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ラスト・エンジェル  作者: yukke
第3章 暴かれる正体
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クラスの人気者

「か~わ~い~い!!」


 クラスメイトが俺に集まってくる。今俺は、10歳の少女になってます。何故って、力を使いすぎたからだ。


 あれから、更に地面も直さないといけなかったから3回サイコロを使ったところ。その後、いきなり縮みました。

制服がぶかぶかになって慌ててた所に、望が近づき呆れた顔でカバンから小さめのセーラー服を出してくれた。

その時の顔が小悪魔みたいにニヤニヤしていたのが怖かった。

と言うか、望はいつも持ち歩いてたんだろうか。


「明奈~なんなのあんた~色々と可愛すぎ~」


「で、でも。明奈ちゃん、その姿不便じゃない?」


「うん、まぁね……」


 俺は自分の席に座りながら、足をプラプラさせる。

そりゃ、思い切り背が縮むだぞ色々不便だわ。

後、ほっぺぷにぷにするな。頭なでなでするな。


「この学年のアイドルは、クール系な堕天使の明奈と、おっとり系天使の朋美で決まりだね」


「ふぇっ??」


 あまりの言葉に2人一緒にビックリしてしまったよ。

なんで学年のアイドルにされなきゃならない。俺はそんな性格じゃない上に、西澤さんまでキョトンとしてるからな。お互いにその立場は荷が重すぎるぞ。


「それより、倒れてる柳田先生どうする? 保健室誰か連れてないと」


 忘れてました。担任の柳田は、HRが始まり俺を見た瞬間驚き、事情を聞いたら倒れました。それから起きません。


「この前決めた保健委員の人が連れて行ったら?」


「ちっ、しょうがないな~」


 そして、1人の男子が立ち上がり柳田先生の所に行き、肩を貸すような形で持ち上げズルズルと連れて行った。


「あっ、そういや私日直か。次の授業までに黒板綺麗にしなきゃ」


 俺は、自分が日直であることを思い出し席を立ち黒板へと向かう。

そして、黒板消しを持ち黒板を見上げた。

うん、この姿では。


「上が、届かない……」


 必死に手を伸ばして見るが、140センチあるかないかのこの体では当然届かなかった。


「かわいい~!!」


 今日何回目ですか、そのコール。と、次の瞬間。黒板消しを横から取られた。


「ふえっ?!」


「上の方は俺がやるよ」


 あっ、同じ日直の杉浦(すぎうら)


「あ、ありがとう」


「杉浦~お前、橋田さん狙ってんじゃね~ぞ~」


 男子達が茶化してくる。全く、男子はすぐこれだよ。女と仲良くしてたらすぐこうなる。


「うるせ~な、そんなんじゃね~よ」


 当然否定するよな。

この長身でセミロングをワックスで無造作にいじり、目は少しだけつり目の男子は杉浦誠(すぎうらまこと)。サッカー部であり、顔も整っているので中学の頃はモテたらしい。

だからって冷やかすなよ。俺なんかがこいつとつり合うわけは無い。

なんせ、俺は中身はまだ男だよ。まだ……ね。


「橋田さんは皆の物なんだぞ~お前だけが独り占めするんじゃね~ぞ」


「いつ皆の物になったんだ!!」


 勘弁してくれ、チヤホヤされるのは慣れていないんだ。同反応したら。


「へぶぅ!!」


 歩幅の事を忘れていた。席に戻ろうとしたら、段差を踏み外し顔面を強打してしまった。考え事しながらは危ないね。


「う~、歩きにくい……」


 打ちつけた鼻をさすりながら、席に戻ると篠原さんも西澤さんも心配そうにしている。


「大丈夫か? なにかあれば手を貸すよ?」


「あ、明奈ちゃん、それだと余計に黒板見えないよね? 席変わろうか?」


 2人とも、真剣に心配してくれてるんだな。何だか、涙が出そうだ。男の時ではあり得なかったね、こんな対応。

普通は皆心配なんてしてこないし、先生や大人の前でしか良い子ぶらないんだよね。

ここのクラスにも数名そう言う人は居るだろうけと、この子等は信じてもいいのかな。





 そうして、何とか無事授業は進み昼休みになり皆お弁当を食べ始めたり、学食に行ったりしだす。

因みに、席は今日だけ先頭です。はい、屈辱です。恥ずかしいです。

学校では、力を使いすぎないようにする。絶対にな。


「ねぇねぇ、明奈ちゃん。杉浦君見てるよ」


「ほえ?」


 そう言いながら、そちらに目をやると。慌てて顔を戻してる杉浦の姿が見えた。

なんだなんだ。何故見てた。


「ふ~ん、今朝の事で明奈のファンが増えたんだね。男って、ほんとに単純ね~」


 篠原さんが、呆れている。元男だから、男子の気持ちも分かるが。

こうもチラチラ見られたら落ち着かないなあ。


「明奈~! 大丈夫! ちゃんとやれてる?」


「あっ、望お姉ちゃん」


 心配して様子を見に来たようだ。

ただ、教室内がざわざわしだしている。

あぁ、そうか望もこの学校では人気があるんだった。


「へぇ、姉妹揃って美人とは羨ましいね~」


 何だかトゲのある言い方ですね篠原さん。

大丈夫だ、君もブスな方ではないからちゃんと好きになってくれる人は居るだろうね。


「な~んだ、そんだけ友達居るなら心配入らなかったか~明奈を宜しくね~」


 そう言って、望は手を振って退散していく。篠原さんと西澤さんは手を振り返していた。

望は学校内では、色んな人に分け隔てなく接しているみたいだな。


「良いお姉さんだね」


「私も、あんな姉貴だったらな~」


「あれ? 理恵ちゃんお姉さんいたんだ」


 でも、篠原さんの反応からしてあまり関係は良好だとは思われないよ。

だけど、下らないことで喧嘩ばかりするのが普通の姉妹なのだろうか。


「まぁね~あまり良い姉貴とは思わないな~男をとっかえひっかえしてるしね~」


 それはそれで苦労していそうだ。そのお姉さんを見てたら、彼氏とかそういうのを毛嫌いしてしまってそうだね。


「あっ、そうだ。明奈ちゃん、部活動何するか決めた?」


 急に思い出したかのように、西澤さんが俺に向かって言ってくる。

そうだった、もうそろそろ部活を何にするか決めないといけないんだった。

帰宅部で良いかな。とか考えていたら、西澤さんが困ったような顔で俺に頼み事をしてきた。


「あっ、あのね……実はね。私ある部活に誘われていて、でもそれが1人じゃ不安だし明奈ちゃんも一緒だったら、助かるかなって思って。だ、だめかな?」


「そうなんだ。何の部活?」


 俺は、自分で作った卵焼きを口に運ぶ。うん、中々上出来。


「あの、え、映画部」


「映画部? って映画を作ったりする部活だよね」


 だいたい、何て言われたかは予想できるな。

しかし、引っ込み思案のこの子が映画に出るのは難しいだろうに。作る方にしても技術がいる。


「『我らが部の新たな天使のモデルになってくれ』だって」


「ちょっと待って、新たなって事はすでに羽根生えてる人がいるか、いたって事だよね」


 その俺の疑問に篠原さんが答えてくる。


「2年のこの前、明奈が助けた人だよ。あの人、映画部だったよ。部活紹介の時に名前が載ってたから」


 なるほど、そういうことか。

さて、西澤さんへの返答はどうしようか。この子の性格からして、頼み事を断るというのは出来なさそう。


「でも、朋美がやりたい部活にした方が良いんじゃない? 無理やり入れさせられて嫌々やるくらいならさ」


「あの、私。運動部無理だから、文化部にしようとして探していたんだけど、文化部って全部特殊なのばっかりだったから」


 そうだったね、確か文化部は。

書道部。茶道部。華道部。お琴部。歌舞伎部。能楽部。

と言ったように、伝統技術の部ばかりだった。

伝統過ぎて、その道の人しか居ないんだよね。


「でね、2年で羽根の生えている人も居るからお近づきなりたいな~って。でも、不安だから明奈ちゃんも一緒に居てくれたら嬉しいなって。あ、もちろん迷惑だったらいいよ」


 多分、この子なりの最大の勇気振り絞ってるよね。モジモジしちゃって可愛いよね。

しょうがない、乗りかかった船だ。それに、友達増やそうとするなら部活はしないとね。でもこの体、運動神経皆無だから文化部になるね。

あっ、答えは一択しかなかった。


「分かったよ、私も部活しようと思ってたし。一緒に映画部入ろうか」


「ほんと?!」


 相当嬉しかったのか、西澤さんは最高の笑顔を向けてきた。

多分、男子だったらその笑顔で一般で落ちるよ西澤さん。


「それなら、帰りも部活終わって一緒に帰れたりするよね。2人とも電車でしょ?」


「あっ、そうだよね!」


 篠原さんがそう付けたすもんだから、西澤さんの笑顔が更に明るくなり、羽根も相まってなのか完全に絵に描いた様な天使になっている。


「やばい、学校の2大天使誕生の瞬間だ」


「ファンクラブ作ろうぜ」


「あ、良いね~このクラス主体で作ろうか」


 ちょっと待ってクラスの諸君。不吉な事を相談しないでくれないかな。

でも、もうその気になっちゃって色々動かれてますよ。

男の時ではあり得ない学校生活が始まるのでは無いだろうか。俺の頭には一抹の不安が過ぎる。


「ちゃんと、やっていけるかなぁ……」


俺は皆に気づかれないよう、そう呟いた。

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