38話︰氾濫 無双界隈その2
俺とモコが殿を務める形で両親と3匹が秘密基地に退避するのを手伝う。
広場のモンスターを手早く片付けると俺とモコはそれぞれ通路の前に立ち、モンスターを食い止める。
『マスター、退避完了しました。』
唯衣の報告を聞き、毒魔法を発動する。
「ポイズンブロウ!」
俺の前にある通路に毒の風が抜けていく。
ガァ グゥ ギァ
モンスター達は小さな悲鳴をあげるとバタバタと倒れていく。
それは俺の視界を超えて、通路の先の先まで続いていた。
相変わらずの威力に戦慄を覚えるが今は頼もしさを感じる方が勝る。
俺が担当していた通路は一時的にモンスターが見えなくなったので隣のモコが頑張っている通路に行く。
「モコ、俺が片付けた通路を見張っておいてくれ」
ウォン!
入れ替わるように移動すると同じく、毒魔法を発動する。
この通路も同じ光景が広がり、これまで聞こえていたモンスターの雄叫びや悲鳴が途絶える。
モンスターの行進も途絶えたところで再びスパイダーネット(斬)を幾重にも張り巡らせる。
隣の通路もその隣の通路にも毒魔法を使い、スパイダーネット(斬)を補充と補強してまわる。
4つ目の通路の補修が終わったところで最初に毒魔法を放った通路にモンスターが戻りつつあった。
ここまで戦闘が開始してから19時間を超え、その間に多少の休憩はとっていたが俺の魔力も無限ではない。
少しでも魔力の回復を促すため、モンスター達をギリギリまで引きつけてから本日、5回目の毒魔法を放つ。
そして、スパイダーネットで通路に蓋をする。
「ふぅ〜」
10代のピチピチの肉体とはいえ、流石に疲れが出始めている。
無双ランニングに比べれば、まだ余裕はあるがここが正念場だと自分に言い聞かせ、気持ちを奮い立たせる。
「はあ、はあ、はあ」
フッー、フッー、フッー
氾濫を迎え討つために陣取った広場には俺とモコの息使いだけが響く。
接敵してから21時間と少し、モンスターの行進は止まった。
残り2時間で罠の道を突破されたのはたった2回だけ。
俺もモコも既に魔力が尽きている。今立っていられるのは気合いだけだ。
『マスター、モコちゃん、素晴らしい戦いでした。氾濫は終結しました。』
唯衣の宣言で俺達はその場に大の字になる。
「ほんとに・・・成し遂げちゃったな」
クゥン
何の面白味のない天井を眺めながら自然と言葉が出ていた。
『マスター、大変お疲れのところ申し訳ありませんが私からひとつ提案があります。』
正直、気を抜けば今にも寝てしまいそうなんだがこのタイミングで言ってくるには理由があるんだろう。
「何?」
『はい、皆様の頑張りで現在このダンジョンは無防備な状態になっております。』
そうだろうね。全てのDPを使ってモンスターを吐き出したのに全部、俺達が倒してしまった。
『皆様が頑張っている間に私も中枢部にハッキングをかけ、今成功しました。』
「・・・」
どうやら俺達が戦っていた間、唯衣も唯衣の戦いをしていたようだ。これは唯衣の無双ターンが始まりそうだ。
『現在、このダンジョンは私が掌握しており、ダンジョンマスターの部屋までの転移が可能になりました。』
「今は・・・無理」
俺の素直な気持ちだ。
『わかりました。ではマスター達には回収班を向かわせます。』
回収班?唯衣の言葉で秘密基地から両親とソラ、コタロウ、トモヤが出てくる。
両親は迷うことなく、モコの方に向かい2人でモコを抱えると秘密基地へと入っていく。
「・・・」
実の息子は放置なのかと思ったがソラ、コタロウ、トモヤが俺を引き摺りながら運んでくれた。
・・・解せぬ。
後日、両親を問い詰めたところモコに触れる機会を逃したくなかったとのこと。
黒い毛のモコは艶々、銀色のソラ達はフワフワの触り心地だからたまには艶々のモコがどうしても触りたかったらしい。
まあ、俺とモコは相思相愛だし、モコは気位が高くて俺以外にはあまり触らせたりしないからね。
秘密基地に入るとそれまで張り詰めていた気が緩み、瞼が重くなる。
『マスター、お疲れ様です。とってもかっこよかったですよ。』
それだけ言うとソラ、コタロウ、トモヤから俺を引き取り、お姫様抱っこする。
「えっ!?」
重かった瞼もなくなるくらいに目が開かれた。
『ふふ、ベッドまで運びますね』
状況が呑み込めず、身体が固まるが唯衣は気にも掛けないようでスタスタと寝室に向かって歩く。
美人にお姫様抱っことか誰得ですか?俺得なのか?男としての矜持がガタガタ音を立ててるんですけど…。
そんな事を考えていると寝室に着き、優しくベッドに寝かされる。
ベッドの柔らかな心地が再び眠気を誘う。
『添い寝しましょうか。』
唯衣が何か言ったみたいだがもう起きてるのも限界で意識は朦朧としていた。
「(重力魔法使う機会なかったな・・・)」
最後に今日の氾濫の戦いを思い出すもすぐに眠りにつくのであった。
今回の氾濫で獲得した称号。
一騎当千 獲得者 颯夜、モコ
・1度の戦闘で千匹以上の魔物を倒した者に送られる称号。
《効果》魔物に対してダメージ+補正(中)。
毒殺戮者 獲得者 颯夜
・毒を使い10万の魔物を討伐した者に送られる称号。
《効果》毒系統のスキルに+補正(極)。
帰還者 獲得者 全員
・ダンジョン内でモンスターパレードに遭遇し、生き残った者に送られる称号。
《効果》回復・感知・遮断効果のあるスキルに+補正(大)。
称号収集家 獲得者 颯夜
・称号を10個以上獲得した者に送られる称号。
《効果》獲得経験値+補正(大)
【名前】 藤 颯夜
【順位】―
【称号】下剋上 征服者 英雄 無慈悲 罠使い
反抗者 罠戦術家 勇者 一騎当千 毒殺戮者
帰還者 称号収集家
【職業】 上級道具士
レベル:176(+52up) 780P
筋力:535(+156up)
体力:656(+208 UP)
魔力:326(+104UP)
精神:326(+104UP)
耐性:326(+104UP)
器用:686(+208UP)
敏捷:491(+156UP)
幸運:857(+260UP)
【技能】
集中Lv:8up!
鑑定Lv:5
危険察知Lv:5up!
気配察知Lv:6up!
気配遮断Lv:7up!
操糸術Lv:5up!
罠術Lv:12up!
影魔導Lv:6up!
毒魔法Lv:3up!
重力魔法Lv:1new!
光魔法Lv:1
恐怖耐性Lv:4
【固有技能】
アイテムボックスLv:10
【特別技能】
限界突破
不屈の精神
複合罠術
【特異技能】
秘密基地Lv:10max




