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はじめてはキミと  作者: けむけむ〆
8/48

最悪な始まり

久遠さん、じゃなかった、聖夜さんは王子とか言われてるけど、意外と大変なんだな…

と思いながら、家に帰った。


「やっと家ダァァァァ!」

自分でもびっくりするほど声が出た。ア○トニオ猪木並みだろうか…

きっと、転校初日で色々ストレスを感じてたんだろう…


「でも……いろんな事があったなぁ…って言うか1日にいろんな事がありすぎたって言うべきかな……」


本当に今日は怖いくらい充実?しすぎていた


「はぁ……なんか疲れたし、お風呂はいって寝るか……」


今日は疲れもあり、お風呂から上がった後、すぐに眠りについた。

そして、何かを忘れていることなんて気づきもしなかった。



ピチチチ……

スズメの鳴き声が聞こえて、うっすらと目を開ける。


「あぁ、良い朝だ!そして、休みだ!」

少しテンションを上げつつ、時間を確認するためにスマホを手に取る。


「今日は昨日早く寝たから、いつもより早く起きたなぁ」

と言っても、9時だが……


唯さんからメッセージがあります。


[もうすぐ9時だよ?まさか、また忘れてるなんて言わないよね?普通はもう来てる頃だよ?これに気づいたらすぐに準備してきてね?まあ、待ってるかは分からないけどね〜」


〜の後に、怒りマークが見える。

そうなのです、図星です……


「ご、ごめんなさい!」

聞こえるわけは無いのに、そう叫びながらソッコーで準備する。


そしてもちろん、目的地まで猛ダッシュ!

一つだけ助かったのは、駅前広場と家が近くて歩いて5分の距離にある事だった。


ハァ、ハァ……

ここまでの所要時間はなんと、7分49秒!

新記録更新です!

なんて言ってる暇もない。

とりあえず唯さんを見つけないと……


「あっ!」

人だかりの中に埋もれてる唯さんを発見した


「唯くん!」

声を掛けても聞こえてないみたい。

どうしよう……


「唯くん!痛っ…」

思いっきり誰かに足を踏まれた。


「ちょっと、押さないでくれる?」

性格悪っ……

顔は可愛いのに、性格が悪い、そして私のあしを思いっきり踏んだ張本人の女の子が、睨みつけてきた。


はぁ……

これだけ囲まれてたら、私じゃなくても他の相手見つかるよね……

もう帰ろうかな……

そう思って、くるりと向きを変えた瞬間……


「ちょっ!何帰ろうとしてんの?先輩!」

いきなり腕を掴まれた。


「あ……」

気づかれた……


「先輩、ちょっと走るよ?」


「は?……」

言い終わらないうちに、


グイッ

手を引かれて、走らなければいけなくなる。

ちょっと……

猛ダッシュの後にこれはキツい……

「「唯君!待ってーーー」」

先程の女の子達が追いかけてくる。


ハァ、ハァ……

流石に息が上がって来た……

とりあえず、そこら辺のカフェの裏へと逃げ込む。


ハァ、ハァ、ハァ……


「何で、ハァ……こんな事に……」


「元は先輩のせいだよ?普通は20分前くらいに女の子は来るもんでしょ?」

それ、逆でしょ……


「来ませんよ……普通。ハァ……しかも、なんで唯君だけ息切れして無いんですか…」


「流石に先輩よりは体力あるよ?話変わるけど、今日何時に起きた?」


いきなり嫌な事ブッ込んできたーーー!


「えっと……8時半?くらいかな……」


「嘘ついてるのバレバレなんだけど…。だってその時間に僕、先輩にメールしたけど、返信来なかったしね?」


ギクッ……バレてる……


「実際は、何時に起きたの?先輩?」

顔、笑ってるけど怖いです……

無駄な抵抗はやめよう……


「実は……9時ぴったりです……ごめんなさい」


「ふーん…もしかして、もしかしてだよ?

先輩、僕との約束忘れてた?」


「うっ…若干…」


「ふーん…そっか…僕、先輩に忘れられてたんだね…約束したのに…」


ちょっ!そんなにショボボーンとしなくても

いいのに……


「しかも、僕を置いて帰ろうとするなんて……」

確かに……ごめんなさい。

ん??

でも、帰ろうとした途端唯君に腕を掴まれたって事は……


「もしかして、唯君。私が来てたの気づいてた?」


「ん?なんの事?先輩が帰ろうとした時にやっと気づいたんだよ?」

ぜっっっっったい、気づいてたね……


「ただちょっと、困ってる先輩見るの楽しかったって言うだけだよ?」


そうだった……

この人、こういう性格だったな……もうとりあえず、謝っとこう。


「ご、ごめんなさい……」


「うん…………ブハッ」


「なっっ⁉︎何で笑うの?」


「自分でもびっくりだよ?さっきまでイライラしてたはずなのに、何だか焦ってる先輩見るのが面白くなってきて……」


「ちょっと!こっちは本気にしたんだよ?もう……」


「ごめんね、先輩?」

絶対思ってないな……


「それじゃあ先輩、行こっか」


「う、うん……」

こうして唯君と過ごす1日は、最悪の始まりを迎えたのだった。


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