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ラスト・エンジェル  作者: yukke
第3章 暴かれる正体
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約束

 北校舎の屋上。鍵が簡単に開いてしまうのは俺等しか知らない。

危ないから、普段は施錠されてるが南京錠や番号付きの鍵では無い為あまりしっかりとはされていない。

昼休みになり、俺はそこに鷹西さんに呼び出せれていた。因みに、事情を話し望にも来て貰った。


「さて、晃。説明してもらえる?」


「全く、全校生徒に羽根を披露するどころか、鷹西先生にまでバレちゃうなんて」


 それ以上は追求しないでもらいたい。俺のライフはもうゼロだ。

とりあえず、こうなった以上説明するしかなかった。





「そう、そんなことがね。信じがたい事だけど、朝に言った事とあの力を目の当たりにしちゃったらね、信じるしかないわね」


「鷹西先生は、いつからアキにいって確信が出来たの?」


 それは俺も知りたいな。今後、あの2人にまでバレないようにしっかりと心構えをしなければ。


「それは、朝の晃の説明の時よ。それまでは怪しんではいたけど、決定打に欠けていたから。でも、朝にクラスメイト達を浮かせたときのあの笑顔は、晃のままだったからね。それで、少しかまをかけてみたの。見事に引っかかってくれて良かったわ」


 そんな些細なことで。もし違ってても、ごめんなさいの一言で済むか。

なんか心配になってきたぞ。もしかしたらあの2人も。


「あぁ、あの2人はまだそこまで気づいてないはずよ。特に英二はね」


 現実主義の柳田なら、確かに怪しまないけどね。

男が女になるなんて非現実的な事、絶対に認めないだろう。


「あの、鷹西。当たり前なんだけどこの事は、皆には」


「分かってるわよ。言わないわ。それに、今のあなたの方が感じが良いわね。男の時にもそうすれば良かったのに」


「そう簡単じゃないんだってば……」


 今ですら苦労してるんだし、一朝一夕で変わるわけないだろうが。

 

「その代わり、1つ約束してもらえる?」


「ん? 何?」


「男の時と、同じ人生は歩まないでね」


「分かってるよ、そのつもりだから」


 すると、鷹西さんはにっこりと微笑むといきなり俺のおでこにキスをしてきた。


「ふえっ?」


 あまりの事に俺は目を丸くしてしまった。

でも、鷹西さんは若干顔が赤いです。これですら恥ずかしいとか、よっぽどだよね。


「さ~て、どうしようかな~今のあなたの方が可愛いし、我慢出来そうにないかも」


「えっ? ど、どういう事?」


 俺は、おでこに手を当てて聞き返した。

すると、隣の望が口を尖らせ鷹西さんを睨んでいた。


「む~、明奈は私のだから!」


 いや、待て何て言った今。


「あら、姉妹なんだからずっとそうでしょう? でも、そこに私も入れて欲しいかな~」


 うん、だから何て言った。

俺の耳がおかしくなったのかな。あの鷹西さんが。


「ちょっと待ってよ、鷹西はそういうことに免疫が無いんじゃ」


「あら、誰がそう言ったの? 私は、男性のあのいやらしい目つきが気持ち悪くて、あまりにも見てくるから恥ずかしかったのよ。でも、女の子や女性はうらやましい目つきか、嫉妬の目しかしないからね」


 要するに、俺達が勝手に思い込んでた訳か。どちらかというと男性に免疫が無かった訳か。

でも、それなら俺に対してもそうなるはずだが。俺の記憶の中では俺と会話するときは恥ずかしがっていなかったし、今みたいな感じだったな。


「晃だけは、違ってたね。そんな風な目では見なくて、男女関係なく対等に接してきてくれた。嬉しかったのよね」


 そういう事ね。別に女に興味無かったわけではないが、じろじろ見るのは無礼だと思ったし、女たらしの柳田が居たからな。あんな奴みたいにはなりたくないと思っていたのさ。


「晃が、こうなっちゃったし打ち明けるけど、私女の子が好きなの。晃が好きだったと言うよりも他とは違う反応をしてくれたから、親友みたいな感じで色々相談していたわね」


 な、何て言いましたか。確かに色々相談されたが、女の子が好きなんてのは一切見せなかったぞ。


「でも、まさか晃が女の子になるなんて思わなかったわね。私、晃がずっと女の子だったら良かったのにって思っていたから。嬉しい」


 あぁ、鷹西さんのイメージが崩れていく。女性って裏表激しいよな。こっちがある意味本当の鷹西さんか。


「む~、明奈は渡さないよ~私もアキにいの事が好きだったんだから~女になっちゃっても、その気持ちは変わらないしむしろ強くなってるんだから」


 ブルータスお前もか。じゃないよ。望までもが、そっち方向にシフトしてやがったのか。

誰のせいだよ。俺のせいだよ。

ぬあぁぁぁぁああ。こんなはずじゃ。


「何、グネグネしてるの? 明奈?! この人教師でありながら生徒に手をかけようとしてるのよ」


「あら、姉妹同士も問題よね? 仲が良い程度なら良いですけどね」


「どっちも問題だから~!?」


 やばい、このままじゃ収拾が付かない。どうすれば。

そうだ、ダイスで2人の俺への想いを消してしまえば良い。良い考えだ。

そう思って、指を鳴らそうとしたら2人にガッと手を捕まれた。


「ダイスは使わないで」


「はひ……」


 2人揃って怖いです。女の勘は鋭い。


「明奈への想いが消えたら、私ショックでここから飛び降りるから」


「私も晃への想いが消えたら飛び降りるから」


「あ、す……すいません。あと鷹西、今は明奈だからね」


「あっ、ごめんなさい。分かったわ明奈ちゃん」


 あぁ、なんか大変な事になってきたんですが。

百合ハーレムはごめんですよ。何とか回避せねば。

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