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ダンジョンコアでマジョリティ&ロイヤリティ  作者: くろのわーる
第1章 探索者界隈

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2話︰物置き



 俺達5人は無事に探索者シーカー登録を済ますと今日はお開きとなった。


 この後、各々でダンジョン探索の準備や少しでも早く汎用スキルを生やす為に講習を受ける者達と別れる。

 探索の準備の為に帰るのは勿論、俺だけ…。残りの4人は二組に分かれて講習を受けると話していた。


 俺も本来なら講習を受ける予定だったが突拍子もない事、特異技能ユニークスキルが発現していた為、探索の準備を理由に帰ることにしたのだ。


 ちなみに汎用スキルは訓練を重ねることで開花させる他にレベルアップ時に得られるポイントを消費することで修得する方法があるがポイントはステータスにも振り分けることが出来る為、より高みを目指して自力での修得を目指す者が大半だ。


 東海地区の探索者協会本部からバスと電車を乗り継いで40分くらい、地元のダンジョン近くに俺の自宅はある。

 うちは魔具店ということでダンジョン帰りの探索者達が立ち寄りやすいようにと危険を省みず、こんな立地に店を構えている。

 悪く言えば、「命よりも金儲け」。


「ただいま〜」


 今の時刻は昼前、最も客入りが悪い時間帯なので店舗の入り口から入る。ちゃんと玄関はあるがいちいち裏に回るのが面倒なのだ。


「おう!問題なく登録出来たみたいだな。講習はどうしたんだ?」


 20畳程の店内の奥から声が掛かる。俺の親父だ。

 どうやら予想通りお客は誰もいないようでレジカウンターで寛いでいた親父に近寄り、例の問題を告げる。


「登録は無事に済んだんだけど、ステータスにというかスキルに問題があったから帰ってきた」


 俺の言葉を聞いて、親父の視線が一段鋭くなる。


「ふ〜ん、一旦店閉めるか・・・」


 これだけで何かを察したようで言うのが早いかカウンターにあった紙に『15時から営業再開』と書き、表に貼り付け施錠すると生活スペースに促される。


 普段、生活している部屋ではちょうど母親がお昼ご飯の準備をしているところだった。


「あら?早かったのね」

「色々あって早く帰ってきた」

「あら、そうなの。とりあえず、もうすぐご飯出来るからうがい手洗いしてきなさい」


 当初の予定を繰り上げて帰ってきたが俺のご飯もあるようだ。



▼▼▼



 家族3人でお昼ご飯を食べながら俺のステータスに現れた『特異技能ユニークスキル』について語ると2人の興奮は最高潮に達したが『物置き』だと告げて、発動した瞬間に熱は冷めていた。

 ちなみに満を持して発動した『物置き』はどこでもドアの扉を引き戸にした見た目で中は1畳ほどのスペースだった。


 うちの両親は共に元探索者で父親は道具アイテム士、母親は斥候スカウトとしてそれなりに活動していた過去がある。

 なので『物置き』スキルと聞いて、どんな効果なのか察して、まあ俺でも『物置き』は物置きだと解るので当たり前なのだが活用することの難しさを教えられた。


 『物置き』ということはアイテムボックスと効果が被っている事で能力の価値は決して高いとは言えないがそこは腐っても『特異技能ユニークスキル』。

 発現した者自体が眉唾物であり、知られれば間違いなく、嫉妬や妬みの対象になるし変な期待を勝手に抱くやからが現れると言われた。

 そうなれば、要らぬトラブルに巻き込まれ平穏な探索者活動は難しくなる。

 ましてや俺は《道具アイテム士》。噂や罵詈雑言ならいざ知らず、武力に訴えられたら戦闘力に乏しい道具アイテム士では歯が立たない可能性がある。


 なので両親はダンジョンで使うのは諦め、プライベートで使えば良いとちょうど仕舞う場所に困っていた冬物を仕舞えと言うがそこは腐っても『特異技能ユニークスキル』。嫌だ。

 なんとか使えないか、もしくは俺だけのチート方法がないかと模索してしまう。じゃないと俺が母親によって『動く物置き』にされてしまう。

 自室に戻った俺は再度、『物置き』スキルを使用してみた。


 引き戸が現れ、戸を開けると1畳程の広さに高さは1.8メートルくらい。大人が3人も入れば窮屈になるだろう。

 そもそも人が入れるのか?恐る恐る足を踏み入れる。


「・・・」


 特に何も起こらないが入った状態で戸を閉めたらどうなるのか?興味が湧いてくるがいきなり閉じたりはしない。

 閉じた瞬間に中の空気が無くなっては死に直結することくらいは解ってるし、そんな冒険をしたりするつもりもない。

 ここで考えずに実行してしまうような奴は伊達に面白味のない非戦闘職の道具アイテム士を選んだりはしないはず。

 母親に言って蝋燭を一本貰い、物置きの中に設置する。そして、戸を閉めてしばし待つこと5分。

 再び戸を開けると中の蝋燭の火は着いたままだった。


 どうやら空気が無くなるようなことはないようなので次の実験に移る。

 蝋燭を取りに行ったタイミングで母親も気になったのか俺の部屋で見ていたので手伝ってもらう。

 次は俺自身が中に入って戸を閉めたらどうなるかだ。


 蝋燭を片付けて次に行う実験の説明をして協力してもらう。母親の心配を他所に何となくだが大丈夫な気がする。

 この『物置き』スキルに対する理解度が上がったようなのだ。


 深刻な表情の母親を背に物置きの中に入り、戸を閉める。

 完全に閉まった中は真っ暗だが呼吸は出来る。10秒程で戸を開けるとそこには先程とは違い驚愕の表情を浮かべた母親がいた。


 母親は俺が口を開くよりも早く、捲し立てるように語る。


 曰く、俺が戸を閉めた瞬間に戸が消えて見えなくなったと言う。

 そこで非常時には緊急避難場所に使えるのではと思い付く。

 しかし、母親も元斥候スカウト、気配を察知するスキルを覚えているらしく、普段より気配は薄くなったが意識すれば察知出来ないほどではなかったと言う。

 なので次は外から俺以外でも開けれるかだ。



 結論は開けれはしないけど、魔術を使えば恐らく見えない戸を壊すことは出来るのではといったところ。

 これは実験している間にまた理解度が深まったのか戸には耐久値があることが何となく解った。


 他にも俺以外の人が物置きの中に入れるのかなども試したが俺以外は入ることが出来なかった。

 

 後はどうすれば『物置き』スキルのレベルが上がるかだがこれはそれほど苦労せずに判明した。


 今回のMVPは父親だ。父親もどうやら気にはなっていたらしく、探索者シーカーから買い取ったばかりの魔石を理由に部屋にやって来て、『物置き』に仕舞ってくれと言うので物置き内に魔石を置いたところ、脳内にアナウンスが流れた。


『(魔石を吸収させますか?次のレベルアップまで【魔石値】0/30)』


 俺は両親に説明して、魔石を吸収させてみることにした。まず吸収させる魔石は一番ランクが低いとされているGランクの魔石。


【魔石値】1/30


 固唾を飲んで待つ両親に報告して、次はFランクの魔石を吸収させる。


【魔石値】3/30


 今回、買い取りとして持ち込まれた魔石はG・FランクのみだったらしいがGランクでも買取額は1000円、Fランクが2000円、実際に店舗などで売られる場合はプラス500円されるのを考えれば1レベル上げるのに掛かる値段は45000円と結構値が張る。


 しかし、両親も好奇心に勝てなかったのかレベルが上がるまで魔石を使っていいと言ってくれたのでレベルを上げることに成功。


(魔石とはダンジョンに現れる怪物モンスターを倒すことで得ることが出来る別名で魔核と呼ばれる戦利品だ)


 買い取った魔石を湯水のように使用し、俺の『物置き』はレベル3まで上昇。広さと戸の耐久値が上がった。


 レベル2で広さは倍の2畳に高さも倍の3.6メートル。レベル3では高さは変らず広さが倍々の8畳へと広がり、耐久値も何となくではあるが倍々で上がった気がする。

 アイテムボックスと比較すると大きさは約3倍も違う。


『アイテムボックスLv:3』の場合

高さ4m✕4㎡=16㎥


『物置きLv:3』の場合

1畳=182cm✕91cm

高さ3.6m✕8畳=約47.7㎥


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