第483話 工房にて
「へえ、あの二人がベタ褒めだよ。ああ、すまないね。お貴族様口調がいいかい?」
「まさか」
二通の紹介状に目を通したおばちゃんがニカっと笑って聞いてくれば、肩にサメを乗せた綿原さんが苦笑いで返す。
マクターナさんとナルハイト組長からの紹介状は、俺たちも中身を知っている。もちろん勇者などとは明言されていなくって、こちらの正体はアウローニヤの政変に巻き込まれた貴族の子供たちっていう感じだ。
そういうワケだから、おばちゃんの問いかけはタチが悪い。もしもここにいる七人が貴族であることにプライドを持っていたとしたら、そんな連中が冒険者などに『平民落ち』したとして、って感じで。
これだけでも目の前に立つおばちゃんの度胸が知れるというものだ。
まあ、紹介状には『一年一組』は善良な連中だ、くらいのことは書かれているのだけど。
「十一階位が半分以上かい。大したもんだ。本命は四層かい?」
「最初は、はい。将来的には五層を目指しますけど」
「へえ。その若さでねえ」
俺たちの階位を知れば、主戦場が四層なのは明らかだ。だけど綿原さんは堂々と五層を狙っていると言い、それを聞いたおばちゃんは楽しげに目を細くした。
迷宮は一層と二層までは、出てくる魔獣はそれほどの強さではない。三階位だった頃の俺たちが二層に四人で落ちて、一日粘れるくらいにはなんとかなってしまうくらいに。そういえばこの場にその時の四人が揃っているな。
問題なのは三層からで、階位が上がることによる強化と比べ、魔獣の強さの上昇度の方が高い傾向があるのだ。要はゲームバランスが悪いってことだな。
俺たちは『勇者チート』の恩恵で豊富な内魔力と、それに伴う技能の数でゴリ押しできているが、本来ならば各階層の限界階位まで引っ張り上げて、そこから勇気を振り絞って次の層に挑むというのが通常だ。
一年一組の場合は人数と様々な連携、神授職のバラエティも武器と言えるかな。
冒険者という商売は二層だけならカツカツ、三層で普通、四層で稼げるっていう感じになる。
つまり『一年一組』は現状でもうトップクラスの稼ぎが狙える組なのだ。この際、四層で後衛職のレベリングに苦戦中なのは置いておこう。
そこで出てくるのが五層というワードだ。
二層で七階位、三層で十階位、そして四層で十三階位。これが各層での限界階位となるのだが、十三より上の階位を目指すのは、チャレンジングな行為とされている。それくらい五層はヤバいらしい。
アウローニヤでも、ここペルメッダでも、迷宮で戦うことを仕事にしている人間は十三階位でほぼアガりだ。
そこから先は、何かしらの信念がなければやっていられない。なにしろあのヒルロッドさんや『黄石』の団長をやっていたヴァフターですら十三階位で止まっていたのだ。まあヒルロッドさんは十四階位に到達したので、乗り越えちゃっている側になったのだけど。
そういうわけでアウローニヤでは近衛騎士総長とアイツが率いたベリィラント隊、そして十四階位のキャルシヤさんは、ヤバい側の人たちだったということになる。
ペルメッダだと俺たちが知る限りでは公王様ご当人が十六で、『オース組』の組長と副長、そしてマクターナさんが十五階位だ。ペルマの冒険者組合長も十六階位らしいけれど、事実上引退済みである。
要は十四階位以上の面々は、指折り数えるような存在ということなのだ。
そんな国家レベルでの最強を『一年一組』の面々は目指していると、綿原さんはあっけらかんと言ってのけた。
「いやあ、いいねえ。イキの良い若者は大歓迎だ」
おばちゃんは上機嫌だ。
五層を目指すなんていうのを四階位とかの駆け出しがほざけば、それは夢物語だろう。周囲は温かい目で見守ってくれることになる。
だけど十一階位がいるウチの連中は、四層での魔獣との闘争を知っている。その上での啖呵だ。
「そんな冒険者にウチを贔屓にしてもらえるなら光栄だよ。で? 御用の向きは?」
「まずはコレの調整をお願いしたいんです」
問いかけてくるおばちゃんに綿原さんは、背嚢を前に出して開いてみせた。
中に入っているのは俺たちがトドメ用に使っている短剣と、サバイバルナイフ。それがクラスの人数分となる。なお、アウローニヤを旅立つ時点で細工をされた新品が手渡された。
ここに来たメンバーが手分けして運んできたのだけど、予備として十セットくらいが新品状態で拠点に保管されている。
アウローニヤにいた時は迷宮に入る度に近衛の専用工房『フューラ』にお願いしていたのだけど、ペルメッダではそうはいかない。
いちおう自分たちでもメンテナンスはできるようにと習ってはいるのだけど、命を預けるとなれば、やはり専門家を頼りたいのだ。
「へえ。見事なモンじゃないか」
おばちゃんがカウンターに置かれた短剣を持ち上げ、鞘から抜いて刃を見てからニヤリと笑う。やっぱりバレるか。
俺たちの持っている短剣は、アウローニヤにおける高級品だ。鞘や握りについては質素な造りのモノにしてもらっているが、刃の部分だけはそうはいかない。
もちろん高級品といっても、女王様が使っていたような宝剣クラスではないけれど。
なによりマズいのは『揃いの逸品』という点だ。近衛騎士団ならば全員がコレを使っているのだけど、俺たちはバラバラな貴族家から流れてきたという設定になっている。そんな連中が揃いの高級装備なんて持っていたら、近衛騎士団からの集団逃亡になってしまう。
だからといってせせこましくバラバラの工房に別々のタイミングで持ち込むなんていう面倒もゴメンだ。
マクターナさんはそういう事情をわかってくれている人なので、俺たちは彼女が推薦してくれたこの工房を信じることにした。
「冒険者組合がアンタを冒険者だって認めたんだろ? 詮索なんかするもんかい」
「……助かります」
チラっと俺たちの革鎧に視線を送ったおばちゃんは、苦笑を浮かべて期待通りの言葉をくれた。
ほっと息を吐いた綿原さんを先頭に、俺たちは軽く頭を下げる。そうだよな、武器だけでなく革鎧だって揃いで、しかもサイズ調整までバッチリなのも身バレ要素か。
そういう目ざとさがあるのなら、逆にこの工房は当たりだとポジティブに考えることにしておこう。
「お~い、アンタぁ! 誰か連れてこっち来とくれ! お客さんだよ!」
そこでいきなり背後に振り返ったおばちゃんが、大声で叫んだ。
「来るか」
「どんな人かなあ」
オタな古韮と野来が嬉しそうな声で呟きあう。
おばちゃんがアンタと言ったからには、登場するのはここの親方なんだろう。俺やオタ連中はそういう勝手な推測を立ててしまうタイプなのだ。
「呼んだかー?」
おばちゃんのいるカウンターの向こう側から現れたのは大柄な体格をしたおじさんだった。四十歳くらいで厳つい顔をして、もじゃもじゃな茶色い髭がとても目立つ。
続けて二十歳ぐらいのお兄ちゃんも入ってきた。こちらはごく普通な若者って感じで、表情は優しげだ。おばちゃんとおじさんとは、似ていないかな。着ている服も薄汚れた作業着だし、単なるお弟子さんとかかも。
「っぱ、こうこなくっちゃ」
「だよな」
いかにも職人なおじさんの登場に古韮と俺のテンションが上がっていく。野来なんかは小さくガッツポーズだ。
とはいえアウローニヤの工房長もソレっぽかったので、通算二度目ではあるのだけど。
「初顔だな。どこの組だい?」
「『一年一組』っていいます」
おっかない笑みで話しかけてくるおじさんだけど、綿原さんが臆することはない。
ただし一匹だけだったサメアクセサリーが両肩の二匹に増えているんだよな。どういう理屈なのやら。
「ああ、あの」
おじさんは俺たちの姿を一瞥してからおばちゃんとアイコンタクトをとる。
「組合と『オース組』からの紹介状を受け取ったよ。『お行儀がいい』そうだ」
「ほう? こんな若造たちがねえ」
朗らかに笑うおばちゃんのセリフに、おじさんは顎髭を撫でながら感心のご様子だ。
紹介状には『お行儀がいい』なんて文言は含まれていないのだけど、要は俺たちが冒険者として真っ当だというのを短く表現したのだろう。証拠に小馬鹿にしたような空気を二人からは感じない。
「で、これの調整ってことか?」
「はい。全部で四十四です。それと弓をひとつ。みんな」
おばちゃんが俺たちをお客さんと呼んだ時点で、合格点は出ていたのだろう。おじさんはカウンターに置かれた短剣とナイフを見るやいなや、仕事モードを感じさせる真面目な顔つきになって話しかけてきた。
サメ二匹のパワーを得ている綿原さんは、気圧されずにハキハキと返事をする。
綿原さんに指示された俺たちは、それぞれ背嚢に詰め込んでいた短剣とナイフをカウンターに並べていく。ミアは自分の弓も差し出した。
「んん? 使ってねえのも混じってるな」
何本かを手に取ったおじさんが首を傾げる。
一年一組はペルメッダにやってきてから二度しか迷宮に入っていない。
一回目は二層で、二回目は三層。だけど二回目の方はほとんどのトドメをティア様に回したものだから、短剣はほとんど使われていない。本当に念のためレベルなのだ。
むしろ素材の解体に使ったサバイバルナイフの方が心配なんだよな。
「使っていなくても長旅に付き合わせたので、そういうのも含めてですね」
「いい心掛けだ。代金は見てからになるが?」
「相場は聞いていますから、お任せします」
綿原さんとおじさんがポンポンと商談を進めていく。なんだか綿原さんがやたらと頼もしいぞ。
「そうか。半刻から一刻で済むと思うが、どうする?」
「武器を見ててもいいですか?」
「買いたい物もありマス!」
おじさんの言葉に野来とミアが食らいついた。もちろん俺も大賛成だぞ。
俺ってあんまり買い物系に参加していなかったものだから、異世界ショッピングに飢えていたのだ。
ましてやうん、武器屋だもんな。
「はははっ! そうか、好きにしていて構わんぞ!」
瞳を輝かせる俺たちを見たおじさんは、嬉しそうに高笑いしながら刃物を抱えて立ち去って行った。もうひとりのお兄さんはニコニコしたまま何も言わずに荷運びだ。
「さあさ、好きに見ていっておくれ」
威勢のいいおばちゃんの声に背を押され、俺たちは棚に置いてある武器に目を向けた。
◇◇◇
「やっぱりいいよね。大きい剣って」
「馬那あたりなら似合いそうだよな」
古韮と野来は棚に立てかけれられたデカい剣に興味津々だ。
『オース組』の『黒剣隊』リーダー、フィスカーさんが使っていたのとよく似た形で、長さが一メートル半、幅が三十センチくらい。たしかに寡黙キャラな馬那にマッチしそうな感じがする。あくまでイメージなだけだけどな。本人は拒否るだろうし。
ここ『スルバーの工房』は武器工房を名乗ってはいるが、盾や防具なんかも扱っている。要は鉄と革、ついでに迷宮ならではの角なんかを素材にした、冒険者用装備全般ってことだ。ただし鉄串みたいな小物は除く。
出来合いの冒険者装備スーパーとかではなく、基本はオーダーメイド。ここに置いてあるのは、買うこともできるけれど、どちらかといえば見本だ。
つまり中級者より上の冒険者相手で、グレードが高い工房ってことらしい。
本来ならぽっと出の『一年一組』が出入りできるような店ではないのだけれど、そこは老舗の組と『ペルマ七剣』による紹介状パワーである。
お高い装備を最初から持ち込んでいる俺たちとしては、質の良いメンテナンスが必要なのだ。
「コレはいい感じデス!」
「アンタ凄いね。それを引けるのかい」
「ご覧の通りデス」
大剣で盛り上がるオタグループと別の場所では、自分の身長と同じくらいのサイズな弓を見つけたミアが、楽しそうにソレを引き絞り、おばちゃんを驚かせている。
勝手に触っているけれど、それはアリらしい。怒られなくて良かった。
「十三階位前提だよ、それは。四層なら楽勝で、五層でも使える代物だ」
呆れた風なおばちゃんだけど、ミアは【上半身強化】なんていうふざけた技能まで持っているからなあ。
現在十一階位なミアならば、引くくらいはできるんだろう。というか楽勝っぽいんだけど。
サイズは日本の弓道に使うのよりもちょっと小ぶりなくらいだけど、本体はやたらとゴツい。黒く色が塗られているせいで材質は不明だが、所々が鉄板で補強されているのでとても重そうに見える。
「ミア、そんなに大きいの取り回しできるの? 今の弓だって四層で使えてるじゃない」
今にも買うって言い出しそうなノリのミアに、綿原さんがツッコミを入れた。
「必殺武器デス。普段は……、広志に持たせておきマス」
「荷物持ちか。アリといえばアリかな」
ミアの提案は明らかに思い付きだが、俺の脳内ではとある光景が浮かぶのだ。
最終兵器的なブツの使用を承認して手渡す。戦力の運用とかと関係なく、絵面や役割りとしては悪くない。
『射撃を許可する。てぇっ!』
なんてな。
「八津くんはわたしの砂を分担してもらっているから」
「凪ばっかり、なんかずっこいデス」
妄想に耽る俺を他所に、綿原さんとミアがなにかを始めていた。勘弁してほしい。
「変わった形のナイフですね」
「見てるだけでも楽しいかな。ほら、こっちも」
「面白いですね。どんな風に使うんでしょう」
仲良くじゃれ合う綿原さんとミアから目を背けた先には、和やかな光景が広がっていた。
優しく微笑む上杉さんとメガネを光らせた白石さんの会話である。とはいえ二人が見ているのは各種ナイフが陳列されているコーナーなので、微妙な殺伐さも感じてしまうのだけど。
料理人としての上杉さん的にはせめて包丁の類くらいがあったらよかったのかもしれなけれど、ほとんどがゴツい仕様のブツばかりだ。ナイフというより鉈に近いサイズなのもあるくらい。
「試したいなら裏手に空き地があるけど、どうする?」
「いいんですか!?」
「やりマス!」
「やったぁ!」
ワイワイとしていたこちらを頬杖を突いてニコニコ笑って見守っていたおばちゃんがそんな風に声をかけてきたら、もちろん俺たちは大喜びで武器を選び始めてしまうのだ。
◇◇◇
「待たせたな」
「とんでもないデス。凄く楽しかったデス!」
一刻、つまり二時間も経たないうちに戻ってきたおじさんに、ミアをはじめ七人全員がお礼をした。
厳つい顔のおじさんと朗らかなおばちゃんが、興奮冷めやらぬ俺たちを生暖かい目で見ている。
たしかに楽しかったんだよなあ。昨日の滝沢先生の言葉通りに、この世界ならではの面白さってものは確かにあるんだよ。
古韮や野来が片手で鞘に納めたままの大剣を振り回してみたり、俺と女子組が短槍を試してみたりと、普段の訓練ではやってこなかった武術ごっこは、なんだかんだで楽しかった。
ミアなんかは強弓から鉄の矢を放って、的代わりの丸太をブチ抜きうしろの土壁にめり込ませるなんてマネをして、大興奮である。もう欲しくて仕方がないって感じだ。
「凪ぃ」
「百二十万を即決はムリよ。戻って多数決ね」
「世知辛いデス」
みんなでメンテナンスが終わった短剣とナイフをチェックしていく最中もミアがおねだりをし、綿原さんが軽く捌いてしまう。
先日のコンブのように、それ程の値段でもなければその場にいるメンバーの同意で掘り出し物を買ってもいいと一年一組では決めてある。一期一会は大切にって。
とはいえ、ミアの欲しがっている大弓は百二十二万ペルマ。さすがにコレはダメだろう。そもそもそんな金は持ってきていないんだし、買うと決めてもいないのに取り置きってワケにもいかないだろうから。
「ソイツは五層素材だからなあ。どうしても高くつくんだよ」
元気モードから一転しょぼくれてしまったミアを見て、おじさんが申し訳なさそうに声を掛けてきた。
髭塗れの顔はおっかないけど、言動は優しいんだよな、この人。
「それにだ、金髪の嬢ちゃんの身長に合わせた方がいいんじゃねえか? アレよりも高くつくけどな」
「ワタシはミアデス。ついでにもうちょっと強くできマスか?」
「そりゃあ出来るが、引けるのか? ミア。作っちまってからじゃあ」
「明日の迷宮で十二階位になりマス!」
「そ、そうなのか」
オーダーメイドを勧めてくるおじさんだけど、儲けようっていうよりは親切心っぽくも見える。
誰に対しても名前呼びを強要するミアも大したタマだよな。ところで明日で十二階位は確定事項だったのか。
笑顔で胸を張るミアにおじさんがちょっと気圧されて、おばちゃんはニコニコ顔だ。商談になっていないミアの語りに場の空気が軽くなっていく。
あ、そうだ。
「これくらいの大きさで五層素材の武器ってありますか」
「ぶう」
俺はメンテナンスが終わったばかりの短剣を指差して聞いてみた。
そしてミアよ、弓の話を流されたからってむくれるな。さっきから表情の緩急が激しすぎるぞ。
「五層の角は、持ち込みがほとんどなんだよ。出来上がったブツは自分の組に持ち帰るか、贈り物にするかだな。端材も出るが、短剣ともなるとなあ」
「なるほど」
おじさんの説明は頷けるものだった。
そもそも五層への挑戦が少ない以上、取れた素材は自分たちのパワーアップに回されるという寸法だな。素材を持ち込んで加工してもらうなんて、いかにも冒険者的で美しい。
ミアが目に付けた弓は、木と革と鉄の複合だから余剰で作れたのだろうけど、剣の刃の部分となるとって話だ。
一年一組ならば、現状の四層素材の装備でレベリングは可能だ。
『芋煮会』をはじめとした戦法はペルマ迷宮でも通用するだろうし、『クラスチート』のお陰で連鎖したのか、後衛職でも【鋭刃】がちらほら候補に出てきている。俺には出現していないのがとても悔しいけれど、優先的に十一階位にしてもらったお陰で十階位の頃よりも手際よくやる自信もあるのだ。
御使い奉谷さんの【身体補強】も強化率が少しずつ伸びているしな。
五層素材の短剣を求めたのはあくまで効率が良くなればっていう程度の話だったので、落ち込むほどのものでもない。リーサリット陛下が使っていた王国の『宝剣』みたいのがあればいいなあっていうくらいの感覚だ。アレは六層素材らしいから、それこそ高望みに過ぎるんだけどな。
問題なのはもうちょっと先の話で、俺たちが五層チャレンジをするとなった際に、後衛職のレベリングの難易度がちょっと想像できないって点だ。
本来だったら全員を十三階位にしてからなんだろうけど、四層でそれをするのは時間がかかる。俺たちとしては全員が十二階位になった時点で五層に挑戦したい。
そのためには五層でも通用しそうな武器が必要で……。ぐぬぬ。
「年に一度か二度くる犬耳たちなら、素材だけの持ち込みもあるんだけどな。お前ら、予約だけでもしとくか?」
そこでおじさんがとんでもないコトを言い出した。
次回の投稿は明後日(2025/04/06)を予定しています。