第525話 アイツの友達:【霧騎士】古韮譲
「いい土産が見つかったじゃないか」
「へっ、連中の口に合うのやら」
「そこが面白いんだろ?」
俺の軽口に不愛想な佩丘が答える。
強いられてこんな場所を歩いてはいるのだが、そのお陰で掘り出し物を見つけることができたというのは、うん、RPGっぽいかもしれない。こうしてニヤつく佩丘などは、そうそう拝めるものではないしな。
佩丘のヤツは昔から食い物にうるさかったが、ここまでというのを知ったのはこの世界に来てからだ。
八津は自分が外様だからと気にしていたけど、俺たちだって全員の全部を理解し合っているわけじゃない。異世界に飛ばされて、集団生活をするようになって気付いたことなんて山ほどある。
俺たち『四人』が歩いているのは、ペルマ=タの外市街の表通りから一本入った路地。時刻は昼前ってところだ。人影が全くないわけではないが、まばらで歩きやすい。
メンバーは俺と佩丘、藍城委員長、そして滝沢先生。外市街を歩くにしては異例の少人数だが、目的を考えれば仕方がないんだよなあ。
◇◇◇
『帝国の第七皇子がね、君たちの身柄を欲しているらしいんだよ。アウローニヤの政変で第一皇子派に情勢が傾いたものだから、手柄を焦っているのだとか』
昨日の夕方、侯国の王子たるウィル様は、俺たちが聞きたくもない話をしてくれた。
帝国における次期皇帝争いは第一皇子派と第三皇子派に分かれているが、病弱軍師キャラな第二皇子が与する前者が現状優勢になっている。
で、ウィル様が言うところの第七皇子は劣勢の第三皇子派で、俺たちの持つ『勇者』という肩書を聖法国アゥサとの戦争で使うために拉致という手段を使ったクソ野郎だ。
『灰羽』のハシュテル副長を使った一度目は失敗、宰相とヴァフターが組んだ二度目は何とか切り抜けたけれど、要は俺たちにとっては明確な敵に当たる。
二度目については王国脱出を図った宰相が自発的に動いたらしいが、知ったことではない。
そんな第七皇子がペルメッダで三度目に挑戦しようとしているのだとか。
ふざけるなと叫びたいところだ。取り戻した八津や綿原、笹見が血塗れになっていたのを思い出す。
『我らが侯王陛下は商人と揶揄されているけれど、それは正しい認識だと僕も思っているんだ。要は利に聡く、それでいて先を見る』
ウィル様の語りは自分の父親への評価から始まった。
ペルメッダにあるアウローニヤ王国大使館内に派閥があったように、帝国、ジアルト=ソーン大使館もまたしかりらしい。アウローニヤ大使館の場合は派閥争いどころか、武力抗争まで発展したのだけどな。
この国の侯王様はそんな事情を重々承知した上で、派閥違いの両者と向き合い、時と場合を使い分けてバランスを取っていたようだ。もちろんペルメッダに利益があるように。
そういえばアウローニヤからの流民を受け入れた時も、守銭奴な元大使に金を払ってまで人口を増やそうとしていたという話があったか。
『帝国の諜報が君たちの存在に気付いたのは、十日ほど前。冒険者登録をした直後だね』
帝国大使館にいる二つの派閥は同時に情報を得て、それぞれ別の決定をしたらしい。
冒険者となったからには手出しすべきではないと第一皇子派は暫定的に判断し、そして第三皇子派というか第七皇子は一線を越えることにした、と。
恐ろしいのはそういう帝国の考えを、外交官を通じて知り得てしまう侯王様の情報力だ。十六階位で豪放な人にしか見えないんだけどなあ。
『そして侯王陛下は判断された。自国に住まう冒険者を守り、天秤の傾きを第一皇子側に向けると』
『もちろんわたくしも進言いたしましたわ!』
どうやら俺たちを助ける方向に国が動いたのにはティア様の助力があったらしい。どれくらいの効果があったのかは知らないが、それでも嬉しくなるというものだ。やっぱり悪役令嬢は最高だぜ。
『とはいえ相手は治外法権だ。これが国内の貴族相手なら計画の時点で捕縛もできるが、大使館には手出しがしにくい』
なんてことを言っていたウィル様はやたらと悪くて良い笑顔だった。ティア様もまた……。
『どうせ当の外交官たちは動かない。抱えるペルメッダ人を使うことになるだろうね。それを抑え込むことで第三皇子派の手足を斬る』
なるほど天秤を傾けるとはそういうことかと納得したものだ。
帝国の第一皇子派、第三皇子派、そして侯王様。お互いに情報を探り合い、売りつける間柄のひとつを捨てるという判断になる。
ウィル様は長期的な利益を取ったとか表現していたけれど、それを聞いた委員長が大丈夫なのかと心配していたくらいだ。
俺には国やら派閥やらの難しさはよくわからないからなあ。
『それに、これからのアウローニヤと仲良くするためには、君たちを優遇することで最大の効果が得られるんだよ』
それでも、そんなことを言われてしまえば、その点についてだけは納得できてしまう。
『そこで君たちに頼みたいことがあるんだよ』
表情を改めたウィル様は、俺たちを見つめて言った。
◇◇◇
「たしかにまあ、俺たちにも利益はあるよな」
「おい、その話題を出すんじゃねえ。どこに耳があるかわかったもんじゃない」
昨日の会話を思い出して呟く俺を、佩丘が咎めてくる。これくらいならいいじゃないか。
という経緯もあって第三皇子派に繋がる外交官共が、最終的に第七皇子から指令を受けたのが三日前。元々の下準備も出来ていたので、あとは俺たちを衛兵のチェックが入らない街門の外、つまり外市街で待ち受ければいいだけの状況になっていたらしい。
そういえばここ三日は外市街に出ることがなかったか。一年一組の行動予定はティア様に把握されているのだけど、そういう意味合いもあったということだ。
もちろん犯人予定者たちは、第一皇子派から情報を受け取った侯王様によって見張られているのだけどな。
どうやらここ数日、俺たちの地上での安全は、侯国によって密かに守られていたらしい。
『七割方は判別できているのだけど、どうせなら一度になるだけ多数を、ね。拉致計画の名目で捕らえるとコトが大きくなりすぎるので、現役冒険者に悪さを仕掛けた一般市民という扱いが一番穏便に済ませられそうなんだよ』
穏便という単語を使われてしまえば、クラスの皆は頷いてしまった。昨日片が付いたばかりの流民冒険者にしてもそうだけど、俺たちってチョロいよなあ。
それにしてもウィル様は優しい顔立ちなのに、侯王様並みにおっかない思考をする人だ。さすがは次期侯王だけのことはある。
昨日の今日でという話も出たが、こういうのは敵が準備万端だと思いつつ、実はモロバレというタイミングが大事なのだとか。変にこちらが対応する様子を感じ取られる前にってことらしい。
納得できるんだかできないんだか、なんとも微妙な話だ。
それでも一年一組はウィル様に乗った。
第七皇子の出した勇者拉致におけるオーダーが『五体満足』というのが大きい要素だ。
加えて、いつまでも面倒くさい状況に晒され続けるのがキツいというのもある。
あちらさんもそれなりに慎重で、直接俺たちの拠点に向けての監視は控えていたらしい。こちらが出掛ける時だけ、遠目にしていたのだとか。草間の【気配察知】や八津の【観察】がいくら凄いとはいえ、余程のアクションがない限り一般人と監視者なんて区別はできない。
「『オース組』を出てから、最低でも五人です。敵か味方かはわかりません」
落ち着いた声で先生が小さく語る。俺に文句を付けた佩丘が軽く頷いているけれど、態度の違いは何なんだろう。
先生が言っているのは挙動が常人ではなく、そっち側の人が近くにいるという示唆だ。俺には全くわからない。八津や草間とは別系統の索敵能力ってか。やっぱりウチの先生は凄い。
「嫌な予定通りってことですね」
こちらも声を潜めた委員長が苦笑を浮かべた。
なんで俺たちは物騒な出来事に慣れてきているのか。それこそ委員長が言ったように嫌になるな。
本当なら今日は迷宮の予定だった。それがウィル様の提案で明日にズレ込み、『オース組』への拠点警備の依頼も今日になってしまったのだ。
俺たちが『外市街』にある『スルバーの工房』を経由して『オース組』へ出向いたのは、これまでのルーチンからは外れていない。
用件を済ませた俺たちは、これまた普段通りにちょっとだけ寄り道をして路地脇にある店を覗き込み、佩丘のいうお土産を見つけた。
さて、ここからが今日のメインイベントだ。
もっとも夜には八津が主人公するイベントもあるのだけどな。
「金の巻き髪」
なるべく警戒を表に出さないように道を歩いていたら、どこからどう見ても普通のおじさんが、すれ違いざまに合言葉を言いながら去っていった。
本来ならばここで緊張を高めるべきところなのだろうけど、懸命に押し殺して平常を装う。【平静】を全開だ。こういう時は先生の【冷徹】が本当に羨ましい。
クラスの全員で取りたいくらいだな。候補の条件が曖昧なのが悔しいところだ。
よしよし、こうやって思考を別方向にできるくらいには落ち着けているぞ、俺は。
『金の巻き髪』。敵の計画は予定通りに進んでいて、自ずと俺たちは合言葉のごとく、状況に巻き込まれているらしい。
ちょっとした荒事が始まろうとしている。
そういう想定の下、選ばれたメンバーが俺たち四名だ。
被害者役争奪戦は熾烈を極めた。問答無用で立候補した先生と、勇者として【聖騎士】というネームバリューを持ち、ついでにヒーラーもできる委員長までは当確として、残りが大変だった。
前に出たのは先生シンパの中宮、正義感の強い酒季姉、こういう状況で空気を読む素振りを見せないミア、ミリオタの馬那あたり。それに加えて海藤なども。
その意気込みというか、入れ込みこそが却下の理由になったのだけど、果たして本人たちはどこまでわかっているのだろう。自制の効くメンバーが必要だというのに。
◇◇◇
「大人しくしてもらえるだろうな」
ナイフを持つ人たちを見て理解する。立候補はしたけれど、これは損な役回りだった。
アウローニヤで刃物相手に戦った経験があるとしても、こればっかりはいつまで経っても慣れる気がしない。
『予定通り』、とある食堂の前で俺たちは十人くらいのフードを被った連中に、店を背中にする形で半包囲されていた。
十一階位になって身体能力に自信を持っていたのだけれど、敵のスムーズな動きに驚かされる。これがプロってやつなのか。
この店の前に来たあたりで何故か人通りが途絶えていたのは、はたして帝国と侯国、どっちの仕込みなのやらだ。
「抵抗したら……、怪我人が出るのでしょうね」
「わかってるじゃないか。なあに【聖術】使いを用意してやる」
表情を厳しくした先生が問えば、あっさりと返事が来た。ちくしょう、怪我前提かよ。
俺たちを取り囲んでいる連中には冒険者崩れや現役国軍の十階位以上が混じっているらしいし、この人数差だ。ちょっと勝ち目が見えない。いや、先生ならやってしまうかもしれないが、求めているのはそういうのじゃないんだ。
ビビりが入っている委員長と、悔しげな佩丘もいい感じだ。演技なんかじゃないんだろうけどな。
俺の頬に流れる冷や汗も、もちろんワザとなんかではない。
早いとこ終わらせてくれないだろうか。対応は万全なんだろ? ウィル様さあ。
「痴れ者めがっ!」
後ずさる俺たちと捕縛の半円を縮める賊共。そんな状況の中、大喝が『上から』降ってきて、敵の一人がかき消えた。
「へ、陛下!?」
「イスカよ、貴様がここにいるのが残念でならん」
俺たちと敵陣営のあいだに『降り立った』侯王様が敵の名を呼ぶ。身内っぽい感じだけど、この際そっちははどうでもいいか。
凄いのは侯王様のアクションだ。屋根に隠れていたのだろうっていうのは理解できる。そこから飛び降りたのではなく、屋根の端を蹴って、まさに急降下してきた辺りだ。自由落下で出せる速度じゃない。
というか、なんで王様が出てきてるんだよ。聞いてないぞ、こんなの。
「さらに万全を期すという話になってね」
いつの間にか俺たちの横に立っていたウィル様が苦笑している。
現れ方が侯王様と一緒なんだけど、侯爵家はアレを練習していたりするんだろうか。
いやいや、それどころじゃない。味方っぽい守護騎士までもが同じようにして地上に増殖していく。何なんだこの人たち、戦隊モノでも見ているようだ。
続々と無力化されていく賊たち。なんか可哀想になるくらい一方的だ。数と力の暴風っていうのは恐ろしい。
さっき例えた戦隊モノだとしたら、間違いなく失敗作になるんだろうなあ。正義の味方側が敵より多くて強く、一方的に蹂躙する展開……、無双モノとしてならアリか。
襲われた時のために防衛フォーメーションを練習していた昨日の時間を返してもらいたいくらい、俺たちにはやるべきことが存在していない。
なるほど、ウィル様が俺たちの安全を保障したわけだ。こんなの反則だろう。
「さて、あとは陛下たちにお任せして、君たちの拠点に戻ろうか。僕も同行するよ」
「……侯王陛下を残したままでいいのですか? 一言だけでもご挨拶を」
ウィル様は残虐行為を見ているだけで、何もしようとしていない。すぐ近くではこの国の王様が積極的に暴れ回っているというのに。
あまつさえとっとと帰ろうという言葉には、さすがに先生も微妙な表情になった。
「うわははは! どうしたどうした」
「逃げられる者だけでもっ」
「この我が出張ったのだぞ。一人たりとも逃がすわけがなかろうが!」
「ちくしょう、こんなの反則だろうが」
そんなウィル様を他所に、この国の王様が暴虐の限りを尽くしている。あれはあれで見ものだけど、なんか近くに居たくなくなってきたのも事実だ。
ああ、人らしき物体がまたひとつ宙を舞っているなあ。アウローニヤでもそうだったど、十六階位ってどれだけ理不尽なのやら。
「役割分担ですよ、タキザワ先生。僕はみなさんの護衛です」
先生には敬語になるウィル様は、専属の護衛騎士一人を伴い、すでに戦場から背を向けて先導するように歩き始めていた。
こんな感じで、三度目になる一年一組拉致事件は、完全に他人任せで解決したのだ。
◇◇◇
「あ、戻ってきた!」
「おーい!」
「六人……、ウィル様たちもか。無事なんだよな」
足早に拠点に戻ってきた俺たちに、邸内ではなく正門前で待ち受けていたクラスメイトたちの声が投げつけられる。
「全員無事だ! 怪我ひとつないぞ!」
まだ距離もあるのに騒いでいる連中に、俺はお返しとばかりに大声をぶつけてやった。
歓声を上げるのはいいけれど、近所迷惑だって怒られない程度で頼むぞ。
無事に戻った俺たちを出迎えるクラスメイトの中にはもちろん八津もいて、その横にはサメを躍らせる綿原が立っている。
お前ら、すっかり距離が近いんだよ。ヘタをしたら野来と白石よりも。恋愛判定マスターの俺は、そういうところに目ざといのが自慢なんだ。
◇◇◇
『大輔が亡くなった』
『え?』
親父のセリフにお袋が顔色を変えたのは、去年の秋のことだった。
俺にはすぐに意味がわからなかったが、説明をされて思い出すことになる。『八津大輔』。当時はまだ知り合いにもなれていなかった、八津の父親の名前だ。
八津広志の存在自体は知っていた。
父親が同じ会社で、八津の家は小学二年の頃には転勤で札幌に移ってしまったが、親同士の交流は続いていたらしい。八津家は夏休みのたびに山士幌を訪れていたので、両親同士で飲みに行っていたのが年に一度の記憶だ。
ただし、俺と八津が会ったりはしなかった。
大した理由があったわけではない。小二で引っ越していった友達なんて、半年もしないうちに居ない者となる。たまに山士幌に来たからといって、わざわざ一緒に遊んだりなんかしなかった。俺の場合は野来や草間とつるむことが多かったっていうのもある。
だから俺にとって八津っていうのは、遥か昔にいたらしいクラスメイトというレベルの存在でしかなかったのだ。
そんなヤツの父親が亡くなったとして、俺が感情を大きく揺さぶる程のことではない。
だけど──。
『大輔の息子……、広志君が、来年から山士幌高校に入るらしい。譲の同級生になるな』
『ウチのクラスなら問題ないぞ?』
札幌の葬式から戻ってきた親父が俺にそう告げた時、そんなの余計な心配だとまで思った。
八津がよっぽど酷いヤツでもない限り、適度に気に掛けてやれば、勝手にクラスに溶け込むことが目に見えていたのもある。
『そうだろうな。けどな、譲』
『なんだよ』
『大輔はお前と同じオタクってヤツでな、俺はそんなことはないけれど、随分引きずり込まれになったもんだ』
八津の父親がオタだと言った親父は、泣き笑いみたいな顔をしていた。
『聞いていた話だが、広志君もそうらしい。こんなことなら、何度か会わせておけばよかった。な、譲』
『……わかったよ。入学したら声を掛けてみる』
その話を聞いた俺は、八津に興味を持つと同時に、どれ程のオタなのかを試す気満々だったのだ。
『八津だったよな。今期のアニメ、どうよ?』
だから入学式が終わった直後に、俺が八津に掛けた最初の言葉はこうだった。近くでは野来や白石が耳を大きくしていたっけ。
八津のうしろの席に座っていた綿原の表情が動いたのが、妙に印象に残っている。
『……俺は『ナイトストーカーズ』かな。ごめん、名前が』
『古韮、古韮譲だ』
一瞬ためらってから口にした八津の答えは、俺にとっては百点満点だった。実に良い趣味をしている。
『俺は八津広志。ありがとう、話し掛けてくれて』
『なあに。ところでよ、まだ一話目なのに早速原作いじってきたな』
『改悪ってワケじゃないと思った。掴み重視なんだろうな』
『だよな。アレって──』
この瞬間から八津は俺の友人になった。いや、十年の期間を置いてお互いにオタの磨きをかけてから、友達になり直したんだ。
最近じゃネタ含みで夏樹が親友ポジらしいけど、山士幌高校一年一組で八津と最初の友人になったのは、紛れもなくこの俺だった。
◇◇◇
「無事ならなによりだ。それで十分だよ」
「それどころか。すっげえアクション見てきたぞ? アニメだよアニメ。アレ」
「どんなだよ。詳しく」
クラス召喚当日に青白い顔をして怯えていた八津の面影なんて、どこにもない。異世界でもアニメっていう単語に食いつくのが、俺が知っているコイツだ。
ハズレジョブを引いたのに、しっかり自分の力で居場所を作ってしまっていやがる。
綿原やらミアやらに見込まれて、今じゃすっかりハーレム主人公ムーブだ。聖女信仰者として上杉の動向も気になるけれど、その兆候は掴み切れていない。二層転落組は妙な信頼関係が見てとれるのがなあ。
ヴァフターからの脱出劇もあったけど、笹見はそんな素振りを見せていない。というか、笹見はたしか実家の旅館に年上の──。
「それよりも総会の説明、準備はいいのか?」
「ああ、そっちはもうちょいで終わる。それより聞かせろよ、アニメアクション」
「わかったわかった」
まあいいか。八津はこれからも俺の友達で頼もしい指揮官なんだから、存分に主人公をやってくれ。
俺は恋愛脳を使ってお助けキャラをしてやるからさ。
書き終わってから古韮回が二度目と気付きました。本来ならばクラスメイト全員(残っているのは笹見、藤永、奉谷だけのはず)を一巡させてからのつもりでしたが、縛りを解除します。
次回の投稿は明後日(2025/07/06)を予定しています。