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全主人公中で最強五指に入りたいダンジョンコア持ちアイテム士の無双界隈  作者: くろのわーる
第2章 夏休み界隈

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43話︰御館様



 頭が湯で上がった両親は自室に戻ったので俺はやっと、鬼人の生成を行うことが出来る。

 ちなみにシルバーウルフの魔石はしっかりと持っていった。


「これより!戦力の増強を行う!」

『はい』

ウォン!

ウォン!


 今まではモコと2人でダンジョンに潜ることが多かったが次に潜る予定のダンジョンはソラと鬼人が役に立つはずだと思っているのでその為の補強だ。


 俺は大鬼の魔石を台座にセットする。ついでに血を一滴垂らしておく。


『マスター、生成完了まで15分です。』


 後は待つだけ。その間、手持ち無沙汰になるのでみんなで踊るとしよう。


 まずは俺がトップバッターとして踊りを披露する。踊るのは学校の授業で習ったHIPHOPだ。


「唯衣、ミュージックスタート!」


 俺の掛け声でかかった音楽はまさかの民謡。

 だが唯衣よ、甘いぜ!どんな音楽だろうとリズムさえあれば、踊れるのが一流のダンサーというもの。知らんけど…。


 そのドヤ顔、無表情にしてやるぜ!


 俺はスローテンポなリズムに合わせて、身体を動かしていく。

 しなやかに伸ばされる腕、ゆっくりと細やかに動く足下。

 結果は言うまでもないだろう。


 俺は盆踊りを踊っていた。だがしかし、俺は踊りきった。それすなわち勝利である。


 そんな俺を無表情で見つめていた唯衣が不意に微笑むと言葉を発する。


『私のターン!チェンジフォーム。』


 唯衣の言葉で着ていた服が光り出し、大事なところだけ隠しながら姿を替えていく。


「おうふ」


 そこにはBガールと化した唯衣が腕を組んだポーズで立っていた。やべぇめっちゃ可愛いと思ったのは内緒だ。


 唯衣は不敵に俺を見ながら指を鳴らす。すると次は作戦室オペレーションルームの天井からライトが生えてきて、唯衣を照らす。


『ミュージックスタート!』


 掛け声を合図に素早くビートを刻む音楽が流れる。

 唯衣はビートに合わせながら身体を揺らしつつ、俺の周りを回り始めた。

 その行為に俺は腕を組んで微動だにしない。


 挑発が効かないと思ったのかはたまた、音楽のリズムを掴んだのか俺から距離を取るなり、パワームーブをぶちかましてくる。


「(くっ!?かっけぇ!)」


 内心でそんなの授業で習ってないぞと悪態をつきつつ、唯衣の繰り出すパワームーブに釘付けだった。

 それは俺だけではなく、唯衣のブレイクダンスに感化されたのかモコとソラ、いつの間に来たのかコタロウ、トモヤまでもが作戦室オペレーションルームの床でクルクルと背中で回る。


「いきなりコンビネーションかよ!」


 唯衣を中央に4匹がクルクルと回る光景は壮観だった。俺はこの光景を一生忘れることはないだろう。

 そんな圧巻のダンスタイムも終わりを告げる。


 作戦室オペレーションルームの床に魔法陣が浮かび上がり、鬼人が誕生する。

 鬼人は誕生した瞬間から膝をついており、その姿勢のまま口上を述べる。


「御館様に仕えることが出来るのは恐悦至極に存じます」


「うむ、お主の名は清十郎とする。良きに計らえ」


「はは!ありがたき幸せ」


 ちなみに清十郎は裸にふんどしの状態のため、アイテムボックスからドロップ品の着流しと鬼灯ほおずき刀と大鬼の金棒を渡しておく。

 これでダンジョンに行けるなと一息つくなり、唯衣から物言いが入る。


『マスター、負けた方が勝った方の言うことを聞くという約束を忘れたんですか』


「そんな約束してねぇし!そもそも俺負けてねぇし!」


 ド正論である。そのはずなのにみんなからの視線が痛い。所謂、圧力同調をかけられていた。


「ぐぬぬっ!」


 結局、俺はモコに屈した。だって、約束を守らないご主人様なんて嫌い。プイッ!ってされたらもう俺半泣きですわ。


 気を取り直して、唯衣に指示を出す。


「唯衣、これから温泉があった廃旅館ダンジョンに向かう。メンバーは俺とモコとソラと清十郎で行く」


 このメンバーならゴースト系モンスターだって、簡単に相手に出来る。

 転移の間に移動し、コタロウとトモヤに両親のお守りと秘密基地のお留守番を頼む。


 転移先は天然岩のダンジョンがあったとこだ。


「あっ!そうだ、唯衣」


『はい、マスター。なんでしょう』


「清十郎のために和室作っといてくれ」


「御館様かたじけない」


『わかりました。私とマスターの愛の巣も作っておきますね。』


 たぶん、何を言っても作ると思うので放っておく。寧ろ、唯衣がどんな愛の巣を作るのか気になる。


 帰ってきたら楽しみがひとつ増えると思いながら転移の扉を潜るのであった。


 扉を抜けた先、天然岩のダンジョンがあった場所の風景は激変していた。

 どのようにと言われると兎に角、臭い。


 それもそのはず、廃旅館ダンジョンが勢力範囲を広げつつあるようで草木は腐り、アンデットが徘徊する地になっていた。


 ひょっとしたら今までは牛魔帝ミノタウロスロードの影響で勢力を拡大できずにいたのが俺が倒したことで自由になったのかもしれない。


 そう考えると自然破壊を招いた結果に少しだけ罪悪感を感じる。まあ、前哨戦としてはいいか。


「今からこの辺りにいるアンデットで腕慣らしするぞ」

ウォン!

ウォン!

「御意!」


 全員から了承がでたので実行する。


「じゃあ、始めるぞ!」



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