第五話 真実と覚悟
シオンはまた大きくなっていた。
身長はステラより少し高くなっていた。
ステラにとっては一瞬のことすぎて
その成長が嬉しくもあり悲しくもあった。
「ねぇ、母さん」
「どうしたの?」
いつものようにステラがお湯を沸かす魔法でお茶を入れているとシオンが話しかけてきた
「母さんはハーフエルフなんだよね、」
「ええ、そうだけど」
「僕と母さんは最後まで一緒にいれないの?」
「ハーフエルフの寿命、図書館の本に載ってたよ」
ステラは黙り込んでしまう。
いつかこの日が来ると思っていたがステラにとっては早すぎた。
それでも息を呑み、覚悟を決めたようにつげる
「そうよ、私と貴方は最後まで一緒にいれないかもね」
「でも、大丈夫、貴方が望むまでお母さんは一緒にいるからね」
「母さんは?!」
「母さんは苦しくないの?」
「……」
苦しくないといえば嘘になる。
この世界はステラやハーフの混ざり者たちに厳しすぎる。
「苦しいけど、お母さんのことはいいの」
「貴方が幸せならいいの」
「僕が絶対母さんの居場所作る!」
「えっ?」
「だって僕母さんが居なかったら今ここに居ないよ、」
「だめよ、貴方の人生なんだからしたいことをして生きなさい」
「僕がしたいんだよ」
あまりに優しい声でシオンはいう
「僕はずっと貴方に守られてきた」
「その短い髪も僕のために切ったんでしょ?」
「その手の傷も僕を守って出来たんでしょ?」
「今度は僕が母さんを守る番だ」
優しく手を握り問いかけてくる。
母としては短い息子の人生を自分のために使ってほしくはなかった。
それに、シオンを守るのを苦だと思ったことなんて一度もなかったから、
でも、ステラもシオンがいない世界が怖かった。
味方がいない世界が怖かった。
「大丈夫だよ、」
「母さん一緒に居場所を作ろう?」
「今まで気づけなかったけど」
「一万年生きるエルフは遅すぎる、僕や人間獣人の100年は早すぎる。母さんは真ん中でずっと一人で立っていたんだね、」
「絶対、僕が母さんの残りの人生が寂しくなくなるような居場所を作るよ、」
「ありがとう、シオン…」
いつの間にこんなに大きくなっていたのだろうか、
心も身体もシオンはステラを追い抜いていく
ステラにはもうシオンは自分よりもずっとずっと強く見えていた。
「母さん、もう少し僕を頼っていいんだよ」
「我慢なんてしなくていいんだよ」
「もう、十分すぎるぐらい僕は貴方に守ってもらったんだから」
「本当に大きくなったね、」
「シオン」
ステラは自分より少し大きくなったシオンを優しく抱きしめた。




