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ラスト・エンジェル  作者: yukke
プロローグ
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いつもの日常

 3月のまだ肌寒い時期、俺橋田晃(はしだあきら)(28歳)はコンビニのバイトを終え家路についていた。ちなみに、ルックスに関しては……普通かな……就活の為に横は刈り上げ、ワックスでショートの髪を少し立ち上げているくらいだ。


「今日は夜勤じゃなかったし、まだ夕方だ帰ったらちょっと家のパソコンで仕事探しするか……」


 そう、俺は大学卒業後就職できずにずっとフリーターをしている。

しかし、こんなご時世だ新卒で採用されなかった者に対する扱い等、誰もがご存じだろう。

全く、世の中はどうかしている。俺は大抵のことならこなすし、人よりは仕事が出来ていると思う。というか、最近の大学生とかの方が仕事ができない奴が多すぎる。


「ちっ……しかも、今日の新人なんだあれは……客にあいさつもせず、ブスッとしやがって。コンビニなんて、レジ打っときゃそれで良いと思ってるのか?」


 新人の態度に心底ムカついた俺は、小1時間ほど説教しといた。

店長は何故あんな奴を雇ったのか分からん。


 そんなことを考えている内に実家に着いた。

バイト先のコンビニから実家へは、10分くらいで着く。

コンビニは大通りに面しており、近くには駅まであるため電車の発着のたびに客が押し寄せてくる。正直、面倒くさい所に作りやがってと毎回思う。

そこからまっすぐ進んだところに、細い道路と繋がりそこからは住宅街が続いていた。

そのまま住宅街を進んで五分くらいで、我が家に着くのだ。


 俺の実家は3階建ての4LDKのコンクリート製の家だ。ある程度の広さはある。

一応、車が1台が止められる駐車場もある。止まってる車は高級車ではないからな。


「というかオヤジもう帰ってるんか。早いな今日は」


 我が家の車は、専らオヤジの通勤用に使われている

なので、駐車場に車があると言うことはオヤジが帰ってるということだ。

その横の門を開け、2~3段の階段を上がり玄関に向かい扉をあけた。


「ただいま~」


 俺は、自分では疲れてないと思うのだが、意外と声が疲れた声をしていたので驚いた。自分では分からないもんだな疲労なんて。


「おかえりなさい」


 2階のリビングから、母さんが返事をした。

ちなみに我が家の内部は、玄関を開ければすぐ左手に階段があり2階と3階に繋がっている。1階は、突き当たりに部屋が2つ。1つはオヤジの書斎になっている。1つは夫婦の寝室ってやつだ。

階段横には、トイレや洗面台、風呂等の水回りがある


 そのまま、俺は階段を上がりリビングに入る。

キッチンでは母さんが夕食の準備をしている。

最近顔の小じわが目立ち始め、白髪も数本出てきたのを嘆いていた。

俺からしたら歳を取るのはどうしようもないことだ、白髪が生えない方がおかしい。嘆くよりも、順調に歳を重ねて年季が入ってる事に喜ぶべきではないだろうか。


 中央のテーブルには、まだ皿は並べられていない。

晩飯までまだ1時間近くはかかりそうだな。

すると、テーブルの奥のソファーから、テレビを見ていたオヤジが俺に話しかけてきた。オヤジも50代になり、仕事も部長まで上り詰め渋さが出てきた。しかし、俺とはどうもうまがあわない。


「おい、この前の面接はどうだった?」


 オヤジは、就職出来なかった頃から俺に話しかける事はあまりなかったのに、珍しいなと思ったらそんなことか。


「ダメだったよ。全く、絶対会社に利益出してやるって言ってんのに」


「お前のその自信はどこから来るんだ?」


 オヤジは、呆れた口調で俺に小言を言ってきやがった。


「ほっといてくれ、余計なお世話だ」


「お前が採用されないのはそう言うところだ。いつも言ってるだろう? その性格の悪さが人事の人達に、マイナス印象を与えてるってな」


「じゃぁ、嘘でもつきまくって媚びを売りまくれと!?」


「そうではない、外面をよくしろと言ってるんだ」


 まったく、ぐちぐちとうるさくなってきた。俺は、外面いいだけの善人ぶった奴らが大嫌いなんだ。

そして、俺もそんな奴らと同じにはなりたくなかった


「いつも言ってんだろう、善人ぶった奴らが俺は大嫌いなんだってな!」


「やれやれ……社会とは、そういうものだぞ。お前は社会人に向いてないようだな」


「そうかい。じゃぁ、俺はこのまま仕事もしないであのクソ豚のような弟のようなことをしろ!?」


「お前に向いた仕事を探せと言ってるんだ、そういう頑固な所は誰に似たんだ」


 それこそ余計なお世話だよ。

俺はイライラしてきたので、とっととリビングを出たかった。

しかし、出ようとした時タイミングよく母さんが俺に言ってきた。


「もうすぐ、ご飯だから皆を呼んできて頂戴」


 気付いたらそんなに時間がたっていたのか。

めんどくさいが仕方ない。俺はしぶしぶ3階に上がり、弟と妹の部屋に向かった。

俺には、クソみたいな弟橋田守(はしだまもる)(20歳)と、妹の橋田望(はじだのぞみ(17歳)がいる。


「お~い、飯だってよ」

それぞれの部屋に俺は声をかけた。


「兄貴~またオヤジと喧嘩か? いい加減いい歳なんだしやめとけよ~」


 そういいながら、階段の近くの部屋の扉が開き中から100キロ超えしていてもおかしくない、そんな巨体を揺らしながら部屋からでてきた。髪は短めだが、身なりに気を使わないこいつはフケが溜まってそうな感じだ。

そして、お気に入りの萌えキャラがプリントされたTシャツを着ているが、太った体に引き伸ばされもはやキャラがかわいそうになってくるぐらいに、引き伸ばされていた。

顔なんか眼鏡を掛けているし正直ブサイクと言わざるを得ない、こいつを好きになる女なんざいるわけないだろう、そんな顔をしている。

こいつが弟の守。通称ブタだ。そう、俺の大嫌いな人種。オタクだ。


「うるさい。だまれ、なんでオヤジ達は何の文句もいわね~んだ。ずっと家にひきこもってるくせに」


「そりゃぁ、これでもちゃんと稼いでるからな~兄貴と違ってな」


「このブタ野郎……」


 俺は怒りに震え、拳を作り握り締めた。

正直、あと一言余計な言葉が出ればぶん殴る。すると、それを止めるように奥の部屋から妹が出てきた。


「やめなよ……守お兄ちゃん言いすぎだよ」


 この黒髪のセミロングで、ウェーブを掛けた所謂ゆるふわというやつかそんな髪型をしていて、二重で目じりだけ下がっている。要するに、美少女顔をしたこの女子が俺の妹橋田望(はしだのぞみだ。

高校2年だが、スタイルはよく胸もDあるという。学年一の美少女と言われているらしいが、本人は気づいていない。少し天然は入っているが、俺にとってはかわいい妹だ。ブタなんかよりはな。


「アキにいはこれでもいろいろと悔しい思いしてるんだし、お父さんの言うこともわかってるんだから。あんまり逆なでしないであげて」


何故か望は昔から、俺のことは『アキにい』と特別な呼び方をする。


「はいはい、わかりましたよ~」


そう言いながらブタは降りて行った。


「すまん、望」


「ううん、良いよ」


 そう言って、にっこりほほ笑むと望も下に降りて行った。

オヤジの言うことも分かっているさ……だけど、納得いかない……

俺はそう考えながら、部屋に荷物を置き再び下に降りた。

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