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全主人公中で最強五指に入りたいダンジョンコア持ちアイテム士の無双界隈  作者: くろのわーる
第2章 夏休み界隈

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63話︰唯衣よ



 私は初めての思考に混乱していた。


 私はダンジョンコアがベースのAIだ。考えることや計算は得意だが人の感情の多くを理解するにはまだ時間を要する。

 それをカバーする為に4つ目のダンジョンコアは秘密基地の補助機能を強化するために使った。


 颯夜との初めてのお出掛けは良かった。これまで感じたことのない感情が芽生えた気がする。


 ダンジョンコアの力を偏らせたことで颯夜には文句を言われはしたが最後にはまたデートの約束をしてくれた。

 そのおかげで私の中のダンジョンコアが熱くなった。これは今まではなかった感情なのだと教えてくれた。

 だからダンジョンコアの力を補助機能に多く振ったことは正しかったと思う。


 今回も颯夜が強くなる為には時には倫理から外れる必要があると考える一方で颯夜には倫理に外れたことはしてほしくないと考える私がいた。


 どちらも颯夜の為であり、どちらも私にとっては正しいことで間違っていることだった。


 どうしたらいいのか解らない。


 結果、これだけでは判断が出来ないとこれまでの颯夜と過ごした刻から判断して、私は後者を選択する。

 しかし、颯夜が出した答えは違った。


「俺は誰よりも強くなる。そして俺の道を邪魔する奴は許さない。例え、相手を殺すことになったとしても後悔はしない。その罪さえも背負ってみせる」


 颯夜は前者を選択し、私は颯夜のことも解らなくなった。

 いつも傍にいて、いつも颯夜のことを気にかけ、颯夜の行動を解析していたのに・・・。


 気付けば、私は颯夜に抱き着いていた。どうしてこんな行動をとったのかも解らない。

 そんな私を颯夜は強く抱きしめてくれる。


 この時、答えを出すだけが正解ではないのだと思った。

 答えのないものを抱えることも感情なのだと…。

 これが困惑するという感情かぁ。


 時には相手に決断を委ねても良いのだと颯夜が教えてくれた気がした。

 それも感情なんだよと…。これが信頼、そして安堵。


 私は颯夜を信じることにした。人の感情を理解していなかった私は今まで上辺だけでしか颯夜を信じていなかったのかもしれない。

 でも、もう違う。


 私は颯夜に孤独な戦場を告げる。


『(颯夜、ここでは乱戦になって戦い辛いので個別に戦いやすい場所に転移させます)』


 私は颯夜を信じる。颯夜がどんな苦境に立たされようと必ず乗り越えると。

 この戦いが終わったら颯夜はまたひとつ成長していると信じて。

 そして、更に成長した私を見てもらうために。


 なのに目の前にいる男は・・・。




「ちっ!俺の相手は奇妙な女かよ。せいぜい可愛いがってやるか」


 颯夜をダンジョンマスターの部屋に残し、私が転移した先では男がぶつぶつと文句を言っている。


 その男はさっきまで陣内陽輝を目の前にして、気後れしていたくせに見た目が女の私と2人きりになった途端に態度を変える。


「女!俺を含めて、部屋にいた幹部を転移させたのはお前か?」


 そして、自分の態度が世の中の女性達から心底嫌われるタイプだと気付いていないのだろう。

 ・・・軽蔑しかない。


『・・・』

「おい!何とか答えろ!」


 大して強くもないのにどうして、こうも横柄な態度が取れるのか正直言って理解不能だ。


『目障りだから黙ってくれる』

「はぁ?何だって?よく聞こえねぇな!」


 やっぱり、私もこの手のタイプは嫌いだ。大嫌いだ。まさに社会のゴミ。闇の住人の時点ですでにアウトなのにその腐った性根、叩き直してからあの世に送ってやる。

 私の目からハイライトが消える。


『(槍の罠、トラバサミ)』


ザシュ!ガシャン!


「ぎゃあー!?」


 私が発動した槍の罠は足の甲を貫き、トラバサミは足首に喰い込み、絶妙な力加減で男を床に固定する。


『こんなものも避けれないなんて、大したことのない男ね』


「い、痛い!早く!これを解け!女!ぐぁ!?」


 狙ってやっているのに解けと言われて解く馬鹿はいないと解らないのかしら…。そう言えば、この男はそういう男だったと思い出す。


『今から貴方を教育してあげる。答えていいのはハイだけよ。わかったわね?』


「ふ、ふざけんなぁ!ぐぎゃ!?」


 ハイ以外を喋ったのでシャドウスパイクでお尻を突き刺して、お仕置きした。


『ハイ以外を言えば、今みたいに突き刺すわよ。わかったわね?』


「は、はいぃ!ぐぁあ!?今、はい!って言っただろうがぁ!?ぎゃあああ」


 私が言った「ハイ」ではないので突き刺しただけ。何か文句でもあるの?ないのなら貴方もハイって言いなさい。


 今回のことで私は新しい感情を学んだ。


 折角だからこの男からも恐怖という感情を学ばしてもらう。私の成長の為にね。


 唯衣は徐々に攻撃の手を強めていき、空間には男の「はいぃ〜!」や「はひぃ〜!」と言った声が響いた。

 だが唯衣の言う「ハイ」ではないので攻撃が止むことはない。


 まだまだ感情に疎い、唯衣は狂気を知らず知らずの内に身につけたことに気付いていない。


 それはダンジョンコアと颯夜のスキルから生まれた無垢な存在故の行動。


 唯衣の成長はまだ始まったばかりだ。




作者︰ただの狂気じゃね?

唯衣︰教育が必要なようね。

作者︰ヒィィ!?

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