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全主人公中で最強五指に入りたいダンジョンコア持ちアイテム士の無双界隈  作者: くろのわーる
第2章 夏休み界隈

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71話︰凱旋と・・・

あけましておめでとうございます!



 戦いが終わり、閑散な雰囲気の中に瓦礫を避けながら1台の車が近寄ってくる。

 その車は陣内陽輝の近くに止まると中からは黒服の護衛達が降りてきて、しきりに頭を下げている。

 恐らく、御神健士と陣内夏輝の輸送に失敗して、陣内会長の足を引っ張ったからだろう。


「お前らも早く合流して、がっつり怒られて来いよ」

『それは良いわね』

ワフン!(面白そうね!)


 俺の正論に健士と夏輝は自分達が仕出かしたことを思い出し、真っ青な顔になる。


 その顔にはどうかついて来てと書いてあったが俺が2人の事を庇うとでも思っているのだろうか?片腹痛いわ。


 中々、一歩を踏み出さない2人とは別に怒りを超えて無表情な護衛が俺達の方へ近寄いてくる。


「颯夜さん、唯衣さん、モコ様お疲れ様でした。この後は探索者協会本部に凱旋しますので出来れば、ご一緒下さい」


 モコにだけ様付けなのは腕試しの時、モコに拘束され変な趣味に目覚めたからだろうか。

 何かモコを見る目だけ違うし、こいつはヤバイかもしれない。


「それから健士!夏輝!」

「「は、はいぃ〜!」」

「お前達には後でじっくりたっぷり話しがあるからな」

「「・・・はぃ」」


 2人はこれから絶望的な戦いに赴くかのように気が重く、消え入りそうな声で返事をするのが精一杯であった。





 行きと同じように全員で車に乗り込むと車は探索者協会本部に向けて走り出す。

 護衛達が頻りに連絡をしているが出迎えの準備と崩壊したダンジョンの後処理について話しているようだった。


 来た時と同じ時間で探索者協会本部に着くと行きとは違い、本部前は英雄を出迎えようと沢山の探索者達で本部前は疎か街道にまで溢れ返っていた。

 まるで某有名テーマパークのパレードがこれから催されるかの雰囲気に俺は呑まれかける。


 そして、俺達が乗る車が探索者協会本部に近付くと大きな歓声が上がる。


「こ、この中を歩くのか?」


 思わず出てしまった俺の本音に護衛の1人が答えてくれる。


「はい、皆様は偉業を成し遂げましたのでそれと新たな特級探索者が誕生した事はすでに探索者協会及び探索者達の間では周知の事実であり、今回の凱旋はお披露目も兼ねていますので堂々と気張って歩いて下さい」


 ・・・マジかよ。でもよく考えたら俺には認識阻害があるから良いかと開き直る。

 唯衣とモコはたぶん気にならないタイプだと思う。


「では行くぞ!」


 説明も終わり、陣内陽輝会長の掛け声で陽輝を先頭に俺、唯衣、モコと続き、その後ろを元気のない健士と夏輝、精神的に疲れ果てた護衛達が続く。


 先頭の陣内陽輝が車を降りると歓声は爆発的に上がる。


「うぉおおー!会長ぉー!」

「あ、あれが探索者最高到達点!カッコ良い!」

「会長って、めちゃくちゃ若くないか!?」

「流石、俺達のトップ!雰囲気が段違いだぜ!」

「闇ギルドを壊滅させるなんて!新たなる伝説の始まりだ!」


 称賛や驚きの声が上がり、続いて俺達が車を降りると陣内会長に向けられた熱気は一気に静まり返る。

 俺と唯衣は大鎌を肩に担ぎ、モコは本来の姿に戻り気品溢れるウォークをしているがその姿は異様と言えよう。


「(あ、あれが新しい特級探索者達かよ…)」

「(大鎌なんて持って、まるで死刑執行人じゃねえか!?)」

「(なんだよあの従魔!?絶対ヤバイだろ!)」

「(ゴクッ)」


 ヒソヒソと聞こえてくる声には驚愕と得体のしれない畏怖に濡れていた。


 俺達のインパクトが強過ぎたのかその後の健士、夏輝、護衛はまるでいない者と扱われ、そのまま探索者協会本部の中へと入る。


 探索者協会本部に入ると陣内陽輝が会長らしく、職員に指示を出していく。


 まあ指示の内容は簡単に言って、本気出して闇ギルド潰したらちょっと散らかしちゃったから上手いこと片付けてきてというものだ。


 職員は陣内会長からの指示を受けると依頼書の作成に取り掛かる。

 会長の護衛からの連絡で既に現場には責任者達が到着しているのだ。


 現場からの情報で必要な人材をピックアップすると次々に指名依頼を出して、指名された探索者達が慌ただしく、本部を出て行く。


 それを横目に俺達はエレベーターに乗り込み、会長室に着くなり、緊張していた身体をソファーに預けてゆっくりする。


 健士と夏輝は表情を引き攣りながら会長室の入り口で直立不動で立っている。

 当然である。彼らはゆっくりなんて出来ないのだ。

 そう彼らの戦いは今から始まるのだ。大説教に耐えるという名の戦いがね。


 陣内陽輝、俺、唯衣がソファーでお茶を飲みながらゆっくりしている後ろで早速、護衛達に詰め寄られ、健士と夏輝は正座をさせられて項垂れる。


 モコは再び小さくなって尻尾をルンルンに振りながら俺の膝の上で撫でられながら寝ているよ。


 陽輝会長は説教される2人に一瞬だけ目をやると年齢にそぐわない微笑ましい笑顔を見せ、飲んでいたお茶をテーブルに置いて、俺達の方を見てくる。


「君達のおかげで宿願がようやく叶ったよ。改めてお礼を言わせてもらう。ありがとう」


 頭を下げて、再び上げた顔には憑き物が取れたように晴れやかで清々しい顔があった。


「これで俺も思い残すことなく、息子と妻が待つところに行ける」

「まるですぐにでも死ぬみたいな言い方だな?」


 俺の返しに十分な間を空けると表情を変えて答える。


「ああ、俺は明日には死ぬ」


「「・・・」」


 陣内陽輝の発言で説教していた護衛達も正座している健士も夏輝も室内の時間が止まったかのように静まり返る。


 健士、夏輝、護衛達は固唾を飲んで陽輝の続く言葉を待っているが俺達は冷静だった。

 特に唯衣には心当たりがあるようで普通に聞き返す。


『若返り薬の代償ですか』

「そうだ」


 陣内陽輝の答えは至ってシンプルだった。


「「「っ!?」」」

「じいちゃん!今時そういう冗談は流行らないぜ?」

「う、嘘ですよね?師匠」


 信じられないのか、嘘だと言ってくれとみんなの顔には書かれていたが現実は変わらない。


「みんな、悪いな」


 陣内陽輝は悪いなと言いながらも全く悪いと思っていないことが見て取れる爽やかな表情をしていた。

 そして、健士、夏輝、護衛達は陣内陽輝の傍に寄り、泣きはじめた。


『(颯夜)』

「(どうした?)」

『(薬の代償をなかった事にする方法があるけど、聞く?)』

「(ほほう、面白そうだし聞かしてもらっても)」


 今生の別れを惜しみ泣き崩れる者達を余所に俺と唯衣の雰囲気をぶち壊す密談は始まった。



次回はちょいグロい話なので注意してください。

そして、三賀日には相応しくないと思うので1/5に投稿します。

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