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第502話 職業冒険者

 変則な更新時間となってしまい、申し訳ありません。



「いやあ、楽しませてもらった」


 バチンバチンと大きな拍手をしながら『白羽組』のおじさん冒険者たちが歌い手の白石(しらいし)さんを褒めている。

 歌っている時以外は大人し系な白石さんは顔を赤くしてテレテレだ。


「昼飯を食わせてもらった上に、魔力と歌のオマケ付きだ。釣りが出たくらいだよ」


「不幸と幸運の釣り合いってな。迷宮ってなあ、こんなことばっかりだ」


「今回のはとびきりだけどな」


 出会った時には稼ぎ損ねて苦笑いだったおじさんたちは、最早完全に真っ当な笑顔である。


 ティア様の無茶ぶりから始まった学芸会だったけれど、終わってみればやって良かったと全員が思ってしまう一幕だったなあ。

 侯息女様がこれを狙って提案したのかどうかは不明だけど。



「このあとはどうするんですか?」


 すっかりお開きムードになったところで藍城(あいしろ)委員長がおじさん冒険者に問いかけた。


 早めの昼食だったので、時刻はまだ十二時とちょっとってところだ。『白羽組』の人たちだって一息入れて、魔力も白石さんが回復させてあげている。

 もう一度四層に戻って狩りを再開っていう展開だってあり得るはずだけど。


「地上に戻るさ。ドジったら仕切り直しが冒険者の基本ってな」


「そうですか。僕たちも憶えておきます」


 魔力が戻ったからといって安易に四層に戻ると言い出さないあたり、流石の貫禄だ。

 これには委員長だけでなくクラスメイトたちも、おじさんたちに尊敬の眼差しを向けても仕方がないだろう。


「最近の四層はヤベえ。アンタらも気をつけてな」


 こちらを気遣ってくれた言葉に、仲間たちも頷く。


 アラウド迷宮の四層に比べれば比較にもならないくらい魔獣が薄いペルマの四層だけど、この先どうなるかなんてのはわからない。フィスカーさんたち『黒剣隊』が見つけた新区画も気になるところだしな。



「とはいえ、な」


「あ」


 そこで『白羽組』の斥候さんと、こちらのメガネ忍者な草間(くさま)の声が被った。二人は揃って隣の部屋に通じる扉を見ている。

 表情からして、人じゃなくって魔獣だろうな。


「まあ、あれだけ騒いだんだ」


「仕方ないですよね」


 向こうのリーダーさんと委員長がお互いに苦笑を浮かべながら肩を竦め合う。


 さっきまでの宴会紛いで魔獣を呼び寄せても仕方がない。そんなのは全員がわかっていた。

 だけどこの場にいるのは一年一組側がティア様とメーラハラさんを合わせて二十四名。『白羽組』は八名で、【聖術師】さんを除けば全員が十三階位だ。

 ぶっちゃけ三層の魔獣なんて、一度に二十体でも倒せてしまうだろう。


「……丸太が二体、です」


『白羽組』の斥候さんに無言で先を促された草間が、ちょっとドモりながら敵の判定結果を口にする。


「そうだな」


 褒めるように正解だと告げられて、草間はホッとしたように小さく笑った。カッコいいなあ、おじさん冒険者たち。



「さて、どうしたものか」


 確実にこちらに向かってくるであろう魔獣だけど、あちらのリーダーは余裕の態度だ。

 言葉の意味するところは、リーダーさんの視線がティア様を向いているのでよくわかる。


 食事のついでにあちらの事情を聞かせてもらったように、俺たちがティア様のレベリングをやっていることを『白羽組』の人たちは知っている。なんならティア様が自発的に九階位になったことを自慢していたし。

 つまり、これから現れるであろう魔獣はティア様の餌になり得るのを、おじさん冒険者たちは理解しているのだ。


 なのでリーダーさんは、こちらに獲物を譲ろうとしてくれているんだけど──。


「わたしたちは後片付けがあるので」


「先輩冒険者の戦い方、見せてもらってもいいですか?」


 やる気満々で立ち上がったティア様を制するように、綿原(わたはら)さんと俺が同時に口を開いた。

 気持ちがひとつなのは嬉しいけれど、綿原さん、宴会の片付けを理由にするのはちょっとアレすぎないだろうか。


 そんな俺と綿原さんの言動にティア様が面白くなさそうにしているが、うん、侯息女様担当の中宮(なかみや)さんが耳元でなんか呟いてフォローしてくれている。助かるよ。


 たしかにここで戦いティア様の経験値を稼いだとしても、得られた素材をどうするかっていう話になってしまうのだ。まさか担いで四層に持って行くわけにもいかないし、だからといって『白羽組』の目の前で投棄するっていうのも体裁が悪い。

『白羽組』に『荷運び』をお願いすることもできるけど、ティア様の素材は組合で九割が抜かれてしまうので、報酬が少なくなりすぎる。


 それとだけど、こんな時間に早上がりしてきた『白羽組』は、それなりに牛素材を背中に担いでいるが、まだまだ積載能力に余裕がありそうなんだ。

 だったら稼いでもらえばいいじゃないか。


 恩の押し売りみたいに思われるかもしれないけれど、熟練冒険者の戦いっぷりを見ておきたいというのは紛れもない本音だ。

 綿原さんの言った片付けにしても、とっとと四層に降りたい一年一組の事情からすれば、まあ真っ当……、なのかなあ。



「いいのか?」


「はい」


 リーダーさんの最終確認に、綿原さんはキッパリと答えた。こっちの意図は伝わったみたいだな。


 迷宮内での行動は余程政治的か命懸けの出来事でもない限り、迷宮委員に判断が委ねられている。つまり俺と綿原さんは責任重大だってことだ。

 もちろん異論反論は自由なので、今回のケースでも積極的な反対意見が出れば考慮くらいはしただろう。話し合うような時間もないんだけどな。


 俺にも聞こえるくらいの大きさで、丸太が移動する音が響いている。いくら移動速度が低い魔獣とはいえ、十秒もしないうちにお出ましとなるだろう。


「やるぞ」


「若い連中に、カッコいいとこ見せないとなあ」


「おう。無様はできんな」


 やると決めたならば『白羽組』の動きは速かった。軽口を叩きつつも、各人がポジションについていく。

 それを見る俺たちは反対側の壁際まで調理器具を移動して、万全の見物態勢だ。


「くるぞっ」


 斥候さんの声に釣られたかのように、二体の丸太が登場した。



 ◇◇◇



「いやあ、見事だな」


「あれはあれで、カッコいいね」


 イケメンオタの古韮(ふるにら)と文系オタの野来(のき)が、感じ入ったようなコトを言っているが、クラスメイトのほぼ全員も同じ思いだろう。


 巨大な連装尺取虫、二本丸太二体と『白羽組』の戦いは、ものの三分で終了した。


 おじさんたち八名の内訳は、【聖術】使いが一人と前衛系斥候職が一人、騎士職が三人で剣士も三人という構成だ。

 ヒーラーさんは後方に待機し、斥候さんも戦闘には参加せずに追加の魔獣を警戒。あえて俺たち一年一組をいないものとして戦ってくれたのだ。


 特徴的だったのは前衛に出た六名の内、四人までもが短槍をメインウェポンにしていたところかな。

 盾役が丸太を受け止めそのまま枝を払って敵の動きを阻害して、槍持ちが的確に急所を狙っていくスタイルだった。


 以前に見たことのある『黒剣隊』の魅せプレイと違って、完全に作業って感じだな。まさに仕事を片付けたってことだ。

 アウローニヤで見てきた騎士や兵士たちとはまた違う、荒々しくて洗練されている戦い方。これがペルマの冒険者か。



「ハルたちには真似できないよね、アレ」


「同士討ちになっちゃうよ。たぶんだけど」


 自分たちの攻撃技量がまだまだなのを自覚している【嵐剣士】の(はる)さんと【忍術士】の草間が頷きあっている。


 あの冒険者たち、丸太を挟み込む形で普通に向かい合って槍を繰り出していたもんなあ。

 ウチのクラスで許されるのなんて、滝沢(たきざわ)先生と中宮さん、辛うじて(ひき)さんのムチくらいじゃないかな。ミアは頼もしいけれど、周囲への配慮は危なっかしいし。


 つまり俺たち一年一組は階位や魔力は強くても、戦闘そのものの技術はまだまだってことだ。



「手際もいいわね」


「ああ。職人だよ、もう」


 綿原さんの感想には、俺も同感するしかない。


 解体作業をやっている『白羽組』は手際もいいし、あれぞ職業冒険者って感じだ。

 短剣を器用に使って枝を払い、素早く丸太だけを作り上げていく。この時ばかりは【聖術】使いさんも参加しているあたり、チームって感じだよな。


「手慣れたもんだな」


 俺たちが『白羽組』を観察していたように、向こうも俺たちを見ていたわけで、リーダーさんの声には呆れが混じっている。


 あちらが解体作業をしているあいだ、こっちはクラス総出で撤収準備中だ。

 俺たちもすっかり慣れたもので、テキパキとバーベキューセットを畳み、部屋の端に流れる水路で食器類を洗っていく。こういう時は、熱水使いでアネゴな笹見(ささみ)さんが大活躍だ。


 十分もしないうちに、お互いの準備は完了した。



「おっと忘れるところだった」


 いざお別れの段となったところでおじさんたちはそれぞれ腰のポーチから何枚かの大銅貨を取り出し、白石さんに手渡していく。

 さっきの【魔力譲渡】代金に続けてなのでアワアワする白石さんだけど、それを見る冒険者たちの目は優しい。完璧に父親モードだよな。


「街ではいい歌を聞かせてもらったら、こうするのが普通なのさ」


 なるほどおひねりか。見かけたことはないけれど、ペルマ=タでも路上ライブとかやっていたりして。

 だけどこれって、さっきの【魔力譲渡】と違って冒険者としてのしきたりではない。あくまでペルマ=タに住む人たちのやり方だ。


「え? あ、えと、その」


 周囲に助けを求めた白石さんは、ついに先生に視線を送った。

 一年一組の最終ルールだな。普通なら委員長や中宮さんあたりに頼るところだ。切羽詰まってるなあ。


 そんな白石さんに、薄く笑った先生は頷くことで答えてあげた。

 白石さんが手にする大銅貨は二十枚に届かない。一枚百ペルマ相当なので、日本円換算で二千円弱だ。白石さんからしてみれば二曲の歌でといった感じなのかもしれないけれど、それくらいなら受け取ってもいいんじゃないかな。


「じゃあ、ありがとうございます」


「おう。また聞かせてくれや」


「えっと、はい」


 まるっきり悪意無く朗らかに笑いかけられれば、こっちだって温かくなるというものだ。ダブルおさげの白石さんも笑顔になる。


 かくして白石さんは自らの歌で報酬を得てしまったのだった。


 数日後、冒険者のあいだで『迷宮の歌娘』というあだ名が噂されることになるのだが、それって誰のことなのやら。



「さて、俺たちはここで。殿下も、ごちそうになりました」


「ええ。また迷宮でお会いいたしましょう」


 あちらのリーダーさんが軽く頭を下げてティア様にお礼をすれば、返されたのは粋なセリフだ。すっかり冒険者のノリだよな、ティア様。


「くははっ、その時を楽しみにするとしておきましょう」


 そんなティア様の気風を感じれば、『白羽組』のおじさんたちだって思わず笑ってしまうというものだ。


 何度かの挨拶を交わしてから、丸太を担いだおじさんたちは去っていった。



 ◇◇◇



「予想より早くティア様が九階位になれたので、ここからの順番は草間くんの十一階位で、それからティア様の十階位です」


 迷宮四層、階段を降りてきてすぐの広間で、綿原さんによるレベリング順の再確認が行われている。


 現状、この場にいる二十四人の階位内訳は、ティア様がさっき上がって九階位。護衛のメーラハラさんとメガネ忍者の草間が十階位。それ以外の全員が十一階位だ。

 一年一組の後衛系が全員十一階位を達成したことで、魔力量的にはある程度の安定が見えてきたことから、ここからは取り立てて誰を優先するでもなく、自然と十二階位を生み出す予定になっている。だからといって草間だけを十階位のままにしておくなんてのは問題外なので、そこだけはクリアしておきたい。


 草間を十一階位にできた時点で、続けてティア様の十階位。これが今回の迷宮における最低ラインだ。

 とはいえ、そんな目標は二日間の内、今日中に達成できるだろう。そこから先はティア様とメーラハラさんの十一階位を優先しつつ、一年一組の中からエンカウントした魔獣の強さに合わせて、満遍なく十二階位を増やすことを目標にする。


 レベリング依頼ということになってはいるものの、ティア様はなにがなんでも自分を優先しろだとか、自分も横並びでなければ嫌だとかは言わない。最低限として十階位は求めているけれどな。


 彼女が欲しているのはたぶんだけど、俺たちと共に迷宮を征くことだ。

 なのでティア様は、綿原さんの予定に文句を付ける様子もない。



「素材所有権もありますので、三角丸太だけは優先度に関係なく一年一組の前衛が倒します」


「わかっていますわ」


 念押しする綿原さんに、ティア様は邪悪な笑顔で首肯する。


 四層で最高値の素材となる三角丸太は、文字通りの丸太なので食べることができない。

 これって迷宮泊的にはデメリットなんだよな。夕方には『荷運び』を請け負ってくれたウルドウさんたち『雪山組』が来てくれるからといっても、半日に渡って丸太を担いで歩きたくはない。だけど経験値的には美味しいってところが悩ましいのだ。


 そもそも三角丸太は今のティア様とメーラハラさんには強敵なので、苦労してまでトドメを譲る必然性もないわけで、いざとなれば目をつむって投棄ってパターンも視野に入れている。


「できたら後半で当たりたいですけどね。ティア様には中型の食べられる魔獣をお願いします」


 だからこそ綿原さんは苦笑を浮かべてそんなことを言うのだ。


「牛と馬……、蟹もですわね」


「はい。蟹は硬いですけど、夕食の材料をティア様には期待しています。できれば明日の朝食も」


「お任せあれですわ!」


 まさにお互い不敵といった感じのやり取りをするティア様と綿原さんの構図である。なんか板についてきたなあ。



「ティア様が十一階位になれたら、メーラハラさんもです」


「はい。お願いします」


 先日と違い、メーラハラさんはストレートに頷いた。


 ティア様の指示だからなのか、それとも覚悟を決めたのかはわからない。

 それでもメーラハラさんがここまで自分の意思をハッキリと表に出すのは初めてだ。もしかしたら、専属護衛としてティア様に階位で負けたくないのかも。


 今回の迷宮泊に当たり、メーラハラさんの持つ技能についても教えてもらうことができた。

 守護騎士という立場なので、どういうタイプなのかがバレかねない情報でもあったのだけど、聞けば素直に教えてくれたことに、ちょっとした信頼を感じて嬉しくなったのはさておき。


『わたしの持つ技能は【体力向上】、【身体強化】、【反応向上】、【疲労回復】、【頑強】、【視野拡大】、【強靭】です』


 ネタバレしてくれたメーラハラさんの技能は、何というか偏っていた。


 十階位の【堅騎士】であるメーラハラさんの持つ技能が七個というのは、この世界の標準からすればちょっと足りない。技能のコストにもよるけれど、前衛職なら八か、無理をして九ってところか。

 以前のやり取りで【疲労回復】なんていう騎士職には珍しい技能を持っているのに加えて、驚きなのは【視野拡大】だ。加えて【頑強】と【強靭】。本来騎士の持つべき【剛剣】や【鋭刃】なんて持っていない。


 意味はわかる。わかるのだけど。


 同じく【堅騎士】で、護衛特化型の騎士だった『紅忠犬』のミルーマさんが【痛覚軽減】や【治癒促進】を取得し、個として主を守り抜く姿勢だったのに対し、メーラハラさんは『時間稼ぎ』タイプの技能構成といえるだろう。


 広い視野と反応速度。攻撃系の技能を持たずに、むしろ魔力に余裕を持たせることで守備的な戦いをなるべく長引かせ……、そして助けを待つ。

 メーラハラさんはティア様に合わせるように階位を上げない縛りを自らに掛けつつも、そんな条件下でどうやったら主を守ることができるかを模索していたのだ。


 こんなのレベリングしてあげたくなって、当然じゃないか。



「頑張ろうね、メーラハラさん」


「はい。全力を尽くします」


 一年一組全員がそんな思いを共有しているのだから、ロリっ娘の奉谷(ほうたに)さんが声援を送るのも当然だ。

 礼を言うメーラハラさんだけど、どこか普段と違っている気がする。具体的には、ちょっとだけ瞳に光が差しているいるというか。


「十一階位なったら、ほんとに【睡眠】?」


「……前向きに考えています」


 そういう表情の変化は置いておいて、メーラハラさんは十一階位になったら【睡眠】を取得すると表明したのだ。【広盾】あたりかなって思っていたのに。


 ティア様が城から出る時はこうして確実に、そして無口でついてきているメーラハラさんだけど、なにも四六時中というわけではないらしい。寝る時は別々なんだそうだ。当たり前か。

 そんなメーラハラさんが非常に珍しくも俺たち……、というか何故か奉谷さんを名指しして相談してきたのは、【睡眠】の効果だった。


 一年一組的最強神スキルである【睡眠】は自発的強制スリープだ。感覚的なタイマーまで付いているのが嬉しい。ゆすぶったり大きな音で目を覚ますことができるのも良い仕様だと思う。

 残念ながら他者に使うことはできないため、ウチのクラスは全員が取得している。


 手術とかの全身麻酔は秒で落ちると話に聞くけれど、まさにそんな感じで、技能を使ったつぎの瞬間には眠れてしまうのが【睡眠】だ。しかも眠りが深くて、短時間でもよく寝たって風に起きることができる。熟練が上がればさらに性能がアップして、最近では三時間も寝たら十分なんていう連中もいるくらいだ。

 不健康だからと普段は六時間は寝るようにしているけどな。


 俺に至ってはクラスで唯一の【安眠】持ちだから、取ってからこちら、夢見が悪いなんていうことを経験したことが無くって、みんなに申し訳ないくらいだ。


 とにかく【睡眠】は神ってことで間違いない。

 そしてたしかに護衛を職業にする人に向いているとも思う。アウローニヤの近衛で持っている人はいなかったけどな。


「わたくしは問題ないと思いますわ。なによりメーラ自身で決めたことならば、応援するのが主としてのあるべき姿ですわよ!」


「リン様……」


 如何にもこの主従らしいやり取りを一年一組は温かく見守るのだ。



「じゃあ出発しましょう。八津(やづ)くん、お願い」


「了解。みんな、陣形整えてくれ。ティア様、メーラハラさん、四層は手ごわいですよ」


 綿原さんに促され、俺は自分のポジションにつきながらみんなに声を掛ける。


「覚悟の上ですわ!」


「さすがはティア様です。じゃあ行こう」


 迷宮泊一日目は、ここからが本番だ。



 次回の投稿は明後日(2025/05/16)を予定しています。

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こっちの国に来てから、会う冒険者や姫様がだいたいすっきりとした良い人なの好き…
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