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全主人公中で最強五指に入りたいダンジョンコア持ちアイテム士の無双界隈  作者: くろのわーる
第2章 夏休み界隈

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54話︰カウントダウン



「はぁ〜、えらい目に合ったわ」


 自身の肩に手をやり、ほぐすように首を回して、愚痴るのは陣内陽輝会長だ。

 そもそも自分から仕掛けておいて、負けたら被害者面をするとかとんだ図々しい奴である。


「それにしても何だあの武器は!刃の先が少し刺さっただけで魔力がごっそり持っていかれるし、めちゃくちゃ状態異常に掛かるし、おかげで傷口がなかなか回復しないぞ」


 そう言いながらポーションをすする陣内陽輝とそんなことは知ったことではないと高級な玉露のお茶をすすりながら不穏な会話をする俺達。


『(どうせなら即死の効果が見てみたかったね)』

「(そうだな)」


 護衛達は未だ陣内陽輝が負けた事が信じられないのか、落ち着きがなく俺達を忌避の目で見ている。

 御神も似たようなもので俺達の実力を見て、よりかしこまった態度へと変わっている。


「ところで君達の従魔、今は可愛い姿をしているが本来はどんな姿をしているんだい?よかったら見せてくれないか」


 陣内会長はスリップダメージの効果で未だ治らない肩の傷口を押さえながら聞いてくる。


 俺はモコを見ると別に構わないという顔をしていたので見せることにする。


「モコ、見せてやれ」

ワフン!


 モコはソファーの後ろに回り込むと元のサイズに戻る。


「「「っ!?」」」

「おお〜、素晴らしい!」


 御神と護衛達はモコの高貴な威厳に恐れ慄き、陣内会長は感嘆していた。


 モコは元のサイズに戻って、窮屈さがなくなったからか伸びをしてから絨毯の上で横になる。


「君達の実力は分かったことだし、今回の件に関して申し分ないと言える。健士もこれだけの実力者をよく見つけてきたものだ」


 御神は俺達がまさかここまでの実力を秘めていたなど、微塵も想像していなかったこともあり、褒められて微妙な顔をしていた。


「君達が協力してくれるなら今回の作戦は上手くいくだろう。どうかな?我々に協力してくれないだろうか?」


 長かった余興が終わり、やっと本題へと移る。


「先に報酬を提示してくれ」


 面倒くさい案件だと解っているのにいきなり受けたりはしない。

 まだ世の為、人の為などと綺麗事を言う歳ではないのだ。

 割に合わないと判断すれば、全然断るつもりでいる。


「金銭では動いてはくれぬか・・・」


 よくお分かりで。我が藤家の財政は現在、過去最高を記録し続けているのだ。

 御神の会社の力を使えば、うちが今勢いに乗っていることくらい直ぐに分かると思う。

 ひとえに唯衣のおかげなのだがそれは機会があれば、おいおい語ろう。


「ふむ…。武器はすでに立派な物を持っておるしな・・・」


 ここに来る前の御神の話ではそれなりの報酬を用意するという話だったんだけどな。

 そう思い御神の方を見ると不味いと思ったのかおもいっ切り下を向いて、俺と目を合わそうとしない。


「そう、健士を責めてやらんでくれ。本当は報酬として、MIKAMIの最上位モデルの武器防具を用意していたんだ。不発に終わったがな。くっくっく」


 なるほど、株式会社MIKAMIの最上位モデルの武具となれば、ひとつで億を超える価値がある。

 それを報酬として用意していたとなるとかなり頑張った方だろう。


「それにしても困ったもんだな…。我々では君達が望む報酬に皆目、見当もつかない」


 そんなことをのたまいながら俺の顔を覗き込んでくる。


 絶対嘘だな…。この爺、ある程度の予測はついているだろうにわざと俺から情報と譲歩を引き出そうとしている。

 流石は探索者協会のトップと言ったところか…。

 まあ、そっちの手の平に乗ってやる義理はないので俺の台詞は決まっている。


「なら協力はなしだ。唯衣、モコ行くぞ」

『はい』

ワフン


 俺達は立ち上がり、部屋を後にしようとする。何だかんだ言っても向こうは親友と孫の命がかかっているから折れない訳にはいかないと解っているからだ。


「待て待て!そう短気を起こすな」

「ま、待って下さい!」


 俺達が立ち去ろうとするのを見て、御神は急ぎ俺達の前で土下座する。

 その光景に俺は萎えた気持ちになる。


 だってねぇ、土下座とかコンプライアンス的に不味いだろう。


「親友を助けて下さい!お願いします!望みの報酬を必ず用意してみます!だからどうか!」


 困った俺は立ち止まってしまった。


「儂からもどうか頼む」


 後から来た陣内会長も御神の隣に並ぶと土下座を始める。

 なにこれ…土下座ハラスメントじゃん。これ断ったら俺、完全に悪者じゃん!悪者好きだけどさぁ…。俺にも一応、道徳心があるわけで…。


 どうする俺?この状況、どう乗り越える?


「あーもう!分かったから土下座をやめろ」


 居た堪れなくなった俺は折れた。そして、上座のソファーに座り直す。


「交渉する気があるなら土下座をやめて座ってくれ」


 土下座する2人を立たせる為の発言だ。

 俺の言葉で2人はゆっくりと立ち上がるがやられたままでは癪に障る。なので。


「5・4・3」


 意味深にカウントダウンを始めると2人は焦り、急いでソファーに座るのであった。


 別に俺はカウントダウンしただけで「0」になったら交渉決裂なんて言ってないからね。



陣内陽輝の超回復とスリップダメージは同等くらいなのかな…。

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