第476話 得のある提案
「『特別貢献』、ですか」
マクターナさんの持ち出した単語を藍城委員長が聞き返した。
「わたしの見立てですが、三層に転落した二名は二割、二層に残った五名については五割くらいでしょう」
会議室にいる面々に視線を送りながらマクターナさんが生々しい数字を並べていく。
明確にはしていないが、誰もが意味するところを理解しているだろう。
これは生存確率だ。
二層に残された『ヤーン隊』は混乱状態に陥っていた。あんな大騒ぎをしていれば、いつかは魔獣が迫っていた可能性は高い。はたしてあんな状態の五階位と六階位の五人がどこまで戦えたか。しかもヒーラーはいなくなっていたのだし。
むしろ俺たちが到着するまで魔獣のエンカウントが無かったのは、最高に幸運だっと言えるだろう。
三層に転落したウルドウさんとフュナーさんはもっと悲惨だ。
ウルドウさんは十階位。たしかに三層で戦える人ではあるが、ひとりでは無理がある。事実、転落した先でヘビに襲われていた時点で後衛職で五階位のフュナーさんが危ない状況に陥っていた。
なによりマズかったのは、あの二人には自分たちがどこにいるのか、把握するのに時間が掛っただろうということだ。延々と三層を二人で彷徨い、どこかで力尽きていたはず……。
たしかにマクターナさんの言った数字はそのとおりと思えるものだ。三層側の二割なんて高く見積もっているくらいに。
ウルドウさんやグッター組長は難しい顔で頷いているし、『ヤーン隊』は俯いてしまっている。今更ながら自分たちの置かれた状況を再認識しているのかもしれない。
落ち込むだけじゃなく、経験を積んだと考えて乗り越えてくれるといいのだけど。
「今回の事故では、一度に七名もの冒険者が失われる可能性がありました」
念を押すようにマクターナさんは言うが、七名という人数は結構重い。なにしろ──。
『年に三十人くらい、か』
冒険者についての調査を担当していたオタ仲間の古韮が、ペルマ迷宮の現状を説明してくれたことがある。
バラつきこそあるものの、一年に三十人くらいの死者がペルマ迷宮では発生しているらしい。これでも百年単位で改善されてきた数字で、ここ十年くらいがそうなんだとか。
それを聞いた時は『迷宮のしおり』改め、『指南書』が普及したらどうなるんだろう、なんてみんなで語ってしまったものだ。
明確な魔獣の群れが発生していないペルマでは、迷宮事故の多くが深層ではなく二層で起きているらしい。三層や四層で戦う冒険者たちはそれなりの経験を積んでいるので、敵が強くても安全の取り方が上手いというのが理由なのだとか。
二層で活動する冒険者の多くは駆け出しか、三層に挑む勇気がなくて困窮している人たちが多い。つまりまだまだ迷宮に慣れていないか、もしくは装備や体力に難点があるということを意味するのだ。
組合はもちろん、各組も対策はしている。
だからこそウルドウさんが『ヤーン隊』を引率していたし、『オース組』が俺たちの試験会場に二層を選んだのだ。
二層を闊歩できるだけの実力があれば、あとは下を目指す勇気だけで安定は得られる。
迷宮を歩く冒険者に必要な能力として、単純な力である階位だけでは全く足りない。対応力、判断力、そういった要素がむしろ重要だ。それを二層で学んで、将来に繋げていくのが冒険者としての成長ってことだな。
「『白組』の協力こそありましたが、ほぼ独力で『一年一組』は全員の救出に成功しました。これは十分な功績、『特別貢献』に値すると、ペルマ冒険者組合は判断しています」
笑顔のマクターナさんは、もう一度同じ言葉を繰り返す。
冒険者の組や隊を評価する基準のひとつに『貢献点』がある。
組合に対する貢献、すなわちどれだけ上納金を納めたかという視点での評価なのがちょっと生々しいよな。
上納金を納める方法は大きく二つ。ひとつは迷宮から素材を持ち帰り、組合に換金してもらうことで一割を支払う形だ。
もうひとつは各種の依頼を受けて、それを達成すること。こっちの方は仲介料として一割から二割が組合の取り分になる。
俺たちは初回の迷宮で一切の素材を納めてはいないけれど、マクターナさんとティア様の依頼を達成したことで、六万ペルマを組合に上納した。これがそのまま貢献点になっている。
結局は金っていうのがなんだかなあ。『貢献金』じゃなくて『貢献点』という風にボヤかしているあたりが、モニョる。
もっとこう強さを測るような、と言いたいところだけど、冒険者の強さというのはどれだけ魔獣を倒せるかだ。つまり納めた素材の量が、間接的に強さの証明ってことにもなるわけで。ぐぬぬ。
所属している冒険者の人数や、階位の合計値なんていう評価基準もあるけれど、『一年一組』は小規模判定だし、階位も高いとは言い切れない。
そもそも後衛職と前衛職がごちゃ混ぜなので、あんまり意味のない判定だよなあ。
冒険者個人としてのランク付けは事実上階位だけで決まるので、そっちも上を見ればキリがない。
「今回の事故における対応の貢献として、組合は『一年一組』に二十万点を付与します」
マクターナさんの声で我に返る。思考が逸れてた。冒険者のランクとなれば、そっちに傾いてもしょうがないのが俺なのだ。
それはさておき、今は『特別貢献』についてだったな。
貢献点を稼ぐ三つ目の方法が特別貢献だ。
今回の一件の様に、迷宮での事故を解決するために活躍するのが一番多いらしいけど、ほかには依頼にならないけれど組合に加担した場合、なんかがある。
考えたくもないけれど、たとえば戦争……、とかだ。もしもペルメッダが他国からの侵攻を受けた場合、国が組合を通じて冒険者への協力を要請する形になる。故郷を守る義勇兵というヤツだ。
ほかに考えられるケースだと、組合員に対する攻撃への対応とか。まさに俺たちが冒険者になった理由のひとつだな。
こんな風に組合に上納するのとは別に、名誉としての点数が渡される場合があるってことだ。
マクターナさんの提示してきた二十万点という数字は、素材からの上納と考えれば二百万ペルマに相当する。大金だとは思うけど、人の命が関わったと思えば高いのか安いのか、ちょっと判断が付きかねるよな。
「あの、評価されたのは嬉しいですけど、その……、妬みとかは」
朗報っぽく告げられた特別貢献を与えられるという話を受けて、委員長が申し訳なさそうに確認を取る。
こういう慎重さがあるのがウチの委員長だ。周りの目を気にしすぎともいう。
「事件の経緯については詳細が掲示されます。啓蒙、再発防止が主眼ですが、功績を上げた冒険者を称える意味もありますね」
「そう、ですか」
宥めるようにマクターナさんが説明をするが、それを聞いた委員長はバツが悪そうに『雪山組』に視線を送った。
そうか、俺たちの功績が掲示されるということは、『ヤーン隊』のやらかしが晒されるんだ。いくら教訓に残すためとはいえ……。
「俺たちのことなら気にしないでもらいたい」
同情の空気を察知した『雪山組』のグッター組長は苦笑いだ。
「君たちには本当に世話になった。どうあれ晒される身内の恥だからな」
続く言葉で、どうせ今更であることを思い知らされた。
俺たちに功績があろうとなかろうと、『ヤーン隊』のしたことは組合から通知される。もしも一年一組がいなければ、目の前で俯いている『ヤーン隊』の人たちは、ここにはいなかったかもしれない。
命と恥を選ぶだなんて、冒険者業界は厳しいなあ。
「君たちに特別貢献が入るなら、むしろ救われるくらいだ」
どこかサッパリした顔で、グッターさんは俺たちを見てからマクターナさんに笑いかける。
「そう言っていたけると甲斐があります」
グッター組長の言葉を受け止めたマクターナさんは、相変わらずニコニコしている。そこにはしてやったりの空気が……、あるような。
なるほど、俺たちだけでなく『雪山組』の人たちがいる場でこの話を持ち出したのは、『一年一組』にも恩恵があることをこの場で知らしめるためかもしれない。
ティア様が素材の補填を断るのを読んで、詫びの持って行き場を無くした『雪山組』の後ろめたさを少しでも払拭できるという寸法か。
「『白組』の行動も公開されます。『一年一組』の上げた成果を疑ったり妬むとしたら、それは二流のやることですよ」
笑顔でキツいコトを言うマクターナさんからは、自信が伝わってくる。冒険者に対する信頼、みたいな感じかな。
「わたしからは以上になります。何かある方はいらっしゃいますか?」
シメの言葉を述べたマクターナさんが周囲を見渡す。『雪山組』担当の事務員さんは黙って頷くだけ。
これで終わりかな。気疲ればっかりの話し合いだったなあ。
「『雪山組』からひとつ頼みがあるんだが」
完全にお開きムードになった会議室にウルドウさんの声が響いた。視線の先は俺たちに向けられている。
「なんです?」
ここにきてまだ何かあるのかと、委員長は怪訝そうに聞き返す。
気付けば今さっきまで俯いていたフュナーさんたち『ヤーン隊』が顔を上げていた。しかもなんか、妙にキマった表情で。
まさかと思うがレベリング依頼とかじゃないだろうな。さすがにそれはやらないぞ。受けたとしたら『雪山組』がティア様に消される可能性まである危険な行為だ。それだけは阻止しなければ。
「こいつらと戦ってやってほしいんだ」
脳内で『雪山組』の拠点が大破炎上している光景が映し出されていたところで、ウルドウさんのセリフが耳に飛び込んできた。
ウルドウさんが顎で指し示しているのは『ヤーン隊』の人たちだ。戦えって?
「……どういうことですの?」
ここでティア様のカットインだ。さっきまでの上機嫌が嘘のように消え去って、開いた扇の上からお怒りの視線がウルドウさんに叩きつけられている。
ああ、ウルドウさんが硬直してしまった。
「落ち着いて、ティア。ウルドウさん、説明をお願いします」
怒れるティア様を中宮さんが宥めにかかる。
そんな中宮さんだって、しっかり目つきが鋭くなっているんだけど。
『雪山組』のグッター組長と向こうの事務員さんが驚いているけれど、アレは中宮さんがティア様にタメ口を使ったからだろうか。
「模擬戦ということですか?」
「すまん、言い方か。そういうことだ」
説明をしろ、と言いつつ中宮さんが先に確認をしにいけば、その声に石化から解除されたウルドウさんが慌てて頷く。
「こっちは十一と十階位ですよ?」
中宮さんが完全に探るような声色になるのも仕方がない。
あちらの『ヤーン隊』は五階位と六階位だったはず。人数を揃えたって瞬殺レベルの提案じゃないか。なんだってそんな話を向こうから持ち掛けてくるのか。
「コイツらに学ばせるためでもあるが、アンタらへの償いにもなるはずだ」
「わたしは誰かをいたぶって喜ぶ趣味はありません」
ウルドウさんのセリフに混じった、償いという単語が中宮さんには引っかかったのだろう。言い返した声が一段低くなっている。
「そちらなりに『一年一組』の強さを見せつければいい。迷宮を同行させてもらって思ったんだが、俺はアンタらが鬱憤を晴らして喜ぶような連中じゃないって確信している」
「そうだとして、わたしたちが対戦する意味がどこに」
「俺はアンタらが普通以上に戦えることを知っている。だけど、掲示しか見ていない連中はどうだろう」
「それは……」
ウルドウさんの言いたいこともわかる。
俺たち『一年一組』はいきなり登場した新参の組だ。
若造ばかりで、それなのに十階位以上で揃えられている。ペルメッダの出身ならば名が知られていて当然だし、どこかから流れてきた連中、たぶんアウローニヤの貴族出身と思われているはずだ。
アウローニヤに勇者が現われ出奔したなんていうのは与太話と受け止められるだろうし、俺たちだって没落貴族扱いというのは適切なカバーストーリーだと思っている。
つまり多くの冒険者たちから俺たちは階位はあるけれど、中身が伴っていないと思われているってことだ。
「今回の経緯を知った連中は、アンタらのことを運がいいと思うだろう。二流どころか一流でもだ」
さっきのマクターナさんの言葉を借りたウルドウさんのセリフには、真摯さが込められている。
「周囲は結果こそ認めるだろうが、運良く俺たちを救い上げる位置にいただけだと考えるかもしれん。実態は逆だ。アンタらは迷惑を被ったし、この上なく幸運だったのはこっちの方だ」
ウルドウさんの語りに熱が帯び始めた。
つまり俺たちは、たまたま転落事故に遭遇し、楽に救助して特別貢献をゲットした幸運者ってことか。
前半部分はその通りなんだけど、道中については楽勝だったわけではない。捨てた素材には目をつむるとしても、ティア様のレベリングも中途半端だった。
二十万点なんていう特別貢献はありがたいけれど、どちらかといえば俺たちにとっては損と感じているのも本当だ。
明確な収穫といえば『雪山組』や『白組』と知り合うことができたってところか。こっちはデカい。
「下に『白組』も来てるんだろう?」
「ええ。このあとを予定しています」
そこでウルドウさんはマクターナさんに話を振った。にこやかなままのマクターナさんはすんなり頷く。
ああ、ウルドウさんの狙いが分かってきた。
俺たちと『ヤーン隊』が戦うところをほかの冒険者たちに見せることで、『一年一組』がどれくらいデキるのかを知らしめろってことか。
「たむろしている連中もいるだろうな」
「手隙の組合職員も呼びましょうか」
『観客』を増やそうと、ウルドウさんとマクターナさんが言葉を交わす。ウルドウさんは真剣で、マクターナさんは楽しそうに。
「その、見世物にするのは、ちょっと」
ノリが良くなってきた二人に、中宮さんが狼狽えた感じで口を挟む。
見物人を募って模擬戦とか、俺たちの趣味じゃないもんなあ。
「わたしはやる価値があると思いますが、どうでしょう、タキザワ組長」
一年一組が積極的ではないと見て取ったマクターナさんは、最終的に滝沢先生の判断を仰ぐことにしたようだ。
「そちらは全員、ではありませんよね?」
「ああ、前衛の四人だ」
先生の問いに、ウルドウさんが答える。
『ヤーン隊』は男の人と女の人が三人ずつの六名で構成されたパーティだ。【聖術師】のフュナーさん、後衛系斥候となる【捜術師】の女の人は除外して、残りはたしか【剣士】系が三人で、【騎士】系が一人だったはず。
「全員が六階位だが、どうだろう」
「……鎧だけを着て、お互い素手で短時間。という条件でしたら」
「そりゃあ面白い」
一拍溜めた先生の解答はステゴロ勝負の提案だった。ウルドウさんがニヤリと笑う。
「乱戦はなしで、一対一を四組同時。それでどうでしょう」
「ああ、もちろんだ」
「こちらからは、そうですね……。田村君、藤永君、八津君、綿原さん。魔術無しで、いいですか?」
「うえっ」
「っす!?」
「俺、ですか」
「はい!」
名前を呼ばれた順番に、それぞれが声を漏らす。ポジティブなのが綿原さんだけなんだけど。
選抜したメンバーで、先生の思惑は見えてきた。
指南するなら先生や中宮さん、危なっかしいけどミアや春さんでいい。なんなら疋さんだって器用だし、防御重視なら佩丘や馬那もアリだ。
なのに後衛職の四人を選出して、魔術を封印とか……。【観察】はアリだよな? ダメとかだったら死ぬぞ、俺。
「受け続けろってことですよね?」
「はい。捌き切ってみせてください」
「攻撃にも牽制にも使いませんから、一匹だけ浮かばせておいても」
「それくらいなら」
どうして綿原さんはテキパキと確認ができるんだろう。しかもサメまで要求しているし。
「魔術を封じるって、どういう意味だ?」
「四人とも後衛職ですから」
「なっ!?」
俺たちの態度をみた『ヤーン隊』の隊長さんが訝しげに問いかけてきて、サクっとした先生の返事に驚きの声を上げる。
対戦相手な『ヤーン隊』の人たちだけど、フュナーさん以外はちょいオコモードだな。階位差があるとはいえ魔術を封じた後衛が相手っていうのは面白いはずがない。
ウルドウさんは綿原さんの戦いっぷりを筆頭に、ウチの連中がヤレることを知っているから、腕を組んである程度納得の表情になっている。
マクターナさんはもうニッコニコで、ティア様は邪悪に笑い、メーラハラさんは普段通り。この三人ならそういう反応にもなるか。
さて、俺たちの結成した『一年一組』が一般的な組と違っているところは、若さとそれに見合わない階位もあるが、後衛職の多さも挙げられる。
普通だったら『ヤーン隊』の様に前衛二に対して後衛一くらいが一般的だろう。パーティの規模が大きくなるにつれ、後衛の比率はもっと少なくなるはず。
ウチのメンバーは二十二人をひとつの隊として扱っているので、これまた普通の冒険者からしてみれば異例なのだけど、含まれる後衛職はなんと十人。ほぼ一対一なのだ。
迷宮で行動する際、後衛は守られるべき存在とされる。だからこそ一対一というのは異常な数字といえるのだ。攻撃に専念できる人がいなくなってしまうのだから。
そういう『一年一組』の特殊性は、新規立ち上げの掲示を見た人たちならすぐに気付いただろう。そして想像するのだ。二十二人がフルで戦うのではなく、後衛を少なめにした隊を構成してローテーションを組むのだろうと。
そこで先生はあえて後衛メンバーを戦わせることにした。
ウチの後衛職は守られなければならない存在ではなく、普通に戦えるのだと証明するために。
責任重大だぞ、これは。
鮫女な綿原さんと減らず口の田村、チャラ男な藤永が選ばれた理由は明白だ。後衛職でありながら【身体強化】を持っている。もう一人、アネゴな笹見さんもそうなのだけど、彼女は性格的にステゴロに向かない。だから次点で俺ってところなんだろうなあ。
弟系な夏樹がちょっと悔しそうだけど、お前は石を封じたらさすがにムリだよ。俺の応援をよろしく頼む。
「ジョウイチとはまだ対戦していませんが、残りの三人はわたくしと五分以上ですわよ? 後衛職と侮ると痛い目をみますわ!」
「俺、負けたんですけど」
「わたくしが死力を尽くしてやっとでしたわ」
ちょっと剣呑な空気になった場に割り込んできたティア様に俺は口答えをするのだけれど、そんなものは通じない。どうしてティア様はそんなに自慢げなんだろう。
「侯爵令嬢様と戦った……、だと」
ほら、今さっきまで後衛をぶつけられたと憤慨モードになりかけていた『ヤーン隊』のリーダーが、顔色を悪くしているじゃないか。
というかこの場合、勝ち負けではなくティア様とタイマンを張ったこと自体が大概なんだろうなあ。
「ヨウスケには泥を付けられ、ナギにはわたくし、流血を強いられましたわ」
「勘弁してくださいっす!」
「ちょっと、ティア様!」
いちいち扇で藤永と綿原さんを指し示しながら戦歴を並べるティア様だけど、それじゃあまるで俺たちが不敬の塊みたいじゃないか。
「な、なあアンタら。こ、ここ、殺さない程度で、頼めるよな?」
『ヤーン隊』の隊長がなんか言ってるけど、この人は俺たちを何だと思っているんだろう。
次回の投稿は明後日(2025/03/21)を予定しています。