第522話 和解をしてからこそ
「ほれ、お食べよ」
「やった、ありがとう!」
『蝉の音組』の組長、というかインおばあちゃんが取り出した飴玉を受け取り、ロリっ娘な奉谷さんが喜びの声を上げる。
「ワタシも欲しいデス!」
「僕も、僕も」
「あー、アタシも欲しいかも~」
「いいともさ。順番だよ」
そこに続くのはヤンチャなミア、カワイイ系の夏樹、チャラい疋さん。インおばあちゃんはニコニコ顔で飴を配っていく。
凄まじい豹変っぷりだな。
「ハルも、ハルも」
「はいはい」
春さんもかあ。おねだりの仕方が弟と一緒なあたりが双子である。
イジワルおばあちゃんっぽかったイン組長を接待しているのは一年一組の誇る無邪気部隊だ。疋さんはちょっと方向性が違うか。
効果は絶大というかなんというか、イン組長に躊躇なく話しかけた面々によって篭絡作戦は大成功したといえるだろう。
場所を改め、皆が集まっているのは一年一組自慢の談話室である。
藍城委員長をはじめとする密室組……、食堂にいた五人だけど、『ホーシロ隊』に対する沙汰はやはり全員で話し合って決めたいということで、三人の組長を引き連れてこっちにやってきたのだ。
で、罰の内容についてはとっくに決着がついている。じゃなきゃこんなに明るい雑談ムードにはなっていない。
クラスメイトたちの提案したペナルティは、腕立て百回、後衛柔らか組による三分間サンドバック、反省文を十枚、冒険者制度に関するテスト、木刀女子な中宮さんによる無限寸止め稽古などなど。
最近ナチュラルにステゴロバトルが提案されるようになっているのは、果たしてどうなんだろう。
結果として多数決により野球少年たる海藤の案が採用された。明日が楽しみだぜ。
「君たちはいつもああしているのか?」
「大体は。迷宮では控えめですけど」
「迷宮……、でもなのか」
委員長の返事に、サメッグ組長が呆れた声になっている。クラスのみんなで多数決をするところを見ていた組長たちの表情といったら。
普通の冒険者ならば組長や隊長の発言は絶対らしい。それはまあそうだろう。平の組員たちこそ基本的には平等だけど、経験年数やら、実績とかでやはり意見の通りやすさは違ってくるのだとか。
ましてや今回みたいな組同士の揉め事で、全員の意見を汲み上げるなんていうのは想像もできなかったようだ。
「ふむ。四層の警告については聞いているが、それ程なのか」
「そうですね。できれば様子見って意味でも、二つの隊を組ませた方がいいと思います」
俺は俺で『ジャーク組』のデスタクス組長から四層の異常について質問を受けていたりする。
迷宮の異変に顔をしかめるおじさん組長だけど、『ホーシロ隊』への罰が決まった時は大笑いをしてくれていた。
そんな歓談は夕方になって、いつまで経っても帰ってこない組長たちの身を案じた完全武装の組員たちが拠点に乗り込んでくるまで続いたのだ。
◇◇◇
「最初っからああしとけば良かったんじゃねえか?」
「全部向こうから勝手に来たんだしぃ、仕方ないじゃん」
いつも通りにムスくれた感じな田村の言葉に、軽い調子で疋さんが被せていく。
田村の言わんとすることもわからなくはない。事件が丸く収まりそうなのは喜ばしいけど、事前の話し合いはなんだったのかというのは、俺もそう思う。
ちなみに疋さんやら春さんほかは、予想通りドア越しで盗聴をしていたらしく、食堂での会話は伝えるまでもなく全員が知っていた。
夕食を終えた俺たちは、談話室で夜のダベり中である。
「先生と委員長が頑張ってくれたから、いい感じになったんだよね」
「いいよなあ、【冷徹】」
「残りの三人、何にもしてなかったよな」
好き勝手を言ってくるクラスメイトたちだが、最後の古韮、俺が手出ししなくてもサメを食らってから木刀で殴られても知らないぞ?
「それより手紙だよ。碧ちゃん、読んで読んで」
「またわたし?」
文系オタな野来から催促された文系メガネの白石さんは、すっかり朗読担当扱いだ。
普段はあまり目立たないけど、経理に書記に、そして歌い手としても大活躍なんてマルチタレントっぷりだな。
「ええっと、じゃあ読むね」
アウローニヤからの手紙は前回と同じように女王様の直筆によるものだった。
外交官のスメスタさんに言わせると、一枚でも持っているだけで家宝クラスのステータスなんだとか。普通に額縁が必要になる類の代物らしい。そんなモノが週イチペースで送り届けられている現実をどう考えるべきなんだろうなあ。
で、内容はといえば、こちらも前とあまり変わりない。さすがに七日で巨大な変化があったら大変だ。
ガラリエさんとヘピーニム隊の人たちはフェンタ領を去ったのだけど、手紙が出された時点で王都には到着していない。戦隊長たるガラリエさんが不在なので、『緑風』は絶賛準備中なのは前回同様だ。
強いて動きがあったとすればウニエラ公国に向かった一行、すなわちアーケラさんや元第一王子が現地に到着。同行していた特任大使のラハイド侯爵や奥さんのベルサリア様が、予想以上に早い段階で外交交渉を終えたのだとか。
ひと月はかかると思われていたペルメッダへの訪問が早められるかもしれないらしい。
「ラハイド侯爵の交渉が終わったらスメスタさんが男爵になって、正式な大使になるんだよね?」
「らしいねえ」
夏樹が気軽にアウローニヤの人事を語り、横ではアネゴな笹見さんが陽気な笑顔で頷いている。
なんで俺たちはこんなことを知ってしまっているのだろう。
といった感じで組長たちの襲撃を受けたその日の夜は更けていく。
◇◇◇
「さあ、本日も励みますわよ!」
翌朝九時頃、いつも通りメーラさんを引き連れたティア様が、フード付きマントと冒険者装備のお忍びモードで登場した。
レベリングと実戦経験を積むために積極的に迷宮に挑むようになってから、俺たちと会う時はすっかりドレス姿が減ってしまっているティア様である。
「ええっと、ティア様。七刻からの予定だったはずじゃ」
拠点のエントランス前でティア様たちを迎えたわけだが、委員長は困惑の表情だ。
一昨日聞かされたティア様の到来は今日は今日でも午後の二時からだったはずなんだよな。なんでこんな時間に来たのだか。
しかもこんな間の悪いタイミングで。
「予定を空けたのと、予定が出来たからですわ」
自信満々で意味不明なコトをのたまうティア様へのツッコミは、最早不要だろう。この人がそう言うならば、そういうことなのだ。
それより今はティア様の発言よりも、もっとヘヴィな現実に立ち向かうべきなのだし。
「あちらの人たちとは」
「正門前でバッタリですわ。不要な遠慮をしたものですから、連れてきましたの。先約は彼らなのですわよね?」
委員長の問いかけに、ティア様はさも当然とばかりの返答だ。
現状だけど、それなりに広い邸宅の前庭には、そこがやや狭く感じてしまう程の人が集まっている。
ティア様とメーラさんを含めて一年一組側が十七名。七人足りないのは組合事務所に行ってくれているからだ。そろそろ戻ってくるはずだけど。
で、ティア様が引き連れてきた集団は五十名近い。ほぼ全員が十代後半から三十手前ってところだな。例外となる三人の年長者を除き、全員が革鎧を装備をしているのが物々しい。担いでいる大荷物は、事前の約束通りでなにより。
彼らはお客さんというか、アウローニヤの流民出身の冒険者たちだ。
『合同練習とかでいいんじゃないか? 顔も知らない、話をしたこともないじゃ、上からの押し付けだけで言うことをきかせる形になっちまう』
昨日、野球部出身の海藤はそう提案し、多数決で採用された。
運動部系の人間が考えそうなことだし、中学で部活を頑張っていたバレー・バスケの笹見さんや陸上短距離の春さん、卓球部の草間、陸上長距離な綿原さんなどが賛成に回った結果である。
ここ数年でアウローニヤからペルメッダに密入国して冒険者になった人たちは、それほど多くはない。
同郷が集団を作るという習性を持つ冒険者が多いこともあって、この場に集まった三つの組に所属する五つの隊は、ペルマ迷宮に潜る流民系冒険者のほとんどを占めているそうだ。
ほかにも個人レベルでバラバラな組に所属している冒険者もいるけれど、合せて十名にもならないらしい。
要はこの場に集められた人たちとどれだけわかり合えるかが、本日の主題なのだ。
「良い主旨ですわね。もちろんわたくしも参加させていただきますわ!」
中宮さんから事情を伝えられたティア様が高らかに宣言してみせる。はい、決定。
これには集められた冒険者たちも困惑の表情を隠せない。
そんな人たちの表情はいろいろだ。俺たちに胡散臭いモノを見るかのような視線を向けてくる者、豪邸といって間違いない拠点を苦々しく見上げる者、ティア様の存在にビビり散らかしている者。
とくに三番目がイレギュラーなだけに、引率をしてくれている三人の組長はどこか諦めた顔になっている。そりゃあそうだ。ティア様の存在自体が、事情を知る者にとっては爆弾だからなあ。
そしてうん、組長さんたちを除けば、こちらに好意的な人は誰もいない。一番良くてフラットってレベル。
いくら事情を知ったとはいえ、あちらからしてみれば騙されていたという感覚になるのだろうし、これは仕方ないか。
そんな中、特徴的な人が八名、複雑そうな表情でこちら様子を窺っている。
「ほれ、お前ら」
「……はい」
『ジャーク組』のデスタクス組長の声に押されて、彼らは俺たちの前に整列した。自然と俺たちも対峙するように列を作る。出掛けているメンバーは戻ってきていないけど、そこは仕方がないだろう。
ちなみにティア様とメーラさんは列の外だ。居なかったことになっている存在が、こっちに加わるわけにはいかないからな。
「申し訳なかった!」
叫ぶようにして頭を下げたのは『ホーシロ隊』のリーダーだ。メンバー全員がそれに続く。
男が五人で女性は三人。全員が二十歳くらいの年上に頭を下げさせるのは、俺たちとしても気持ちのいいものではない。それでもこれはケジメだ。
表情から不承不承は……、伺えない。さらし者のようで可哀想だけど、それでもこの光景を集められた冒険者たちに見せつけておく必要がある。
たった一言だけで多くを語らないのは、余計な発言をするなとデスタクス組長に言い含められているからだろう。意識外の不敬が危ないからなあ。俺たちも気を付けないと。
「謝罪を受け取りました。この件はこれでお終いですね」
クラスを代表して滝沢先生が柔らかい表情で言葉を贈る。
「今後はペルマ迷宮に挑む冒険者として、それぞれ励みましょう」
「わかった」
続くセリフを受け止めた『ホーシロ隊』は顔を上げ、リーダーが一言だけを口にした。
とはいえ謝罪だけが『ホーシロ隊』への罰ではない。むしろコレは見せつけるための儀式であって、彼らの償いは目の前で完了している。
なにしろ『ホーシロ隊』の面々はペルマ=タでは見たことがほとんどない髪型になっているのだから。
先日の迷宮では相手もヘルメットを装備していたので正確には記憶してないけれど、こんなではなかったはずだ。
男の人はまるで高校野球の選手のような五厘刈り。スキンヘッドとまではいかないが、ほぼ丸坊主だ。女の人たちはベリーショートってところかな。ウチのクラスでは春さんがこんな感じだったりする。
彼らは自発的にこうしてきたわけではない。これまた海藤の発案だ。野球選手の面目躍如だな。
さすがに女の人に坊主は可哀想だという意見が大多数だったので、体裁が取り繕えるレベルで髪を短くしてもらうことになったのだ。
暴言を吐かれ、先生を侮辱した発言は許し難いことではあるけれど、この辺りが落としどころというか、逆恨みをされないギリギリといった感じだろう。
本当に命拾いをしたという自覚だけは忘れないでいて欲しい。
ただしちょっと看過できないことも見えてしまった。
「田村、上杉さん」
「ん? ああ……、わかった」
「そうですね」
俺が田村と上杉さんに声を掛ければ、二人はすぐに気付いてくれたようで、前に進み出る。
不意打ちを警戒していたわけじゃないけれど、俺は『ホーシロ隊』の人たちを【観察】していた。結果、彼らが頭を下げたところで頭頂部の辺りにアザというかタンコブというか、そういうのを見つけてしまったのだ。髪が短いせいで男の人たちのコブなんかは俺以外でも気付けるんじゃないだろうか。それくらい露骨なんだ。
「【聖術】を使わせてもらえますか?」
「え、ああ、うん」
女性メンバーの一人に、聖女全開モードな上杉さんが語り掛ける。こうなると答えはイエス以外あり得なくなるのが上杉さんのオーラパワーだ。
「見ている俺たちがイヤなんだ。悪いと思ってくれてるなら、治させてもらえるよな?」
「……助かる」
ブスっとした田村の言い回しも、一度謝った以上は拒否するのは難しい。上手いとは思うけれど、最近の田村って敬語を忘れたキャラになってるぞ。
この状況は逆恨みを薄める一助になるかもしれないが、こんなことは頼んでいないぞ、デスタクス組長さん。公然と組長を非難するわけにもいかないから、口出しはしないけどさあ。
ちなみに残るヒーラー二人のうち、奉谷さんは組合事務所に出向いていて、委員長は【聖騎士】であることを明らかにしたくないので出番はなし。
勇者バレをしているとしても、情報を全面公開するつもりはないし、伝説レベルなんかを想定されても困るんだ。俺たちはフレンドリーな勇者を目指し、この場を設けたのだから。
「たっだいまー!」
「うわっ、人がいっぱいだね」
「なんでティア様までいるんだ?」
治療が終わったタイミングに合わせたかのように、事務所組が戻ってきた。『ホーシロ隊』の謝罪には間に合わなかったけど、まさか二度目をやらせるわけにはいかないだろう。
「明日の夜だってよ」
「最速か。組合も力を入れてるってことかな」
「トチるなよ? 八津」
俺の近くに寄ってきて、ニヤけながら報告という名の圧を掛けてくる古韮には辟易だ。
どうやら組合は考えられる限り最短で総会を開催すると発表したらしい。明日は迷宮の予定だけに、今日の内に準備を片付けておかないとだな。
「まずは中で」
委員長の言葉に促されて、七十人規模になった集団が邸宅に足を踏み入れた。
◇◇◇
「廊下もそうだったけど、見事に何にもないんだねえ。アンタら普段はどんな生活しているのさ」
「食堂と談話室を見た通りですよ。ここは全く使っていません。慌てて掃除をしたくらいです」
呆れ声の『蝉の音組』組長、インおばあちゃんに苦笑を浮かべた委員長が答える。
冒険者クラン『一年一組』の拠点は豪邸で、その中でも一番大きい部屋。大広間と表現していいだろう。それがここだ。所謂ダンスホールってところかな。
合同訓練の前にちょっとしたスピーチをしたくて選ばれた場所なのだけど、七十人ともなると談話室ではさすがに入りきらない。だけどこの部屋は、ホントに寒い。気温的な意味ではなく、見た目で。
迷宮のように高くてアーチを描いた天井とまではいかないが、それでも二階まで吹き抜けになったガワだけは豪勢な大広間には、調度品どころかテーブルも椅子も置かれていない。
クリーム色の壁紙や艶やかな石で出来た床こそ綺麗なものだけど、絶望的にあるべきものが存在していないのだ。
それでも質素アピールっていうところまでは届かないかな。
「本日はお集まりいただきありがとうございます。『一年一組』で副長をしている藍城といいます」
一年一組側の列から一歩前に出た委員長が軽い口調で挨拶を述べた。
全員が突っ立ったままであちらは雑然と、こちらはキチンと整列している。何故かティア様とメーラさんもこっち側なんだよなあ。
ここには一段高い舞台や、なんならバルコニーみたいな二階席もあるのだけれど、今日の主旨に乗っかって上下は作らない。あくまで対等な冒険者として、いわば広間を横に使っている状況だ。
「冒険者らしく単刀直入にいきましょう。先日、僕たち『一年一組』と『ジャーク組』のあいだで、噂話を原因とした諍いが起きてしまいました。ですが先ほどご覧の通り、組長立ち合いの下で和解は果たされました」
真面目顔でズバっと言い切る委員長のセリフを聞いた流民冒険者たちの一部が、不快そうな表情になる。
まあ、こっちの勝ちであちらの負けっていうのが明白なだけに、同郷として複雑な心情になるのは理解出来なくもない。
それでも騒ぎ出さないあたりは、組長たちがしっかりと念押しした成果なんだろう。
「まず、みなさんの懸念について話しましょう。僕たちがアウローニヤで貴族待遇を受けていたのは、ほぼ事実です。ただし、家柄や血筋という理由ではありません。簡単に言えば囚われの身ってところですね」
貴族待遇という単語で一気に熱くなりかけた広間の気温が、後半部分で冷却される。急高下だな。相変わらず委員長の話っぷりは事実の羅列で相手の感情を揺るがせる。
「僕たちはこの大陸にあるどの国の出身でもありません。自分たちでもここがどこであるのか、故郷がどこにあるのか、未だにわからないのです。アウローニヤで年に一度行われる『勇者召喚の儀』。その最中に僕たち二十二人はその場に現れた……。まるで伝説の勇者ですよね、これって」
悲壮な状況説明の最後に冗談かのようなセリフを入れた委員長のお陰で、冒険者たちはツッコミの入れるタイミングを見失った。
「僕たちは故国で、所謂平民でした。豊かな国で育ったものですから、みなさん程の苦労はありませんでしたが──」
そこからはもう委員長の独壇場だ。
詳しくこそ説明はしないものの、魑魅魍魎渦巻く王城に放り込まれた平民たちがどうしたか。言われるがままにひたすら迷宮に潜り、階位を上げることを強要された日々。魔獣の群れとの対決。そして勇者の肩書を欲した者による拉致事件などなど。
すっごく俺たちが被害者的な表現になっているのがアウローニヤの女王様には申し訳ないけれど、この場では許してほしい。まああの女王様なら、それでこそ一年一組だと笑ってくれそうだけどな。
アウローニヤにゆかりがある冒険者たちは意外にも、オープンワールドではなく王城と迷宮だけで繰り広げられた『勇者たちの泥臭い冒険譚』に聞き入ってくれている様子だ。委員長の語りが上手いのもあるんだろう。
「詳しい経緯をお話しすることはできませんが、アウローニヤ王国は今後、大きく変わっていくでしょう」
そしてアウローニヤに新政権が樹立したところまで説明し終えた委員長は表情を改める。もちろん迷宮で女王様と共闘したことなんかは教えていないぞ。
「税の減免、兵役の軽減、冒険者の勧誘、そして寒村への支援……。全てが一気にとまではいかなくても、少しずつ実行され始めています」
流民冒険者たちにとって衝撃となるだろう未来を、委員長が淡々と語る。
コレを説明するのに、念のために組長たちからの許可すらもらっているくらい、彼らには効く内容なはずだからこそ事務的に。
「なんで……、なんでいまさらなんだよっ!」
そんな明日への希望に対して出てきた反応は、悲痛な色を纏った叫びだった。
次回の投稿は三日後(2025/06/30)を予定しています。遅くなり申し訳ございません。