66話︰うおおぉぉ!
真面目にファンタジーバトル書くの久しぶりかも…
「楽に死ねると思うなよ、黒腹。簡単には地獄へは行かせぬからな!」
陣内陽輝はそう台詞を吐くと腰に帯びていた片手剣を抜き放つ。
その剣身は気勢に呼応するように青白い放電を伴い、バチバチバチッ!と大気を焦がし、周囲にはオゾンの匂いが漂う。
折悪しく、オゾンの爽やかだが独特のツンとした匂いで黒腹は気持ちを持ち直す。
「さっきから聞いていれば!ロートルの分際で!いい気になるなよ!換装!」
黒腹もついに覚悟を決めたのかダンジョンマスターになってから修得したスキルを使い、戦闘の為に全身鎧の装備を身につけて、アイテムボックスから大きな盾とハルバートを取り出して構える。
その構えは堂に入っており、一部の隙も感じられなかった。
黒腹はダンジョンマスターになった後、悪の道に染まったとはいえ、元は探索者協会副会長の地位にまで昇り詰めた剛の者。
当時は今よりも完全実力主義の探索者協会で成り上がるには半端な実力では到底達成出来ない副会長の座に実力でついた。
さらにダンジョンマスターとなり、不老を手に入れた肉体は当時のままで陣内陽輝とは違い、その肉体には衰えがない。
しかし、元々でっぷりとした体型をしている為、あまり俊敏には動けそうには見えないが黒腹は元『上級重装戦士』の職業に就いていたので速度不足を硬い防御と重いカウンターで補うスタイルを得意としていた。
「我が鉄壁の守り!破れるものなら破ってみろ!」
自分への鼓舞なのか大声を上げると補助スキルを唱えていく。
「大鎧の城壁!」
「大盾の城壁!」
「巨人の剛力!」
「超反応!」
「闇神の守護!」
構えた黒腹は固有スキルを重ね掛けで発動させ、自身の定石となるカウンターでの必勝パターンに持ち込もうとする。
それに対して、陣内陽輝も自身の定石を実行する。
「戦場に雷鳴を轟かせよ!雷神纏衣!!」
「雷迅の煌めきと成せ!疾風迅雷」
「世界を照らす光となれ!光神剣!」
オリジナルスキルを発動すると陣内陽輝が纏っていた白色を基調としたコートや装備は一層輝きを増して、全身に青白い雷を纏う。
剣は更に輝きを増して、聖剣や神剣と言われても信じてしまう程の存在感を放つ。
その姿はまさに地上に降り立った雷神。これまで幾度となく闇の住人達を震え上がらせてきた強者の姿だった。
「いくぞぉ!!黒腹ぁ!!」
「返り討ちにしてやるわ!陣内ぃ!!」
激しい戦意を纏う2人の視線は絡み合い、戦いの火蓋は切られる。
黒腹へと向かう陣内の動きは速すぎて、瞬間移動したのではと疑う動きだったが黒腹は大盾でしっかりと受け止めていた。
ガァキキィィン!!
「くっ!?相変わらず、小癪な存在め!」
陣内の剣撃を受け止めた黒腹の足下は攻撃の重さで僅かに陥没し、その衝撃が部屋の窓ガラスを吹き飛ばす。
「雷光撃!」
どれだけ部屋が壊れようが陣内陽輝の視界に入るのは黒腹のみで、更に追加攻撃と言わんばかりに陣内は剣に纏う雷撃の威力を上げて、貫通ダメージを与える。
「ぐぅぅあぁぁ!!効かぬわぁ!」
電撃が陣内の剣から黒腹の大盾へそして、黒腹自身へと届くがエレボスダークガードによって、その威力は軽減されている。
「昔の俺だと思うなぁ!!断絶反撃!」
「くっ!?」
黒腹の放つハルバートでの反撃に当たれば、ただではすまない威力があると判断し、陣内は素早くサイドステップで回避する。
ズバッーン!!
陣内が元居た場所は真っ二つに抉り斬られ、その威力の傷跡は部屋の外まで続く。
その威力と黒腹の反応速度を見た陣内は心の中で舌打ちをする。
25年前だったら黒腹を圧倒することは容易だったはずなのに久しぶりに全力を出す自身の肉体の衰えは深刻で現状では良く言って、互角の戦いを演じている。
今はまだ互角でも戦いが長引けば長引く程、自分が不利になっていく姿が思い浮かぶ。
だからと言って引くことなどあり得ない。自分がどれだけこの時を心を焦がし待ち望んだことか・・・。
ならば、することはひとつ。早期に決着をつけるしかない。
黒腹から少し距離を取ると戦いのロジックを瞬時に組み立て、早期決着を狙って実行する。
「天上の怒りよ降り注げ!幾千の雷光!」
「ぐっ!?面倒な真似をぉ!闇神の大盾!」
黒腹は直前に発動した闇の結界で自身を覆い包むと大盾を頭上に構えて、全力で耐える体勢を取る。
一瞬遅れて、陣内の発動した魔法は部屋の天井を突き破って降り注ぐとあっという間に空間を隙間なく埋め尽くす。
まるで雷神の裁きを彷彿させる幾千の雷光は破壊の限りを尽くし、この部屋に留まらずダンジョンビルごとボロボロにする勢いで降り注ぎ続ける。
「まずはその貧弱な結界ごと貴様の身体を削り取ってやるわ!」
「ぐぅぅう!?」
黒腹は雷光が降り注ぐ度に自身の闇の結界が削り取られ、その身に突き刺すような痛みが襲うが歯を食い縛り必死に耐える。
陣内もここで決着をつけるつもりで魂を削るように魔力をその思いを込めて放つ。
「おおぉぉぉ!!」
「うおぉぉぉ!!」
崩壊するビルの中には必死に攻める陣内と決死に守る黒腹の咆哮が木霊する。
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陣内陽輝以外の戦いが終わり、それぞれがひと息ついているとダンジョンビルは轟音を響かせながら激しい揺れを伴い、崩壊の兆しを見せていた。
危険なダンジョンビルの中、黙礼する颯夜の場所に唯衣が転移してくる。
『颯夜!このままだとダンジョンが崩壊するわ!早くダンジョンコアを回収しましょう!』
「わかった、モコは?」
『モコちゃんはもう秘密基地に入ってるわ!』
清十郎はまだ瓦礫の下にいるが優先順位は低い。
あまり時間がないようなので唯衣に従い、ボスの部屋に隠された扉からコアルームに移動する。
そこには最近では見慣れたダンジョンコアが浮いていた。
『颯夜、ダンジョンコアを回収したらこのダンジョンビルは機能を失って、すぐに崩壊するから気をつけて!』
唯衣の忠告に従いダンジョンコアをアイテムボックスにしまうと急いで秘密基地に移動するのであった。
勿論、清十郎も唯衣によって転移させられている。
そして、俺達が秘密基地に退避した数秒後、ダンジョンコアの力を失い修復が出来なくなったダンジョンビルは呆気なく崩壊した。
陣内︰くそっ!つけ入る隙がないだと!?
作者︰くそっ!ボケる隙がないだと!?
作者︰あっ!陣内の雷神纏衣後の姿って…スーパーサ
陣内︰黙っていろ!なろう神雷!




