「成功……か?」
聞かれても知らないよ。
「まあ、一応成功です…多分」
多分ってボソッと言った!
口調からして多分王様の下にいる臣下みたいな役だろう。
「勇者はどっちだ?」
「綺麗な方が勇者様ですね」
「ささ、勇者様こちらへ」
臣下の一人が放心状態の要を連れて行った。
「そいつは牢にでもぶちこんでおけ」
王様…酷いし口悪いっすよ…
そして今牢にいる。
僕を連れて来た奴から鍵は盗れたから脱出はできる。だが監視がいるからうまくいかない。
さて、監視をどうするか。
僕が脱出方法を考えていると突然監視に声をかけられた。
「お前異世界の人間なんだよな?」
「うん」
「じゃあ異世界の話を聞かせてくれよ!」
「いいよ。ただし条件付きでね」
僕は今、相当悪そうな笑顔をしただろう。
「な、なんだ?条件って?」
「逃がして」
「無理だ」
即答ですか…
その時監視の隣にある扉が開いた。
出てきたのは僕と要が召喚された場所にいた臣下の一人だった。
「出ろ。勇者様が呼んでいる」
それはありがたい。
要に感謝感謝。
移動移動。
綺麗な廊下を歩いている。豪華すぎるし。
っていうかもういくら僕でも状況が理解できた。
かなりブッ飛んでるけど、ここは異世界。
だからこの人達もコスプレじゃない。
むしろここでは僕がコスプレな人だろう。
まあ、それは置いといて。要は勇者として召喚された。
僕は本来召喚されなかった。
つまりおまけ。
もしもあの時要に道連れにされなければ、こんな状況には陥る事は無かっただろう。
僕の隣を歩いているお喋り臣下さんの話では、要には強大な魔力があったらしい。
僕には一切魔力が無いらしい。
なんとも不公平な話だな。魔力の有無で勇者かどうか決めるなんて…っていうか僕は勇者って柄でも無いな。
どっちかって言うと、悪魔だし。
自覚はしてるよ。
そんな事を考えている内に目的地に着いたようだ。
扉が開き、僕とコスプレ要が一時間ぶりに対面した。
勇者要様!みたいな?