50話︰質問タイム
カフェで唯衣に絡んだ悪漢を退治した俺達は後始末を店員さんに任せ、ショッピングモールに併設されているアミューズメント施設に移動していた。
今更、何するのって思ったかもしれないが本来はここで遊ぶ予定だったのだ。
誰かさんのせいで予定はズレ込んだが…。勿論、あの悪漢達のことだよ。
カフェから移動する際、友人達は誰一人として口を開かなかったが視線は俺と唯衣を行き来していた。
まあ、言いたいことや聞きたいことがあることくらいはわかる。がそれを人目も憚らず、聞いてきたりしないところが友人達の良いところでもある。
予定ではボーリングをすることになっていたがこのままでは友人達がもやもやした気持ちを抱えたままでハッスル出来ないだろうと思い、急遽カラオケに変更した。
「ここなら防音だし、答えれることなら答えるぞ」
かけがえのない親友達だし、この際だからある程度の開示はしようと思っている。
俺の宣言に友人達は顔を見合わせ、誰から行くかアイコンタクトを取る。
「じゃあ、俺から」
名乗りを上げたのはパーティーのリーダー的存在の南野だ。
「颯夜、さっきのは何だ?」
やっぱり、それを聞いてくるよな。・・・親友だし、教えてもいいだろう。
「さっきカフェで食べてたのは期間限定メニューのメロンパフェだ」
「「「・・・」」」「(・・・やっぱり期間限定か)」
こいつらスイーツ大好きだから絶対に聞いてくると思った。特にパフェが大好きな相川の反応は顕著だ。
「・・・違う、そっちじゃない!」
『私が食べてたやつ?あれも期間限定メニューのマンゴーパフェだよ』
「「「(・・・可愛よ)」」」「(どっちか迷うぜ!)」
唯衣の可愛らしさに質問する気概が削がれたのが解る。
やっぱり、メロンとマンゴーは人気が分かれるよな…。でも今回は唯衣がいてくれたおかげで俺は2度美味しかったよ。
なんで?ってそれはあれだよ…お互いに食べさせあったみたいな…。恥ずかしいこと言わせんなよ!
「さあ、お前らどんどん質問して来い!」
「・・・颯夜お前、絶対答える気ないだろ」
「「「うんうん」」」
南野の心外な発言で質問タイムは終了した。
その後、友人達は吹っ切れたのか全力で唯衣を楽しませようと頑張ってくれた。
唯衣も美声を響かせ、友人達は聞き惚れていたが隣に座る俺にはしっかりと『インストール完了』と言ったのが聞こえたが初めて聞く唯衣の歌に俺も聞き入っていた。
カラオケの最中、モコは俺以外の男共には反応が薄かったが俺と唯衣が歌っている時はノリノリで尻尾を振っていた。
帰ったら秘密基地にカラオケボックスを追加するのは最早、決定事項だ。
カラオケが終わっても時間に余裕があったのでみんなでボーリングをすることにした。
ちょうど、6人ということもあって3対3に別れて競い合うことになったのだがここで問題が発覚する。
その問題とは俺のレベルが上がり過ぎたことで能力値が高すぎて、パーフェクトを簡単に達成してしまったことだ。
それは唯衣も同じでカップルでダブルパーフェクトを達成してしまい、少し盛り下がったとだけ言っておく。
友人達も男だからね、唯衣に負ければ落ち込むさ…。
ちなみに唯衣になんでパーフェクトが取れたのか聞いたらとんでもない答えが返ってきた。
『私は颯夜の究極技能なんだから颯夜と同じ能力値なんだよ』
ちょっと、意味不明だ。
楽しい時間も終わり、日も暮れる時刻になったので今日は解散となった。
友人達と別れ、自宅へと帰る途中で不意に声を掛けられる。
「こんばんわ」
俺達の前に立つのはフードを目深に被る1人の男。いきなり声を掛けてくるとか今日あった出来事が頭を過ぎる。
「いきなり声を掛けて、すみません」
そう言うとゆっくりとフードを下ろして、素顔を見せてくる。
その顔には見覚えがあった。ここ地元では有名な探索者であり、最近では夕方に放送される長寿番組《話題の探索者》に出演していた「御神健士」だ。
実家は 株式会社MIKAMI。この中部地方を中心に探索者用の武器や防具を製造する大手有名メーカー。
有名になった切っ掛けはダンジョンフェイズ2期初頭に先代の会長が身銭を切ってまで困っている人達に武器を無償で提供した出来事が今でも語られているからだ。
会社としての規模が大きくなったのはダンジョンフェイズ3期に入ってから。
その出来事が後押しする形で親世代の探索者達には絶大な信用と信頼を得て、飛躍した会社だ。
御神健士はその大手メーカーの御曹司になる。
そんな有名な探索者が俺達に何の用なのか、疑問しかない。
「えっ〜と、実はショッピングモールで絡まれいるところを見てました」
『仕返しにきたんですか?』
唯衣の発想は最もだ。それは俺も思ったから。
だがそうなると御神健士に手を出しては親世代が黙っていないだろうから面倒だ。
この際、うだうだ言う年寄りはまとめてやっちゃうか…。
「ち、違います!実はお願いがあって、後をつけさせてもらいました」
つまり、声を掛けて引き止める為にわざわざ前に回り込んだということか・・・難儀な奴だな。




