第540話 俺たちのために争わないで
「忠告としてはこんなところだ。いいか、絶対に俺たちのようになるな!」
「装備を直すのに組が傾きそうな話だよ。気を付けるさ」
「『赤組』は傘下が多いから平気だろ?」
「メンツの問題だよ。十六階位が五層は無理だってぬかしてんだぜ」
「それを自分から言えるだけ立派なもんさ」
『赤組』組長、ビスアードさんのまとめとも取れる言葉を聞いた冒険者たちは、好き勝手な感想……、一部はヤッカミを口にする。
最強にして『ペルマ七剣』の一人に対し、よくもまあの言いたい放題だけど、これこそが冒険者の気質ってヤツなんだろう。
ちゃんとビスアードさんの想いが全員に伝わってくれてるといいんだけどな。
「どうやら終わりみたいね。わたしたちも引き上げましょう」
現場が事務所なのが理由なのか、シングルヘッドに戻したサメを肩に乗せた綿原さんが帰宅を促す。
ちょっと声のトーンが上がっているけど、さては急いで戻って【多頭化】の検証か、それとも甘いサメ作りに没頭したいとみた。俺は鮫女子に詳しいのだよ。
「最後にひとつだけ付け加えよう──」
撤退にクラスメイトの誰もが異論を挟まず、俺たちが移動を再開したところで、背後から呼び止めるかのような声が聞こえてきた。もちろん発言者はビスアードさん。ここで天丼はどうなんだろう。
「繰り返しになるが、俺たち『赤組』は『一年一組』に救われた。この恩義は組が存続する限り引き継がれることになるだろう。そして宣言する!」
迷宮でも似たようなことを言っていたビスアードさんだけど、こんな大人数の前で、しかも仰々しく宣誓みたいなマネをされても、こちらは困惑するばかりなんだけど。
「『赤組』は『一年一組』を友として扱う。上も下もない。いいか、『一年一組』に妙なちょっかいを掛けたなら、『赤組』が敵に回ると思え!」
「あ、いえ、その、普通に接してもらえれば、僕たちはそれで」
ペルマの最強軍団にいきなりの友達宣言をされたのだけど、いくらなんでも大仰に過ぎる。思わずといった風に、ウチの藍城委員長が口を挟んだ。
ちなみに俺の【観察】は、チャラ子な疋さんが委員長の背中を物理的に押したの捉えていたのだが、追及はすまい。むしろナイスプレーと賞賛したいくらだよ。
「気にしないでくれ。俺たちが勝手にそうしたいと思っているだけだ」
赤髪の熊さんみたいなビスアードさんは上々の機嫌で豪放に笑い、委員長の想いをスルーした。
いや、そういうことじゃなくって。そちらの看板が重すぎるのが胃もたれするんだよ。ほかの冒険者からの見る目っていうのもあるし。
「ちょっと待ってもらいたい!」
「ウルドウさん?」
「やあ、アイシロ。活躍している様子だな」
「え、ええ、まあ」
ビスアードさんの重たい宣言にフロアが騒然となる中、こちらに声を掛けてきたのは『雪山組』のウルドウさんだった。
そんなウルドウさんは何故か俺たちの方に歩み寄り、いい感じの笑顔で親し気に委員長の肩に手を乗せる。うしろからはウルドウさんが指導していた『ヤーン隊』ではなく、迷宮泊で運び屋をやってくれた十三階位や十二階位の人たちが続き、それに合わせて『雪山組』と入れ替わる形で俺たちの周囲から冒険者たちが距離を置き始めた。
実はこの人たち、『雪山組』のエース部隊で、これまた荷運びをお願いした時に教えてもらったところによれば、迷宮の異常に合わせてウルドウさんも追加メンバーになったのだとか。
そのお陰もあって、一昨日あたりでウルドウさんは十一階位を達成している。
ちなみに冒険者の階位アップは、組合に報告する形で任意に公開されるシステムだ。
冒険者は初回の登録時に【神授認識】を受けて、神授職は任意、階位は普通に公表される。神授職の隠蔽なんて普通は誰もしないのだけど、俺たちは認められる範囲で偽装している状態だ。
さすがに毎度毎度迷宮に出入りした冒険者の階位をチェックできるはずもないので、必然的にレベルアップ報告は任意となる。でなければキッパおばあちゃんたち組合に数名だけ所属する【識術師】がパンクしてしまう。
俺たちも今回の迷宮で数名がレベルアップしたことだし、折をみて報告しないとだな。
「そうか。『雪山組』も俺たちと同じく、『一年一組』に助けてもらったのだったな」
「そうだよ、ビスアード組長。それ以来、ウチは『一年一組』とは懇意でね。拠点警備や荷運びを頼まれる仲なのさ」
「ほう? それがどうかしたのかな?」
何故かウルドウさんの語り口は挑発的な色を含んでいて、乗せられたかのようにビスアードさんまでキツい口調になっていく。
三十半ばで二メートル近い巨漢であるビスアードさんと、こちらは二十代後半で普通の体格をしたウルドウさん。体格や年齢だけでなく、十六階位の『ペルマ七剣』に対峙するウルドウさんは気圧された様子もない。
「『赤組』が『一年一組』を友としたいという気持ちは、俺たちにもよっく理解できる」
「それは助かるな」
「ならば俺たち『雪山組』こそが先んじて『一年一組』の友であることを、この場でハッキリとさせておきたいと思ってね」
「言ってくれるじゃないか。たしか……、ビーカ、だったかな?」
「ああ、その通り。ウルドウ・ビーカだ。聞いての通り、彼らからはウルドウって呼ばれてる。『赤組』のニュエット・ビスアード組長さん」
なんなんだろう、この会話。
実はウルドウさんって、初対面の緊急事態もあって慌てていたのか、初手でファーストネームを名乗ってきていたのだ。この場にはいないけど、一緒に救助したフュナーさんも、フュナー・ヒュースカイっていう、可愛さとカッコよさが共存する名前だったりする。
要は身内同士の呼び方が思わず出ていたってことを、俺たちはのちに知った。
それはいいんだけど、なんでウルドウさんは敢えてお互いのフルネームを並べるのかなあ。いや、何となく言いたいことはわかってきたのだけど。
ほら、矢面に立たされた委員長の顔色が悪くなっているじゃないか。武に通ずる滝沢先生や中宮さんは、とっくに一歩以上引いているし。
三つの組のポジションもよろしくない。俺たちと並ぶ『雪山組』と、それに対面する『赤組』って構図になっている。これじゃあ俺たちがまるで『雪山組』サイドで、しかもウルドウさんが白々しく言ってのけたように、ファーストネームで名を呼ばないビスアードさんに対して余所余所しいって感じになるんじゃ──。
「面白いじゃないか。『一年一組』争奪戦かい? それならウチが一番だ。だろう? ヤヅ」
「フィスカーさん!?」
火花を散らすかのようなウルドウさんとビスアードさんの目力合戦の最中に、新たな登場人物が俺の背後からやってきた。
いきなり肩を組み、気安く声を掛けられた俺は悲鳴染みた声で、その名を呼ぶ。
「面識は十分だけど、敢えて名乗らせてもらおうか。『オース組』のフィスカー・パーターだ」
「どうすんだよ、これ」
本日もトレードマークの大剣を担ぐフィスカーさんの名乗りを聞いて、俺の近くにいたお坊ちゃんな田村がボソっとこぼす。それは俺が知りたいよ。
動揺を隠せない俺を他所に、シェリエンさん、ヒアタインさん、ギャルマさん、ヒュレタさん、ピドットさんたち、すなわち『黒剣隊』の面々が申し合わせたように続々と、俺たちの横に並んでいく。四層に対応するためか、名前を知らない人も五人いるな。増員したんですね『黒剣隊』。
位置取りとしては俺たちを挟むように『雪山組』が右側で『オース組』が左側だ。ちくしょう、委員長から距離を取ろうと端っこに立っていたのが失敗じゃないか。
なんで完全に背後から来たんだよ。俺の性能を知っているから、ってことなんだろうけどさ。なんか俺、膝がガクガクしてきた気がするぞ。
「なにせ『一年一組』を推薦したのはウチだからな。友人どころか身内も同然だ」
「もちろんあたしたちも迷宮を一緒させてもらったのよね。この子たち全員の戦い方は、よく知っているわ」
そしてフィスカーさんとシェリエンさんが、息を合わせて相手を煽っていく。
ああ、ウルドウさんの表情が悔し気な方向に歪み、ビスアードさんの笑顔は次第に狂猛となっているのが見えてしまう。
こういう時は全部が見渡せてしまう【観察】が憎たらしいけれど、だからといってオフにはできない。俺にはクラスの目という役割があるからなあ。
「付け加えるなら俺たちは、彼らから『迷宮の食事』を奢ってもらったことがある。お前らの飯、美味かったぞ」
「ふんっ」
「ぬう」
余計なコトまで口にするフィスカーさんに対し、ついにはウルドウさんとビスアードさんが鼻を鳴らすレベルになっている。ついでとばかりに俺たちのことを『お前ら』って呼ぶことで、フレンドリーさをアピールする始末だ。
視界の端っこにはニヤニヤとこちらの様子を窺う『白組』のサーヴィさんやピュラータさんの姿も映っているけれど、まさか参戦してきたりはしないだろうな。
「やれやれ、五層の調査がどうなったのかと覗きに来てみれば、若造たちがくだらないことで騒いでおる。実に嘆かわしいな」
割と近い世代の三者と違い、少しだけしわがれてはいるものの、それでも力強さを感じさせる声が響いた。
「サメッグ組長……」
名を呼ぶ委員長の声にはどこか安堵が混じっている。
何しろここで登場してくれたのは『サメッグ組』の組長、『ペルマ七剣』が一人、『担い手』マトアグル・サメッグさんなのだから。
白髪と長く伸ばしたあご鬚も真っ白で、六十近いはずのサメッグ組長だけど、立派な体躯からは衰えを感じさせない。俺たちと対峙するようになっている『赤組』の横から、仲裁者のように冒険者たちをかき分けながら歩み出てきてくれたのだ。飛び抜けた年長者な上に、ビスアードさんと同じ『七剣』の肩書持ちなんて、この状況ではなんとも心強い。
「さき程から警備が食事がどうのこうのと言っていたようだが、ウチは『一年一組』の拠点にお邪魔させてもらったこともあってなあ。若手などは共に訓練に励んだものだよ。おお、その時に饗された食事は見事なものだった。ウチの連中などは望郷に涙したものだよ」
「台無しだ」
その場で崩れ落ちそうになっている委員長のセリフと、一刻も早くこの場から立ち去りたいクラスメイトの想いは完全にシンクロしていただろう。一部この状況でも楽し気にしてるメンバーもいるんだけどな。
ええい、身内についてはどうでもいい。それよりもだ。なんてことぬかしてくれるんだよ、このじいさん!
仮にも『担い手』なんだろ? あの『ホーシロ隊』がやらかした時の調停者っぷりは、どこにいったんだよ。言ってることは全部本当なんだけどさあ。
まさかとは思うけど『ジャーク組』と『蝉の音組』まで隠れてたりしないだろうな?
「なんか四天王の名乗りみたいで、いいな」
「古韮、この状況でそれ言える度胸って、どうやって身に着けるんだ?」
「楽しめばいいのさ」
「お前なあ」
そう、こんな推移を面白そうに見守っている身内の一人が、アホなことを爽やかにほざくイケメンオタな古韮だ。
確かに言いたいことは理解もできるが、だからといって受け入れる要素は皆無だよ。こういうのもオタクの方向性の違いって表現できるのだろうか。
「おいおい、なんだこれ」
「あいつら、『一年一組』ってヤベえんじゃ」
「勇者ごっこの若造だろ?」
「ばっか。そんな連中が、親子でもないあれだけの組に見込まれるもんかよ」
「『雪山組』は置いとくとして、大手ばっかりじゃねえか」
あまりにカオスな状況を見る冒険者……、すでに観衆状態だけど、彼らのあちこちから俺たちをどう評価すべきか困惑したような声が飛び交い始めた。
俺たち全員が【気配遮断】を使えたならば、どれだけ素敵だったろう。
「代表者は男の人たちばっかだし、これって、逆ハーモノ?」
やめろよ疋さん、そっち系は。絶対そういうのとは違う。本当にそうなら、好物なはずの先生が眉をへにょらせてはいない。
目の前で展開されているのは、俺たちより年上なおじさんたち、プラスおじいちゃんによる意味不明なマウント合戦だ。冒険者ってみんな、こういうノリなのか?
「なんかさ、最後にティア様が登場しそうな気がしない?」
「あり得る。ヤベえ、頭の中であの笑い声が聞こえてきた」
なんてことだ。犬系の夏樹とピッチャー海藤の言っていることが易々と想像できてしまう。ドレスを纏って扇を手に、高笑いで参上するティア様の姿が。もちろん背後にはメーラさんを引き連れて……。
無いよな?
「そこまでにしていただけますか」
「マクターナさん。助けて──」
優し気でありながら凛とした声が響いたのはそんな時だった。
組合事務員の制服をピシっと着込んだ茶色い髪の女性を見た委員長が、喜びに溢れた声で救援の要請を出すのも当然だろう。
「わたしは彼ら『一年一組』の『専属担当』です。本日もそうでしたが、迷宮も『二度』ご一緒させていただいていますね」
同じく制服に着替えたミーハさんを引き連れたマクターナさんは、セリフの一部を強調しながら、とても良い笑顔で語り始めた。おいおい。
「もちろん迷宮で食事も共にしましたし、拠点にも招いてもらい宴まで──」
なんで参戦してくるんだよ! マクターナさん。こういう時こそ『手を伸ばして』ください。
ミーハさんが先輩に向けてはいけないような目をしていますよ? マジかコイツって感じの。
◇◇◇
「それではわたし、マクターナ・テルトの勝利で状況は終了です。よろしいですね?」
フロアの中央ではまさに一方的な勝利宣言がなされていた。多数の冒険者の視線を浴びつつも、マクターナさんは涼し気なものだ。
「いつから勝ち負けになったかしら」
グッタリしたサメを肩にへばりつかせた綿原さんが無意味なツッコミを入れているけど、コトが終わってくれるのならばそれでいいと思うよ。
「結局ティア様来なかったね」
ちょっと残念そうなロリッ娘の奉谷さんだけど、それが実現していたらマクターナさんが立場を失う。
親密度が勝利条件となるならば、圧倒的な差で一位はティア様、二位がメーラさんとなるからな。そしてたぶん大騒ぎが拡大していただろう。ティア様が周囲を煽りまくる展開で。
マクターナさんだってそんなことくらいはわかっているはずなのだけど、なんだかやたらと上機嫌に見えるんだよなあ。
まあ、マクターナさんとしては冒険者たちのバカ騒ぎを抑え込めればそれで良しっていうことなんだろう。勝利はオマケみたいなものだ。
「なあ、テルト。それは余りにも横暴では──」
「あ? 救助された側であることを忘れたのですか?『赤組』は」
「くっ」
勝敗に異議を唱えようとしたビスアードさんだったけど、かつてバスタ顧問を圧倒したあの威圧が襲い掛かる。
熊みたいな体躯を持つおじさんのくっころか。需要はかなり限定されるだろう。
「儂にも立場というもの──」
「お? とある単語を口にしてもいいんですよ?」
「ぐっ、むう」
白髪なサメッグ組長が後ずさった。とある単語って絶対に『不敬罪』だろ。
帯剣せず、普通の事務職員さんな恰好のマクターナさんだけど、発する圧はこれまでにないくらい分厚い。
先生や中宮さんなどは完全に臨戦態勢になっているし、ミアは距離を取って獣みたいな顔になっている。どれだけなんだよ。
凄いなマクターナさん。この場にいる『ペルマ七剣』二人を相手に正論と、持ってもいない剣圧で黙らせるなんて。
「冒険者の皆さんは等しく仲良くしていただけるのが、組合として最善なのですが。理解していただけますよ……、ね?」
瞬間、フロアにいた冒険者たちが一斉に後ずさった。
こういうのに鈍感な方だという自覚がある俺ですら、物理的なレベルで風みたいな何かが吹き抜けたような気がしたくらいだ。
最後の一音節にどれだけのパワーが込められているのだろう。なあ草間、【魔力察知】したら魔力の塊が見えるんじゃないか?
マクターナさんのすぐ近くで状況を見守っていたミーハさんなどは、尻もちをついて涙目になっている。誰か彼女を介抱してあげてほしい。もちろん俺以外で。
「さて、お小言はここまでにしておきましょう」
圧を抑えたマクターナさんはミーハさんに手を差し伸べながら、静まり返る面々に言葉を投げかけた。
そっかあ、今のはお小言だったんだ。
「口頭ですが、ご報告です」
そしてマクターナさんは話題と表情を改める。キリっとした美人さんモードだ。
「先程本日の『出宮確認』が完了しました。一人も欠けることなく、冒険者は地上に戻っています。負傷者についても全員の治療が終わりました。明日もまたペルマ迷宮は今日と同じく冒険者に溢れることでしょう」
そこまで言い切ったマクターナさんは、彼女らしい明るく朗らかな笑みになっていた。最後のあたりはポエムっぽいけど、それこそがマクターナさんの祈りなんだろうな。
「っしゃあ!」
「やってやったぞ!」
「冒険者が簡単に折れるもんかよ」
「飲むかあ、今夜は」
途端、冒険者たちは腕を振り上げ騒ぎ出す。まさに歓喜の雄たけびだ。
そんな中にはいつのまにやら、さっきまでバチバチやっていたビスアードさんやウルドウさん、フィスカーさんなんかも混じっている。腕を組んでサメッグ組長が頷き、サーヴィさんとピュラータさんが笑い合う。
ああ、これが冒険者か。
俺たちなんていきなりの歓声に乗り遅れてしまい、唖然としながらただそれを見つめるだけになっている。こんなことではまだまだ一人前の冒険者とはいえないか。なんてな。
「わたしは今日、こちらのミーハ・カミュロと共に魔力量調査という名目で『一年一組』と四層を歩きました」
冒険者たちの大騒ぎがひと段落したタイミングで、再びマクターナさんが口を開いた。
「現在の四層は異常と表現して間違いないでしょう。ですが、わたしは皆さんの勇気と意地と銭勘定を信じています。冒険者の心意気を」
微妙な単語を含むセリフを挟みつつ、マクターナさんからまたもや圧が放たれる。ただし、それは周囲に向けられたものではない。まるで立ち昇るかのように、自身の内側に溜め込むかのごとくだ。
凝縮されているものだから、浴びてもいないのに俺でも感じてしまう。
「イザという時にはわたしをはじめ、組合が必ず駆けつけます。もちろん組に関わらず、あらゆる冒険者たちも。ですから皆さん、存分に戦い、稼いでください」
「おおう!」
轟く冒険者たちの声と、マクターナさんのアジテーションに、俺たち一年一組は圧倒されるのだ。
ビスアードさんがやった、自らの失敗すら警告の手段にしてしまうやり口といい、マクターナさんのブチ上げといい、『ペルマ七剣』っていうのは、そういう人たちなんだって思い知らされる。
アラウド迷宮とはまた違う意気込みで、ペルマの冒険者は異変に挑む。俺たちも負けてなどは、いられないな。
次回の投稿は明後日(2025/08/13)を予定しています。