第五話 変わらぬ味
「う〜ん、この魔法疲れるね」
『音を聞こえづらくする魔法』の練習を終えてミラが休んでいた。
「お疲れ様、お茶淹れたよ」
「ありがと!」
ゴクゴクと飲んでいく
「ふふ、やっぱり苦いね」
「ほんとに?!またやっちゃった…」
「先生のお茶はこれでいいんだよ、無理して完璧に淹れなくても、」
「先生だっていつも言ってるでしょ?」
「完璧じゃなくていい失敗していいって」
「そうだけど!流石に私はできなさ過ぎじゃ…」
「このお茶学校の皆んなも好きって言ってたし私も好きだからいいの!」
「先生も一緒に飲もうよ!」
「ええ…」
ミラに引っ張られて隣に座る。
お茶を口にすると苦い。
シオンに出していたときと全く変わらない味だった。
「シオンにも言われたなぁ…」
「母さんのお茶いつも苦いって…」
「きっとシオンさんも先生のお茶好きだったんだよ!」
「ええ、いつも好きだと言ってくれた」
「やっぱり?」
「じゃあ先生苦さなんて気にしなくていいじゃん!」
「そうなのかな…」
「そんなことより飲み終わったまた教えてよ!」
「そんなに焦らなくていいのよ?」
「疲れているでしょう」
「……ゆっくりではダメなんだよ」
「なにか言った?」
「なんでもないよ!」
「私がこの魔法好きなだけだから早く!」
「分かったから!少しだけでいいから休んで!」
ミラは分かっていた。
ステラがもうすぐ居なくなってしまうことを。
ならせめて自分が『音が聞こえづらくする魔法』を覚えていれば安心してくれる。
心配かけないで済む。
だからこそ、早く覚えたかった。
タイムリミットが迫っていく中
ただ目の前にいる先生であるステラにこの魔法を見せるために、
そして安心してステラが眠れるように
温かくて優しい魔法が未来へと繋がるようにミラは毎日一生懸命取り組んだ。




