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全主人公中で最強五指に入りたいダンジョンコア持ちアイテム士の無双界隈  作者: くろのわーる
第2章 夏休み界隈

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55/70

55話︰・・・



 再び交渉が始まった席は最高に良い雰囲気になっていた。


「「・・・」」


 この交渉において、俺が立場的に上だと解らせたことで俺に有利しかないという意味で最高の雰囲気と言ってみた。

 勿論、俺も唯衣も大鎌を持ったままだし、座る位置もさっきと違い下座から上座に移動している。けど何か?


 俺は御神と陣内会長を見渡し、2人とも覚悟を決めた目をしていることを確認したので話し出す。


「こちらが協力するにあたって、条件をいくつか呑んでもらう」


 条件の前振りだけで陣内会長と御神は身構える。


「まず、俺と唯衣を特級探索者にしてもらう」

「ふむ、わかった」

「・・・」


 特級探索者とは探索者の頂点。トップオブトップである。

 現在、この中部地方で特級探索者に認定されているのは陣内会長のみ。

 それだけ特級探索者になるのは難しいがこの条件はすでに実力を示しているので呑ませるのは簡単だと思っていた。

 現に探索者協会のトップたる陣内会長は考える素振りもなく了承する。


「そして、俺と唯衣の情報はここにいる人間以外には閲覧出来ないようにしてもらう」

「わかった。厳罰をもってあたろう」

「・・・」


 探索者協会も陣内会長が高齢とあって、後釜を巡り一枚岩ではないと聞いたことがある。

 念には念を入れても損はないだろう。


「次にここにいるモコと今日は連れて来ていない従魔達の登録をしてもらう。その際も情報の閲覧はなしにしてもらう」

「それは問題ないが他にも従魔がいるのか・・・」

「・・・」


 これで堂々とモコ達と出掛けることが出来るし、何よりモコとの約束であるデートが可能だ。

 しかも、これからどんどん増えていく予定なので手続きもスムーズに進むだろう。


 陣内会長はモコの強さをなまじ理解しているせいで他の従魔にも恐れを感じているようだった。

 今度、清十郎を見せてやろうかな…。御意〜。


「次に夏休み明けに俺と唯衣が探索者学校へ編入が出来るように手続きをしてもらう」

「わかった」

「っ!?」


『(っ!?颯夜、私学校に通ってもいいの?)』

「(ああ、嫌か?)」

『(ううん!嬉しい!)』

「(なら良かった。俺も楽しみだよ)」


 唯衣とこんな会話をしているがお互いに真顔で正面を向いている。


 探索者学校への編入は夏休みに入ってから考えていた。

 別に今の学校に不満があるわけではないが不便に感じ始めていたのだ。

 探索者学校は名前の通り、探索者を育成する為の学校でダンジョンの探索に関してはかなりの融通が効く。


 それに比べて、今の学校は一般科目を重視する普通科であり、学校が終わってからでしか探索に割ける時間が取れない。

 折角、ここまで強くなったんだからもっと探索者したいというのが今の俺の気持ちだ。


 何より唯衣と学園生活を送ってみたいとも思ってる。

 この気持ちを割合で言ったら9割9分9厘といったところか。


「条件は以上だ」


 俺からの条件が終わり、明らかに陣内会長は安堵していた。


「わかった。今、聞いた条件は探索者協会会長の名において、必ず実行すると約束する」

「これで協力してくれるんですね」


 話がまとまり、安堵する御神だが甘い。


「ああ、次は報酬についてだ」

「・・・」

「さ、さっきのが報酬じゃなかったんですか…」

「さっきのは最初にも言ったが協力する条件であって、報酬とは言っていない」

「「・・・」」


 悪いが土下座ハラスメントに対して、俺はまだ根に持っているからな。

 御神は呆気に取られたのか口をパクパクしている。


「・・・報酬を言ってくれ」


 陣内会長が観念したように項垂れる。


「それじゃあ、遠慮なく。報酬は陣内陽輝、御神健士。お前らに貸し3つだ」


 正直、欲しかったものは協力の条件で呑ませることが出来たから望む報酬って、特にないんだよね…。お金にも困っていないし、ならせいぜい恩に着せることにした。


「了解した」

「わ、わかりました」



 今度こそ、話がまとまりやっと次の話に移れる。これは陣内会長と御神の心境だ。


「それで協力するとは言ったが俺達は何をするんだ?」


 陣内会長はソファーに背を預けていた姿勢から前のめりになり、手を組んでひと言だけ放つ。


「ガサ入れだ」


 ガサ入れとは警察などが犯罪の証拠品を見つけるために被疑者の家などを捜索する「家宅捜索」の俗称だったはず。


「ただし、ただのガサ入れではない。相手は闇ギルド、我々は探索者協会だ」


 つまりはドンパチすることが前提のガサ入れ。

 いや、もうこれってガサ入れって言わないよね?普通に強襲作戦だと思う。


「あんたの孫も無事ではすまないかもしれないぞ」


 俺の辛辣な発言に部屋の空気は止まるが陣内会長は言葉にするのもやっとで潰されそうな声で答える。


「・・・構わん」

「し、師匠っ!?夏輝を見捨てるんですか!」

「闇ギルドに屈する訳にはいかんのだ!」


 感情を剥き出しにする御神に対して、陣内会長は悲壮に訴える。


「今朝、夏輝を拉致した闇ギルドから連絡があった。奴らは夏輝の命と引き換えに捕まっている仲間の解放を要求してきた」


「あいつらの狙いは夏輝のユニークスキルじゃないんですか!?」


 闇ギルド、人質と仲間を交換なんて、まるでどこぞのテロリストじゃん!


「恐らく、夏輝が頑なに拒んで《強奪の杯》が使えないんだろう。夏輝は儂の可愛い孫だが探索者協会会長として、協会を孫可愛いさに私物化するわけにはいかん!」


「そ、そんな・・・」


 御神は最後の頼みの綱だと思っていた師匠に裏切られた気分だろう。


「儂は今回の作戦の後、責任を取って会長職を辞する」


 ふーん?会長職を辞する?待て待て!


「あんたが会長を辞めたら俺との約束はどうなるんだ?」

 

「・・・」


 あれ?こいつ目を逸らして、こっちを見ようともしないんだけど・・・。

 最初から演技で俺との約束を守るつもりがなかったのか…。

 闇ギルドの前にこいつやっちまうか?



報酬の貸しはいったい何に使うんだろうね。

そして、学園コメディーのフラグが立つのか…。

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