35話︰夏の思い出
夏休みに入って、数日が経っているが意識不明だったせいで完全に出遅れた。
だが焦ったりはしない。遅れを取り戻すどころかお釣りがくるくらいの成果があったからだ。
回復カプセルから出て説明を受けた後、お腹が空いていることに気付き、みんなで軽食を摂っていた。
話題は専ら夏休みをどう過ごすかだ。
夏休みの予定決まってたんじゃないのか?と思った人もいるかもしれないが今回の戦いで良いものを手に入れたのでより効率が良い予定を考えているのだ。
素晴らしい夏休みにするには柔軟性は大事だと思う。
「そう言えば、颯夜に渡すものがあった」
父親がそう言うと自身のアイテムボックスからアイテムをひとつずつ取り出していく。
「これは颯夜が倒した牛魔帝の戦利品とダンジョンを踏破した報酬だ」
テーブルの上には指輪とネックレス、強化珠(?)と革鎧、魔法の宝珠にバスケットボール程の魔石が置かれる。
「おおっ!!」
そのどれもがひと目でそんじょそこらのアイテムとは品格が違う雰囲気が漂っていた。
「もう鑑定は終わってるの?」
『終わってますよ、マスター。』
そして、またもや説明してもらう。なんだか説明ばっかりだ。
支配者の指輪 伝説級
《効果》王威、空間支配。全能力に+150%の補正。配下の能力を高める。
※王威︰支配者の威厳を身に纏う。格差が大きいほど、相手が萎縮する。
※空間支配︰領域内を把握することが出来る。???
黒薔薇の首飾り 精霊級
《効果》装備者に対して、毒、麻痺、暗闇を無効化する。
進化珠(精霊級)
《効果》使用したアイテムのクラスを精霊級に引き上げる。
牛魔帝の革鎧 精霊級
《効果》筋力+150%、体力+150%、大地耐性(無効)、物理耐性(極)、魔法耐性(中)。
重力魔法の宝珠
《効果》重力魔法を習得する。
牛魔帝の魔核
・用途不明
『説明は以上です。それでマスター、私の名前は決まりましたか?』
なぜ?今なんだ?もう少し時間を下さい。
それにしても・・・凄い。伝説級ひとつに精霊級が3個。激レアな重力魔法に用途の解らない魔核。
どれも美術品のような造形はずっと見ていても飽きないが見ているだけでは何も変わらないのでひとつずつ処理していく。
まずは支配者の指輪を手に取り、じっくりと眺めてから右手の中指に嵌める。
両手の人差し指にはすでに疾風と技巧の指輪が嵌められているので今回は中指ね。
指輪を嵌めて、視線を上げると両親とコタロウ、トモヤがかしこまって汗をかき始めていた。
「き、急にす、凄い威圧感だな」
「そ、そうね、でもあなたの父親としての威厳も負けてないわよ・・・」
「そ、そうか?でも母さんの怒った時ほどでは・・・」
「なんですってぇ!!」
自分では解らないが今の俺、どうやら凄いらしい。でも、怒った時の母親には負けるには同意する。
周りはこの威厳に慣れていないから動きがぎこちないがその内、慣れるだろう。とりあえず、今はオフにしておく。
次に手に取ったのは黒薔薇の首飾り。今回、獲得したアイテムの中で実は1番嬉しかったアイテムだ。
隣に座っているモコと向き合うと優しく首に腕を回して、黒薔薇の首飾りをつけてあげる。
ワフン!ワフン!(あなただから特別につけさせてあげるわ)
これでモコにも毒無効化がつくので一緒にいる時に毒魔法を使っても大丈夫なはずだ。
それから今回、共にダンジョンマスターに挑んだこともあり、モコには称号がついたらしい。
称号は俺も持っている征服者と勇狼が付いたらしい。
黒薔薇の首飾りをつけて、より品格が増して綺麗になったモコを満足するまでワシャワシャしてから次にいく。
そう言えば、ソラはオスだからか余り触られたがらないんだよね。たまにすんごい触ってって寄ってくるけど、どうやら気分屋っぽい。
さて、次はある意味1番楽しみであり、どうなるか分からないアイテム。進化珠(精霊級)だ。
これはどのアイテムに使うか正直迷ったが先の戦いで自覚した自分の弱点を補おうかと思ってる。
俺の弱点、それは接近戦だ。
先の牛魔帝みたいな化け物と殴り合いをしたいなどとは思わないが唯一の近接武器だった暗闇の短剣は折れてしまった。
あの場面で折れることなく、突き刺さっていたらまた違う展開が待っていたかもしれないのにそう思うと食べ物と飲み物しか喉を通らない。
後顧の憂いを断つためにも次に使う厨二力上昇間違いなしの武器は決めている。
「親父、お店に大鎌ってある?」
そう俺が次に使う武器は死神とかが持っているデスサイズだ。
「いや、流石にないな・・・草刈り鎌なら俺の使っているのがあるぞ」
違う!違うよ!大鎌と草刈り鎌、全然違うから!いや、元々の用途は大して変わらないのかも知れないけど、浪漫の大きさが段違いなんだよ!
もうね、虎を飼いたいって言って、折角檻を建てたのに次の日に小さいぬいぐるみを渡されるくらい落差あるから!
結果、進化珠(精霊級)の使用は保留にしました。俺はまだ大鎌を諦めてないからな。
さて、残りも少なくなってきました。次の商品は精霊級、牛魔帝の革鎧です。
うん、これは凄い装備で間違いないんだけど、根本的に俺の戦闘スタイルからはかけ離れているんだよね。ということで父親にプレゼントしました。
その際、母親が私にはないの?って顔するから仕方なく、アイテムボックス内で寝かしつつあった影狼のブーツを渡したら母親は斥候職ということもあって、2人ともかなり喜んでくれた。
父親なんて母親に「これを着て、お前を守る盾になる」なんて肉壁宣言してたぐらいだ。
自分達の世界に入っていく2人を放っておいて、次に進む。
次は最近慣れつつある魔法の宝珠だ。初めて、宝珠を見た時の感動は何処へ行ってしまったのだろう。
今じゃ、やったね!くらいにしか思わない。
サクッと使用すると手の上で消えていく。ステータスを確認して、追加されたことを確かめる。
どうやらレベル1で使えるのは重量操作みたいだ。
魔力量にも影響するようで今の俺なら1㌧の物でも100分の1の10kgくらいに出来るようだ。
逆に100倍の重さにも変えることも出来る。
最後は牛魔帝の魔核だ。
「これは生成出来るのか?」
『生成自体は可能です。ただ生成完了までに約10年程掛かると思います。』
「「「・・・」」」
『秘密基地に吸収させた場合は300万DPになります。マスター、そろそろ名前を決めてくれても良いんですよ?』
あ〜これは催促されてますね。それにしても・・・。
「なあ、どうしてそんなに人間らしくなったんだ?」
『以前の私は計算を用いた確率を重視する合理的なAIだったと思います。ですが秘密基地のレベルが上がり、新たなダンジョンコアを得たことで単一でしか計算出来なかったことが複数で計算出来るようになりました。これにより、人間が持つ感情をある程度ですが解析と理解ができるようになりました。』
うん。難しいけど何となく言ってることは分かる。要はハンバーガーショップに行って、フライドポテトを単品で付けるかセットにするかぐらい違うってことだろ…。忘れてくれ。
『それとマスターと一緒にいる間にも色々と学習していました。ちなみに今の姿はマスターがスマホに隠して、夜な夜な見ている動画によく出てくる女性をモチーフにしました。』
なるほどね。通りで最初見た時、何処かで見たことあるなと思った。白衣シリーズのあれね。
「「・・・」」
って!ちげーよ!いや合ってるけど、今それを言っちゃ駄目だろうがぁ!!
おいおい!この微妙な空気どぉすんだよ!!
後、あの女優さんは胸もっと大きいからな?そこは間違えたら駄目だからね!
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