第445話 冒険者によるカッコいい戦い
「やっちゃってください!」
「期待してるっす」
「応援してます」
「カッコいいとこ見てみたいかなぁ」
「『黒剣隊』がんばれ~」
広間に響き渡るのはクラスメイトたちの声援だった。
本気の声もあれば、ノリで言っているのもあるし、半ば悪ノリに到達しているようなのもある。
悪ノリとはいっても、どちらかというと中二的な方向で、初めて見ることになる冒険者の戦いに期待する意思はむしろ強いくらいだ。
まるで彼らの通るべき道だとばかりに一年一組の面々は左右に分かれ、そのあいだを『黒剣隊』が進んでいく。
頬を赤らめ、口元を歪め、目尻を下げて、そんな人たちがおそらく二体の丸太が待つだろう部屋を目指し、歩いていく。
「お前ら、いい加減にしてやれよ?」
「すみません、悪ノリです」
「……減点対象だな」
そんな光景を眺めるナルハイト組長と俺とのやり取りを聞いたクラスメイトたちの何人かが、慌ててこっちに向き直った。
「やべえ」
「マジ?」
「合格からのやっぱりナシって、すっごい効くんだけど」
顔色を悪くしたクラスメイトたちが急に小声になって、ボソボソとした呟きをこぼしている。
状況を察した『黒剣隊』の人たちの前進が止まった。これは気まずい。
「ナルハイト組長……」
「ごめんなさい。『黒剣隊』の人たち、カッコよくって」
だがそこは一年一組だ。ここで決戦兵器が投入された。
すなわち弟系カワイイ男子の夏樹と天使なロリっ娘奉谷さんが、ナルハイト組長のところにやってきて、そろって頭を下げたのだ。
誰かが差し向けたというわけでなく、自発的にそれができてしまう二人は立派だなあ。自立稼働ロボっぽいとか考えてしまう俺の心は汚れまくっているようだ。
「……合格取り消しって意味じゃない。悪ふざけはそこそこにしておけってことだ」
一歩後ずさり、ガリガリと頭を掻いたナルハイト組長が振り絞るような声で再度合格を告げてくる。
なんかこう、最早組長に同情してしまいたくなるな。
「ありがとうございます!」
ここはさすがに全員で礼をするところだろう。俺たちはいっせいに頭を下げて大声を出した。
これで余程のことでもない限り、再度のやっぱ無しは通らない。
「で、組長、俺たちはどうしたら」
こうなると困ってしまうのがフィスカーさんたち『黒剣隊』だ。
状況次第では再試験っぽく一年一組が出張るっていう指示もあり得る状況だし。
「お前らがやれ。派手にやっていいぞ。こいつらに冒険者の凄さを見せつけてやるといい」
「おう!」
「やったあ!」
ナルハイト組長の判断は『黒剣隊』の出撃だった。しかも俺たちに気を使ってくれたのか、派手にやれときたものだ。
夏樹と奉谷さんの効能は凄いな。
気合の入った『黒剣隊』の声と、一年一組の歓声が広間を満たした。
◇◇◇
「ぬあぁぁ!」
頭上から降ってきた丸太の本体をフィスカーさんが大剣で受け止める。
「やっべぇ」
「アレだよアレ!」
「大剣受けったらあれだよね」
それだけで俺たちは大興奮だ。とくに男子。オタ傾向が強い連中だけでなく、そういうのとは無縁な馬那や佩丘までもが高揚を隠せていない。
だってフィスカーさん、背中から抜いた大剣を片手持ちして、左手は刀身上部の腹に添えて、それを上に掲げる形で受け止めているのだから。
あえて切り込むのではなく、堂々と受け止める。さっきは綿原さんや古韮、野来が盾を使ってやっていたことだけど、やっぱり大剣でそれをするのを見ると、アガるよな。
あれこそまさに【重剣士】、大剣使いのあるべき姿だ。
微妙な一幕はあったものの、『黒剣隊』が先頭となって突入した広間には、ちょうど鉢合わせのように別の扉から二体の丸太が入場している最中であった。
そこから始まったバトルなんだけど、いちいち俺たちの若い心を高鳴らせてくれる展開ばかりだ。
いちおうの警戒はしているものの、戦闘自体は完全に『黒剣隊』にお任せで、俺たちはナルハイト組長と一緒になって遠巻きに見守るだけ。サポートに入る予定すらない。
「水よ。俺と共に」
広間にあった水路から水を呼び寄せた【水剣士】のヒアタインさんが、美味しいセリフと共に、フィスカーさんが止めた丸太の足元に走る。
「とうっ!」
ヒーターシールドと片手長剣スタイルのヒアタインさんは、すぐ脇の地面の上に水の幕を一緒に走らせ、丸太を支える根っこに切りかかった。妙に通る掛け声が小気味いいな。
「ねえ八津くん、アレって水に意味は──」
「あるよ」
「そう。あるのね」
「カッコいいじゃないか」
ヒアタインさんが水を根に飛ばしつつ、剣を振るっているところで綿原さんが俺に小声で確認をしてきた。
たしかにあんまり意味がないようにも見えるけど、ちょっとは本体揺らいだから。一センチくらい。
元々アレはたぶん笹見さんの『熱水球』と一緒で、小型魔獣の足止めでこそ効果が見込める技だ。今回のケースではたしかに意味は薄いかもしれない。
だけどね、綿原さん。ビジュアルイメージというのは大切なんだよ。ほら、ヒアタインさんが剣を振るうたびに水滴が飛び散る様が、とても綺麗なエフェクトには感じないかい?
「そっちの世界は難しいわね。わたしも『サメよ』とか言った方がいいのかしら」
小声でなんか呟いている綿原さんだけど、無理をすることはないと思う。耳が赤くなってるようだし。
ああいうのは魂の内側から自然発生するもので、外付けだと歪みが出るんだ。そういうのは、通が見るとわかってしまうんだよ。
というか綿原さんだってナチュラルに中二っぽい指示出しをすることあるし、素養はあると思うのだ。なので、ありのままに育てていけばいい。
「はっ!」
「よっと」
さてもう一体の丸太に対峙しているのは【速騎士】のシェリエンさんと【強弓士】のピドットさんだ。
上から落下してくる丸太をギリギリまで引き付けた二人は、寸前で左右に分かれる。
ズドンと大きな音を立てた丸太の脇から、ピドットさんの矢が飛んだ。ミアの様に胴体中央の急所を狙うのではなく、丸太の木質部分にコンコンと軽い音を立てながら複数本の矢が等間隔に突き刺さっていく。
「見事な技デス!」
「急所狙わないの?」
そんな光景をミアが絶賛するけれど、奉谷さんは首を傾げて疑問を呈する。
「それはさっきワタシがやりマシた」
「なるほど、二番煎じはしないんだ」
「あの連射と精度。見習わなくてはいけまセンね」
ハメられるなら戦いに二番煎じは大切だと思うのだけど、ミア的にはそうでもないらしい。
納得している奉谷さんも大概だけど、たしかにピドットさんの弓は正確だ。俺の【目測】で測れば、誤差は二センチに届かないのが見て取れる。
しかも走りながら射ているのだから、かなり高度な技術なのは間違いない。
だけどアレ、ダメージになってるんだろうか。
「行くよぉ!」
そしてピドットさんとは反対側に避けたシェリエンさんは、十メートル以上の距離を取った位置から丸太に向かって走り始めた。
この世界の人としては助走距離が長い気もするけれど。
「あ、槍投げ!」
「投げるのかよ」
俺の疑問は陸上部な春さんが解決してくれた。投擲と聞けばピッチャーの海藤も黙っていられないのか、二人そろってシェリエンさんの動きを見守っている。
「はあぁぁっ!」
踏み込みはたった三歩だった。背をのけ反らせ、手にする短槍を天に向けたシェリエンさんは、掛け声と共に急停止し、その反動で右腕を振り抜く。
普段の海藤が投げるボールに劣らずの勢いで、質量が十倍以上の短槍が物凄い勢いで丸太の急所付近に突き刺さった。
「すげえっ!」
「ねえ、海藤も陸上部入るなら、槍投げやったら?」
「ああ、やる。俺、やるわ」
野球は中学で終わりにして、山士幌高校では陸上部に入ることを決めていた海藤だったが、春さんの一声でその意思は強固なものになったようだ。いい逸話だなあ。
槍投げを始めたきっかけは異世界で見た光景だった、ってな。
だけどあの槍って、素人判断だけど遠くに飛ばすっていうより、攻撃力と命中重視になってないか?
「あちゃぁ、外したかぁ」
丸太に刺さった槍だけど、シェリエンさんの自己申告の通り、トドメには至っていないようだ。
すぐさまシェリエンさんは丸太に走り寄り、雑に、というよりダメージを広げるように自らの槍を傷を広げるように抉りながら抜き取った。赤紫の血が飛び散るが、笑顔のシェリエンさんはそれをものともせずに、そこから近接戦闘に入るようだ。
「凄いよっ! 逆手持ちだ! 逆手持ちナイフだよ!」
そしてこちらは野来の歓声だ。
たしかに【探索士】のギャルマさんは左手に逆手持ちでナイフを使っている。しかも片方の右手は順手の二刀。どこのマンガだ、それは。
ミアや疋さんあたりもたまにやっていたというのは記憶から消しておこう。本職冒険者がやっているからこそ意味があるのだ。
そんなカッコよすぎるギャルマさんなんだけど、丸太の周囲を走っているだけだったりする。たまに止まったり、速度を変えたり、低くジャンプをしたりしているが、基本両手ぶらりの忍者走りで駆け回っているだけ。
さっきのピドットさんの弓もそうだけど、迷宮の魔獣はヘイトコントロールが効きにくい。
魔獣は手近な人間の魔力をメインに、あとは音や視覚で攻撃するとされている。大ダメージを与えてくる敵をメインターゲットにはしないのだ。
なので少し離れた位置で祈るように長めのスタッフを掲げている【聖術師】のヒュレタさんに、攻撃は向かわない。
ギャルマさんもそうだけど、ヒュレタさんの行動も意味がありそうで無いんだよな。
つまり『黒剣隊』の人たちは実質四人で戦っているのだ。一年一組が五人、しかも内一人は後衛の綿原さんで十分戦えた魔獣なので、楽勝なのはわかっているんだけど。
「すげぇな、あの人たち」
「ああ。凄い」
「そうなの?」
古韮が呟き、俺が同意し、そして綿原さんが首を傾げる。
なんなんだろうな、あの人たち。もしかして『転生者』か何かじゃないだろうか。
俺側の人間のツボを押さえすぎなんだけど。
「普通ならフィスカーさんの大剣で一発だろ」
「シェリエンの槍でもそうだろうな」
「だけどあの人たちは見せてくれているんだ」
「あれが、冒険者の戦い……」
古韮と俺の掛け合いに綿原さんは無言になってしまっている。白いサメの動きがゆっくりになっているところを見ると、仲間に入れなくてちょっとしょんぼりってところだろうか。
構って上げられなくてごめんな。だけど今はもうちょっと、彼らの戦いを見ていたいんだ。
「おおらあぁぁ!」
一分ほど続いた戦闘は最終盤を迎えていた。
雄叫びを上げたフィスカーさんの大剣が丸太を真正面から唐竹割りにしていく。凄い光景なのだけど、急所は中央部だし、さすがに十三階位の力とはいえ刃は途中で止まってしまうに決まっている。
それでもなぜか、フィスカーさんはやり切った顔だ。
「終わりだ」
ダメージで動きを止めた丸太の急所に剣を突き刺したのはヒアタインさんだった。
意味なく水球が漂っているのが雰囲気を醸し出しているなあ。
「こっちも終わらせるよぉ!」
急所付近を抉られこちらもまた動きを止めつつある丸太に向かってジャンプし、胴体の上に降り立ったシェリエンさんは、意味ありげに槍を持った手で黒髪をかき上げ、そして真っすぐに突き下ろす。どうして本体の上に立ったのかは不明だ。
弓を下げたピドットさん、いつの間にか立ち止まって腕を組むギャルマさん、祈りを解いて微笑むヒュレタさんが、戦いの終焉に立ち会っていた。
戦いは『黒剣隊』の圧勝で幕を閉じた。だけどはたしてこれは、二層の丸太二体に十三階位が集まってやることだったのだろうか。
◇◇◇
「でだ。お前ら、どう思った?」
「カッコ良かったです!」
戦いも終わりあちこちに木片がばら撒かれた広間で、どこか疲れた様子のナルハイト組長が問えば、元気に夏樹が答えてみせる。
目をキラキラとさせた夏樹の言葉には一片の嘘も混じっていない。誰だってわかるくらいにだ。
「そ、そうか」
「はいっ」
ちょっとたじろぐ組長だけど、夏樹の返答はどこまでも真っすぐだった。
背後では『黒剣隊』の人たちが嬉しそうな笑みを隠し切れないでいる。
そこからはもう一年一組が『黒剣隊』に群がるようにして、素晴らしい戦いを褒め称えるターンだ。
「こんど弓比べデス」
「いいですね。是非」
ミアとピドットさんがお互いの弓を見せあい、笑顔を交わしている。
「あの槍凄かったす。俺もこんどやってみたい、す」
「そう? じゃあ教えてあげるよ」
海藤がシェリエンさんの槍を褒めまくっているけど、お姉さんキラーも大概にしておけよ?
「水で足止めしてから剣か。あたしもあやかりたいねえ」
「君は戦鎚か。熱水を扱えるのだ、俺より上手くやれそうだな」
笹見さんは【水術】使いとしてヒアタインさんにシンパシーを感じたようだ。
「綺麗な立ち姿でした」
「そ、そんな」
聖女な上杉さんは、本当に立っていただけのヒュレタさんのフォローに回る。
「勉強になりました」
「そうか? ナカミヤも両手剣だからな。伝わるものがあったら嬉しいんだが」
「マジカッコよかったです」
「最高でした!」
そんな中でも一番人気は、やはり大剣使いのフィスカーさんだった。
大真面目な中宮さんと、賑やかしで古韮やら夏樹やらが、おじさんを取り囲んで盛り上がっている。
「すみません、騒がしくなって」
「……若い連中は、ああいうのがいいのか。俺にはよくわからん」
ついていけなくて引き気味になっているナルハイト組長は藍城委員長が対応してくれるようだ。
ならば俺は。
「ギャルマさん、カッコよかったです」
「……そうか」
俺的に誰よりも凄かったのは斥候職のギャルマさんだ。あれだけ思わせぶりな行動をしておきながら、結局最後までなんもしてなかったよな、この人。
是非ともあやかりたい。
「はいっ。俺もそんな感じなので」
「……そうか」
そう、これからは俺も戦闘中に指示を出すだけでなく、何らかのアクションをするべきなのかもしれないと思ったのだ。
「行動で印象を変えられるなんて、考えてもみませんでした」
「……そうだな。動くことだ」
「はい!」
そのためにも俺は階位を上げて……、【身体操作】を取る必要がある。
決意を新たに、俺は盛り上がる広間を見渡すのだ。
何故か肩のすぐ近くをサメがゆらゆらと泳いでいた。
◇◇◇
「お前、丸太相手になにしたんだよ」
「……戦っただけだ。いいから受け取れ」
「仕事だからやるけどよ。こっちの兄ちゃんたちのは綺麗なもんじゃねぇか」
冒険者組合素材査定担当者さんとフィスカーさんとのやり取りは、なんともいえない空気を纏っていた。
最後の戦闘から一時間くらい、俺たちが地上に戻ってきたのは午後の三時くらいだったろう。冒険者たちが地上に戻るには、まだまだ早い時間帯らしい。
階段を上がり切ったところで待ち受けていた衛兵さんには無事を労われ、皆で胸を張って『出宮確認』に署名をし、そしてまずはとやってきたのが組合の素材受け取り場所だったのだけど。
「気にするな。コイツらが調子に乗っただけだ」
ナルハイト組長は諦め顔で担当者に事実を告げる。
俺たちが大盛り上がりをした『黒剣隊』と丸太の戦いは、当然前者の圧勝だったわけだが、得られた素材には難があった。
あちこちに斬った跡や穴が空き、四本の内のひとつは真っ二つという有様だ。
それに対して俺たちが持ち込んだほうは、使いようのない根っこと急所にだけ攻撃を集中させたのもあって綺麗な状態。
両者の差は明らかで、しかも綺麗な方を持ち込んだのが引率された側だったというのがこの居たたまれない空気の元凶だ。
さて、話を真面目路線変えて、この場で査定される素材についてだが、ここで組合ルールが発動される。
まず『黒剣隊』が持ち込んだボロボロの木材だけど、状態が確認された上で査定料金という名目で一割が引かれた金額が支払われることになる。
この一割が、あの『貢献点』に加算されるのだ。今回のケースだと『黒剣隊』と『オース組』の両方にとなる。普段の活躍からすれば微々たる金額なのだろうけど、それでも功績は功績だから。
対して俺たちは一般人のお客様だ。
持って帰っても仕方ない素材、今回は木材とウサギになるのだけど、こちらもここで査定に出すことはできる。というか、基本的にはしなくてはならない。一般人は原則持ち出し禁止。それが組合の決め事だ。
しかも受け取れる金額は査定額の一割。そう、一割なんだよ。
俺たちは冒険者ではないので、貢献もへったくれもないし、点数も関係ない。
一年一組にとっては関係ないけれど、冒険者同伴の一般人なんて、普通はレベリングとして潜ることになる。よって持ち帰られる素材は大した量にならないし、九割抜かれるのも必要経費の内側だとされているのだ。一割もらえるだけでも喜べということなんだとか。
がめついよな、冒険者組合。
ここでやっちゃいけないのは、レベリング対象者が倒して得た素材を、冒険者側が貢献点狙いで提出する行為だ。たとえ冒険者がどれだけサポートしたとしても、それはご法度とされている。
もちろん常に監視の目があるわけでもない自己申告なので、そこは信義によって運用されているのだとか。
ただし完璧なまでに厳格な決まりかといえばそうでもなく、たとえば今回の場合──。
『初のペルマ迷宮記念なんです。自分たちで倒したコレを、今晩の食材にしたいと思いまして』
なんていう風に上杉さんが聖女の微笑みで申請すれば、記録には残る形になるけれど、お目こぼしをいただける。
この辺りは査定者の胸先三寸な部分もあるらしいが、そういう人情味も有するのが組合という組織らしい。
レベルアップ記念に素材の欠片を持ち帰りたいなんていう案件はそれなりにあるらしく、今回は俺たちの若さもあって、むしろ微笑ましい事例として受け止められたようだ。
こうして目出度くタイ七体は俺たちの所有物として認められることになった。
「さて、風呂に入ってマクターナに報告だ。その頃には査定も終わってるだろう」
「はーい!」
なんとも情けない表情をしていたフィスカーさんが気を取り直すようにそう言えば、俺たちは元気に返事をする。
こうして初のペルマ迷宮は短時間で、しかも二層までではあったが、それらしいトラブルに見舞われることもなく無事に地上に帰還を果たすことができたのだった。