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ダンジョンコアでマジョリティ&ロイヤリティ  作者: くろのわーる
第1章 探索者界隈

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30話︰忍者プレイ



 両親と合流を果たし、人がいない場所で秘密基地を発動して戻ってきた。

 その際、両親が1泊したいと駄々をこねたがお留守番をしていた4匹に冷たい目で見られて断念していた。

 俺はひとりで牛串焼きを食べたことを4匹に責められたが走って買いに行き、牛肉串焼きを与えたらなんとか4匹の機嫌は治った。


 時刻は深夜。これから俺の無双時間が始まる。


 深夜のせいでテンションが多少可笑しいのは許してくれ。平常運転時と変わらないっていうな。


 秘密基地内で昼間の装いから死蜘蛛シリーズに着替え、モコと一緒に秘密基地から闇夜に出る。


 昼間に散策して解ったが奥飛騨に行く為にはこの町の防御壁を通り過ぎる必要があるが一般人は通してもらうどころか近付くことさえ難しく、警備隊によって厳しく取り締まわれている。それは夜も変わらないようだ。

 なので勝手に越えてしまおうという訳。それしかないし、そもそもそういう予定だったし…。

 よくよく考えたらやりたい放題だな、ウチの家族は・・・。


 さっきも言ったが時刻は深夜、町の人達は寝静まったのか聞こえるのは遠くから聞こえる野良モンスターの遠吠えや雄叫び。

 今夜は幸いなことに月が雲で隠れており、大通り以外は真っ暗だ。

 大通りは街灯のせいで見通しが良く、警備隊が巡回を行なっているので裏通りを行く。


 死蜘蛛シリーズは毒無効化に加え、高い隠密性も持つ。また、隠者ハーミットの腕輪は様々な遮断効果に隠秘という上位の隠密系スキルまで持つ。

 これに影魔導の影移動を組み合わせれば、まず見つかることはないだろう。


 早速、モコと一緒に裏通りの影の中へ潜る。

 影の中を例えるならば、水のないプールを歩く感じだ。

 解らないと思うのでもう少し詳しく説明すると影の中にいる時は真っ暗なのだが外の景色が見える天井がある。それは地上に存在する影の部分。

 真っ暗なプールの底を歩いているが地上の影の部分だけはガラスが張られたように外が見える。

 相手からは見えないのでマジックミラーみたいなものとも言える。

 これでわからなければ、北海道の人気水族館にあるアクアトンネルが近いと言えば解るかな。


 そんな感じで障害物がない真っ暗で道かどうかもわからない影の中をぐんぐん進んでいく。


 この影の中に潜っている間は魔力を消費する。レベルやスキルレベルが上がれば、気にならない程度になるらしい。(ベースAI先生談)

 一緒に移動しているモコは影移動のエリートであり影狼シャドーウルフの種族柄、影移動での魔力消費はないらしい。・・・裏山だわ。


 影の中を歩いていると昼間に来た位置を越え、防御壁の天辺が見え始め、防御壁に近付いて来たのが解る。


 防御壁の近くで立ち止まり、影の中から上を見上げれば、防御壁上には哨戒にあたる警備隊員が見える。

 「夜間までマジでお疲れ様です。」と呟き、真面目に仕事をしている警備隊員を尻目に防御壁の下を歩いて潜り抜けて行く。


「残念だったな、俺を見つけるには実力が足りなかったみたいだな。ふっ」


 深夜のテンションで任務を完了するとそのまま、進んでいく。


 昔は整備された道があったであろうが今では荒れ果て、草木がアスファルトを埋め尽くしている。

 建物も朽ち果て、蔦植物が絡みつきまるで遺跡のようだ。


 防御壁の外側を歩いていると時折、茂みに野良モンスターが潜み警備隊を狙っているのが分かる。

 俺はこんな機会滅多にないとモンスターを下から見れる貴重な体験に興味津々だった。


 ひたすらに歩き続け、防御壁から5kmほど離れたところでここまで来れば、ひとまずバレないだろうと魔力もまあまあ減ったので影の中から地上へと戻る。

 ちなみに影の中でも秘密基地は発動出来るが影移動を持っている者しか出入りが出来なくなる。

 ウチでは俺とモコだけ。


 地上に出るとそこはまさに人跡未踏という言葉が相応しく思えるような深い森の中。

 立っているだけで枝や葉が身体に当たって、上手く身動き出来ない。


 気配察知で気配を探れば、そこかしこに息を潜めて、こちらを窺う生き物の気配が漂う。


 当然、俺を捕食しようとする気配もある。

 夜の闇は猛獣やモンスターに分があり、地形的にここで戦うのはこちらが不利だと悟り、秘密基地を発動して中に退避する。

 今日の行程はここまでだ。何より眠いし・・・。





 翌日、学校を終えると再び、奥飛騨樹海(命名)に挑む。

 昨日は暗くて、ハッキリと分からなかったが思った以上に深い森だった。


 もうね、獣道すら見当たらないし、蔦植物が凄くて真っ直ぐ歩くなんて無理。

 陽はまだまだ高いが仕方ないと今日も影移動に勤しむ。


 ある程度、歩いたら秘密基地に戻り、ダンジョン地図で現在地と目的地を確認。

 これを繰り返しながら修正しつつ、何とか目的地に着いたのは夕方。

 温泉が近くにあるのか硫黄っぽい匂いがする。


 これに反応したのは両親だ。


 近くに天然温泉があるなら入りたいと、スーパー銭湯しか知らない両親は周囲を勝手に散策し始め、途中に野良モンスターから4度の襲撃を受けるも、その度にモコ、ソラ、コタロウ、トモヤの4匹に助けられ感謝していた。

 その甲斐もあってか温泉は無事に見つかった。


 ただね、何十年と人の手が入っていない温泉だけに枝や落ち葉やなんやらで藻が生えてたり、ヌメヌメだったり、生き物だったものの残骸等でとても人が浸かれる状態ではなかった。


 落ち込む両親に本来の目的を思い出させ、無理矢理に倒したモンスターと一緒に秘密基地へ押し込む。

 野良モンスターはダンジョンに出るモンスターとは違い、身体が消えないので魔石を取り出すには解体する必要がある。


 目的のダンジョンは野良ダンジョンと呼ばれるもので岩壁にある大きな割れ目がどうやら入り口のようで探索者カードを通す機械や人工物など当たり前だが皆無だった。


 そして、温泉のすぐ近くに朽ち果てた旅館だったと思われる建物。

 こちらもなんと、ダンジョンだという。


「どっちのダンジョンにミノタウロスはいる?」


『はい、マスター。岩の割れ目のダンジョンにミノタウロスはいます。元旅館だった方にはスケルトンやゴースト、スペクターなどといったアンデット系のモンスターがいます。』


「・・・マジか」


 これから夏休みだからお化けとか丁度いいなんて思わないからな!べ、べつに怖くないし…。


「今の俺でアンデット系モンスターに有効な手段はあるか?」


『残念ながら現在のマスターの攻撃手段に有効なものはありません。唯一、影魔導のみ対抗出来ます。』


 ですよね~。スケルトンとかなら物理でどうにかなるがゴーストやスペクターといった実体がないモンスターには物理攻撃は効かない。

 ミスリルなんかの魔法金属なら多少効くらしいがそれも純度が高いものに限られるらしいし。

 影魔導も効くではなく、『対抗出来ます』だ。今の俺ではダメージを与えるのは厳しだろう。


 これはどうしようもないので放置だ。


 今日は両親の温泉探しのせいで時間を無駄に使ってしまい気疲れしたので探索は終わりにする。


 そろそろ秘密基地内ではモコ達が今日倒した鹿のモンスター、ビッグホーンディアを父親が解体しているはず…。うん。


 モコ、ソラ、コタロウ、トモヤがかなり期待していたから流石に解体していると思いたい。

 じゃないと父親が今日の4匹の晩ご飯になりかねない。これは言い過ぎたがただでは済まないとは思う。


 俺も鹿肉とか初めてだからめっちゃワクワクしてる。


 これで鹿肉料理じゃなかったらブチギレようと心に決めて、秘密基地のドアを潜るのであった。


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