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星獣の機迹  作者: なビィ
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001. 永い旅路の出発点

タイトル『星獣の機迹』は「せいじゅうのきせき」とお読み下さい。


ちゃんとした執筆作業は初めてですが、

少しでも楽しんでもらえたら嬉しく思います。



1~3日に1回、7:00 に投稿予定です。


※注)文章の書き方は規則や体裁を敢えて外しております。

   ご了承頂ければ幸いです。



世界が歪む。景色が(うつ)ろう。




 ――誰かが呼んでいる。




視界が霞む。耳が遠くなる。




 ―――タスケテ―――




 ――――――。




―― 今までここにあった【()()】がもうそこにはない ――







………




………。




………―――?






……体が揺れている。


身動きは……取れない。




意識は戻ったはずなのに視界が開けない。



何かで瞼を覆われている。



口には……布?のような物を咥えさせられている。



手は……縄らしい物で後ろ手に固定されている。



そしてツンとする鼻につく匂い。



体は吊るされているようで足が地面に届かない……。






……定期的に土を踏む歩行音が聞こえていることに気づいた。


歩行音と連動するように振動が体に響く。


その振動で、吊るされている体や腕に何かが食い込む。



――痛い。怖い。



混乱と恐怖でうまく呼吸ができない。


食い込んでいる場所の痛みに気付き、少し呻いてしまった。




その「少し」の動きを後悔する。






「――おい。」


「気が付いたぞ。」


吊るされている足側から低くくぐもった声が聞こえてくる。


「チッ。」


さも不機嫌な様子で舌打ちをする頭側からのしゃがれた声。


「もう少しだ。このまま行くぞ。」



「おう。……動くんじゃねえぞ。」



「ったく……。【()()()()()】。」




交互に聞こえてくる声。



何も見えない。動けない。


そんな中、向けられたことのない感情が身に刺さってくる。



―――……!


……()()()……! ()()()……っ!


ただただ恐怖で胸が詰まる。


呼吸ができているのかすら分からなくなる。



何かを考えることももうできない。


ただひたすらに体を強張らせ、何も起きないよう、忌諱(きき)に触れないようにじっと耐える。


時折二人が会話しているようだが耳に入ってこなかった。






―――。




―――――。




……少し風を感じる。




「着いたぞ。」




……どれくらい経ったのか、もう腕に感覚がない。




「もう少し寄ってくれ。」




……たとえ降ろされたとしても、何をされるのか不安で仕方がなかった。




「この辺でいいか。」




……叩かれたりは……まだされてない。




「いくぞ。」




……また……()()()()()()()()……?




「「我らに加護を。穢れには罰を。」」




……()()()()……()()()()……




「「せぇ~っ…… のっ!!」」




……()()……()()()()()……()()―――っ!!




体に強い圧を感じ、息が詰まる。


感覚が麻痺している腕にさらに食い込むのが体で分かる。




風の中を体が通り抜ける。


重力から一瞬解放された直後、内臓が体の中を浮かび上がる。





上下感覚がない。



今どこを向いている?



落下している感覚だけが体を包む。




四肢はまだ付いているのか。



それすらもわからない。




見えない。何も見えない。





見えないことがこんなにも恐ろしいことだとは思ったこともなかった。




―――




―――――




―――ゥゥ…ッ!―――




風を切る音が変わる。









……地面だ。











――――ドッッ―――ボォォン――――




体と頭に強い衝撃と痛みを受け、暗闇の瞼の中に強い光が奔る。


「ゴボッ。」



ただでさえあまり呼吸もできていなかった。


衝撃で思わず吸い込んだが、もはや水だけが体内に流れ込んでくる。




……くるしい……っ!




―――――。




――意識が途切れるのに時間は掛からなかった。




ご清覧頂きまして、誠にありがとうございます。


今後もちまちまと書いていくつもりではありますが、

もし↓の方にある応援のアクション等頂けましたら筆が加速します。

いっぱい書きます。


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