第427話 曰く付きの拠点
「ペルメッダのみなさんが僕たちを正しく評価してくださっているならば、それに応えるのは当然ですよ」
「言うではありませんか、マコト・アイシロ」
「リンパッティア様風に言えば、驚く顔が見たかった、ですね」
結局は応対をするハメになった藍城委員長だけど、一年一組の総意を受けて期待のとおりにリンパッティア様を煽っていく。
アウローニヤを去る時に勇者ムーブをしていたけれど、こんどはやれやれ系ってところだろうか。実に自然体でそれをやってのけるのが委員長らしい。
主人公体質だけど、苦労人だよな。こんなにやかましい連中の代表を張り続けているんだから。
「ならばメーラ」
「はっ」
リンパッティア様がメーラハラさんに声を掛ければ、少し間をおいて四枚の紙がテーブルに乗せられた。サイズはA3よりも大きいくらい。
チラっと見えたけど、十枚以上ある紙の束だったな。どれだけ用意してきたのやら。
ところでさっきからメーラハラさんって同じ単語しか口に出していないけど、ホント、どういう人なんだろう。
「八津、出番だよ」
テーブルに置かれた資料を見て、それを精査するのは俺の役割らしい。指名してきた委員長のみならず、クラスメイトたちが俺の力を求めているならば、やぶさかではない。
昨日の侯王様とは口でこそ対決したが、せっかくなのでリンパッティア様には能力も……。すっかり俺たちって見せびらかし系になってるな。
どうせあちら側には全部バレているようだし、いまさらではあるのだけど。
まあいい。眼前の綿原さんが何か期待したような視線を送ってくれるなら、ここはひとつ、俺の芸を見せてやろうじゃないか。
地味だけどな!
お誕生日席からクラスリレーで一番下座な俺の前に届けられた四枚の紙。
ブツは予想どおりに邸宅の間取り図だ。ご丁寧にフィルド語で寸法まで書かれている。ペルメッダはアウローニヤから分離してできた国なので、単位が共通なのが助かるな。
さて、やるか。
「これとこれは除外で……、こっちはいい感じなんだけど、キッチンの形はどうなのかな。佩丘、見てくれ」
「おう。よこせ」
要した時間は五秒くらいだっと思う。
四枚中二枚を除外して残り二枚になったうち、良さげだけどキッチンが横長な方を副料理長の佩丘に回す。料理長の上杉さんじゃないのは、単に座席の位置関係だ。
「除外した二つの物件、理由を聞かせてもらっても?」
怪訝そうな表情でリンパッティア様は上座から睨むように俺を見ていた。
「えっと、個室が多すぎるんです。二階なんてほとんど全部ですし、その分ほかが小さくなっていたので。さすがに壁を壊すのはマズいですよね?」
「……なるほど、『地図師』の本領といったところですわね」
なるだけ当たり前を装い返事をする。心の中ではドヤっているけどな。
扇で口元を隠したリンパッティア様がじっと俺を見ているけれど、気にもしてない風に説明してみせる。
やったぞ、俺。地味だけど、頑張った。【思考強化】と【一点集中】をぶん回したもんなあ。
何故か俺のすぐ傍で屋敷の間取り図を覗き込んでいる白いサメがいたので、さらに元気に戦えたよ。
ちなみに時間を使えば、というか五分もあれば、副官ポジの奉谷さんや白石さんも同じ結論を下すだろう。選考基準が一緒だからな。
単なる時間短縮芸なんだよ、これ。委員長が俺に回してきたのも、そういうフリだったんだろうし。
この世界の地図がどれだけアバウトだからといっても、建物の間取りすらデタラメってことはないだろう。それを信じれば、除外した理由は簡単で明白だ。
基本的に集団生活を送る一年一組としては、個室だらけの物件は却下。使いもしない部屋が増えて、埃が溜まるだけになる。そんなのは美化委員の笹見さんが許すはずもないから、負担をかける一方になるだろう。
ましてやそういう構造のせいで応接室やホールならまだしも、俺たちが重視する談話室や食堂、風呂なんかが小さくなっているのは問題外だ。
その点、残りの二つは悪くない。
佩丘に回した方は上から見ればH字形で、一部二階建て。メインの生活は一階で、二階は客間ってところだろう。
もう片方はロの字形なので、周囲から中庭を覗けないないのが利点かな。こちらは事実上の平屋で、一部に二階はあるけれど、ほとんど屋根裏部屋みたいな構造だから倉庫として使えそうなのが面白い。
両方に共通しているのはそこそこ大きな、たぶん会議室みたいなのが複数個あるのと、大きめの風呂があることだ。
会議室なんていうのは俺たちの場合、食堂でも談話室でも兼用できるし、そこを男女別のデカい寝室にできるのがいい。
H字の方は裏庭で、ロの字の場合は中庭を訓練場にもできるだろう。うん、夢が膨らむ。
気になるのは両方の建物にしっかり隠し部屋があるってところだけど、どんな由来なのかな。
五十人くらいは生活できそうな物件をいくつも紹介できるって……、考えてみれば、すごいことなんじゃ。
「コウシ・ヤヅ。シュンペイ・ハキオカ。右上の番号を」
「七番です」
「三番だ、です」
俺が首を傾げ、みんなが間取り図を覗き込んでいるところに、リンパッティア様からナチュラルに命令が飛んできた。
俺と佩丘がそれぞれ返事をすると、リンパッティア様はいやらしい笑みを浮かべる。ああ、これってろくでもないヤツだ。
「勇者はいい趣味をしていますわね。ハキオカが見ているのは『アウローニヤ大使』の私邸ですわ」
「なにっ!?」
「ああ……」
とんでもない単語を聞かされた佩丘が驚愕の表情を見せ、ついでにスメスタさんがテーブルに突っ伏しかける。
「そもそもペルメッダからの貸し出しですわよ? 大使なら大使館に住まうものでしょうに、アレときたら……、ねえ、スメスタ・ハキュバ?」
「……実はその、僕たちもそちらの物件を紹介するつもりでいまして」
「おほほほっ。気が合うようでなによりですわ」
ついに悪役令嬢の高笑いをいただけたが、スメスタさんとても疲れた表情になっている。
「えっと、スメスタさん?」
「こちらの大使が公金を使って私的に借り上げていた住まいなんです。住人は全員拘束していますので、今は誰もいません」
俺の問いかけに歯切れ悪くスメスタさんが答える。リンパッティア様が現れてからずっと、カッコ良さが台無しだな。
こういうのって俗に言うバッティングとかブッキングってことになるんだろうか。
とはいえ、そもそもは俺たちの要求が問題だったのは自覚できている。
さっきメーラハラさんが多数の中から四枚を選抜した基準がどこにあったかといえば、たぶん治安だ。そしてそれは俺たちがスメスタさんにお願いしていたことでもある。
さっきリンパッティア様にクラスメイトたちが投げつけた要望は、悪乗りに近い。とくに後半部分。口火を切ったのが上杉さんと綿原さんという真面目な二人の要望は真っ当だったのだけど、そのあとに続いた連中がなあ。
で、ある程度箇条書きにしたものはスメスタさんに渡っているのだ。もちろん野球場や陸上のトラックなんてのがあるわけもないヤツが。
「条件を満たしていて、アウローニヤ側から提案しやすいのが、その……」
「契約が半年近く残っていますものねえ。有効活用したくなるのもわかりますわ」
スメスタさんの並べる言い訳にリンパッティア様が被せる。
これ絶対ワザとだ。ペルメッダ側からの意地の悪い責めは続いていたのか。さすがは悪役令嬢、やってくれるぜ。
俺たちの要求したことは二十二人が同じ屋根の下というのは当たり前として、大きな風呂、キッチン、食堂、屋内訓練場にもなる談話室、男女に分かれて就寝できるような大部屋、倉庫、出来れば隠し部屋ってところか。
いかんせん俺たちはアウローニヤから離宮を渡されていたわけで、そういう生活に慣れ切ってしまっている。
アウローニヤの王城は水が溢れていたけれど、ペルメッダの首都、ペルマ=タではそうもいかない。いちおう街の中央付近に川が流れているが、風呂文化については公衆浴場が基本になるらしいのだ。
そしてなによりセキュリティが問題になる。
となれば選択肢は狭まるし、該当する物件は必然的に内市街でも城の近く、言い換えれば官公庁や貴族街の辺りしかなくなってしまう。
ペルメッダの冒険者組が持つ拠点はピンキリだ。
成功している組は貴族街にホームを持っているようだし、要は金と信用、もしくはコネさえあればいいだけの話となる。
『悪目立ちとバーターだね』
などと言ったのは委員長だったか。
まだ冒険者にもなっていない俺たちが、いきなり勝ち組と同じレベルの拠点を持つというのは、やっかみを買う可能性をはらんでいる。
だからといって宿屋暮らしというのも危ないし、狭くて設備の悪いところに拠点を構えるというのもはばかられたのだ。いつまでもアウローニヤ大使館のお世話になるのも体裁が悪いしな。
なにより念願の拠点だ。あえて表現を変えればクランハウス。
そして俺たちは金持ちなのだ。
もともと俺たちが大量に持ち込んだ報酬の多くは、実はこの拠点を得るために使う予定だった。
ならば使うしかないだろ。
立派なクランハウスを求めるオタ組と、これまでの生活水準を落としたくないワガママ連中、さらには安全面を考慮する慎重派などを合わせると、これに反対するヤツはひとりもいなかった。
俺なんて三つの条件を全部希望していたくらいだ。
幸いというかなんというか、ペルマ迷宮の冒険者事情は『四層で安定』していれば一流とされている。五層に到達できるのは頂点だな。
つまり俺たちはちゃんと調べ物をして、いつもどおりに万全の態勢で挑めば、そう遠からず一流に手が届くのだ。
なんかフラグっぽいのはさておき。
初手SSSランクとまではいかないが、最速Aランクってところだな。
稼げる冒険者になってやろうじゃないか。
◇◇◇
「……僕たちの要望が多かったというのは自覚しています。それでその、スメスタさん」
「なんでしょう」
「その屋敷で血が流れていたりは……」
「していません。それは間違いなく保障します」
委員長がスメスタさんに念を押す。
大使本人は大使館で勤務中に捕縛したとしても、私邸には家族やら使用人がいたわけで、当然そっちにも手を伸ばす必要があった。
ただそちらの方はあっさり降参してくれたらしく、しかも使用人の中にはスメスタさんたち女王派まで紛れ込ませていたようだ。やるじゃないか。
ありがちな展開では、せっかく手に入れたクランハウスがオカルトだったなんていうのもあるが、そういうのはゴメン被る。
ただでさえ日常的にサメやら石が飛び交うのだから、一年一組としてはそれだけで満足できるから追加は必要ないのだ。
「アウローニヤとペルメッダ、両方の顔を立てるという意味では、僕はいいんじゃないかと思うよ?」
「良い判断ですわ、アイシロ。内覧は必要ですわね?」
「ええ、できれば」
流れはすっかり旧大使私邸になっている。いやらしい笑みでしてやったりの表情をしているリンパッティア様は実に悪役令嬢だ。
ちなみに俺の目の前に残っている、つまり佩丘に渡さなかった方なんだけど、二年くらい前に悪事がバレて処された男爵だとかの私邸だったらしい。
こちらは本当に流血騒ぎが起きたようで、紛れもない事故物件ってヤツだ。却下だよ、却下。
つまりはもはや選択肢が無くなったと言っても過言ではない。
周囲のクラスメイトたちも諦めと納得が混じった表情になってるし。
「じゃあ午後の予定を変更して、拠点を見学ってことでいいですか? スメスタさん」
「ええ、すぐ近くですし、問題はありません」
「そのあとで……、この場合はどちらと契約になるんですか?」
これからの予定の変更をスメスタさんに申し出た委員長は、そこで首を傾げた。
「アウローニヤからの貸し出しでは不都合になるでしょう。一度ペルメッダにお返しして、そこから勇者のみなさんに、でしょうね」
「又貸しは看過できませんわね。ましてや相手が冒険者など、問題外ですわ。お情けで残り半年分の貸し出し金は全額は無理でも……、そうですわね七割返金してあげますわよ?」
「……感謝いたします」
「おほほほほっ。我が国とアウローニヤは友好国ですもの。当然ですわ」
リンパッティア様が黒すぎて胸が熱くなるな。スメスタさんには申し訳ないけれど、やっぱり悪役令嬢は最高だ。
スメスタさんとしてもバッティングしていた段階で見えていた展開なのか、少しでも資金を手に入れたいってところなんだろう。
使いもしない私邸なわけだし、一年一組に筋を通した上で、たとえ七割でも手元に返ってくるのはありがたいようだ。
ペルメッダ侯国は元がペルメール辺境伯領がそのまま独立して国となったため、領地の全てが侯爵家のものとなる。古くからその土地を拝領している地方領主などはいない。
言い換えれば全てが国有地ということになるだろう。
この国に住まう人は、ペルメッダから土地を借りているだけだ。扱いは外国となるアウローニヤ大使館ですら、法律的には土地を貸し出していることになるらしい。
とはいえこれがペルメッダ侯国の特徴とは言いかねる。アウローニヤだって土地を持っているのは王家を除けば地方領主のみだし、ウニエラ公国は国土の半分以上は公爵家のモノらしい。地方領主にしたところで、慣例的に自分の土地だと言い張っているが、法律的には全部を国で接収できるのだとか。反乱が起きるらしいけど。
帝国や魔王国はよくわからない制度になっているようだし、聖法国に至っては全て教会が所有しているんだとか。
聖法国のラスボス化が留まるところを知らないな。
なんにしても、日本の様に一般人が自分の土地を持つような世界ではないということだ。
まとめれば、今回の物件はアウローニヤからペルメッダに返還されてから、俺たち一年一組に貸し出されることになる。
そこで国に対する土地のレンタル代と建物の賃料が発生する、と。
「僕たちの場合、できれば短期の契約が望ましいのですが」
「あら、長く住み着いてくださっても構いませんのよ?」
「いえ。さすがにそれはちょっとお約束できません」
「残念ですわね。ではとりあえず半年ということで……」
こういう話になってしまえば委員長が立ち向かうのはリンパッティア様だ。
いかにも商人の国らしいやり取りが展開されているけれど、頑張れ委員長。
とはいえ俺たちの持つ資金なんてのはRPGの後半感覚で、ぶっちゃけ捨て金だ。女王様からたくさんいただいてはいるけれど、帰還の目途が立てば記念に各自金貨一枚くらいを抜き取るくらいで、ほぼ全額をアウローニヤに返すつもりでいる。
「気持ちのいい金額にいたしましょう。一億ではいかが?」
「えっと、スメスタさん?」
悪い笑顔で指を一本立てたリンパッティア様のセリフを聞いた委員長は、スメスタさんにお伺いを立てる。
適正価格なのかどうかなんて、不明だもんなあ。
「八割ですね。なるほど、かなり良心的ですよ」
「そうですか。それなら良かった」
乾いた笑いのスメスタさんが言う数字に、委員長は納得の表情を浮かべた。
悪い話ではないんだろうな。一年一組には割引を掛けるけど、アウローニヤに返す金額よりは高くなる。ちょっとだけペルメッダの懐が温かくなって、俺たちには恩を売るってことか。
アウローニヤがちょっと痛いだろうけれど、いくらかでも返金されるだけマシなんだろう。
これもまたリンパッティア様による意地悪ということだ。
「さて、午後に内覧と決まりましたが、まだ時間がありますわね。昼食はここでよろしくて?」
「はい。用意させていただきます」
ふと切り替えたようにリンパッティア様の邪悪さが緩み、高飛車だけど柔らかめな口調でスメスタさんに問いかけた。
昼食を集ると公言しているようなものだけど、そこは経費の範疇なんだろう。
さすがに物件を見ないままでの契約はあり得ないので、この場でサインとはならない。
旧アウローニヤ大使私邸の間取り図は、クラスメイトたちにパスされながら皆に閲覧されている。キッチンについては佩丘も問題ないと判断した様子だし、身内で揉める要素はないと思う。大丈夫だよな?
とはいえ昼まではまだ一時間くらい残されているわけで、俺たちはこのままリンパッティア様と会話を続けることになるんだろうか。
楽しそうだけど怖いなあ。
「ならばショウコ・タキザワ。中庭で手合わせでもいかが?」
そうくるか。そういえば武闘派悪役令嬢だったっけ。
◇◇◇
「ですわっ!」
「しゅっ」
リンパッティア様の繰り出した変則左フックみたいなパンチを、中宮さんがギリギリで躱す。
「振りが大きいですよっ。魔獣相手なら有効でしょうけど、人には通用──」
「わかっていますわっ!」
「しっ。なるほど、今のは服装次第でアリです」
こんどは右の膝蹴りだけど、ロングスカートなだけに判別がしにくいのはそのとおりだ。
軽く右手を添えるようにした中宮さんは、リンパッティア様の膝を丁寧に逸らしてみせた。
騎士服で素手の中宮さんと、さすがにハイヒールからブーツに履き替えたものの、ゴージャスドレスなままなリンパッティア様の戦いはすでに十分以上が経過している。
『ウチの中宮がお相手します』
挑戦を受けた先生は、対戦相手を中宮さんにパスした。
さもありなんだ。なにしろ状況を見つめる中宮さんの目つきが物凄いことになっていたからな。先生の判断は全面的に正しかったと思う。
話題が拠点の時は会話をほぼスルーしていた中宮さんだったのに、先生が絡んだ手合わせともなると話は違ったらしい。副委員長なんだけどなあ。
というわけで中宮師範代がリンパッティア様に稽古をつけてあげているのが現状となる。
「いいよな、やっぱり」
「なびくドリル。いいよね」
「ああ、いいな。殴り系なのもいい」
順にイケメンオタの古韮、文系男子の野来、そして俺という異世界大好き男子の感想だ。
「カッコいい。素敵」
「碧もそっち側なのよね」
両手を胸の辺りに組んだ文系オタ女子の白石さんが、異世界バトルに感動の眼差しを向けて、横に立つ綿原さんはサメを浮かべて複雑そうな顔をしている。
「凪もこっちおいでよぉ」
「……努力はするわ」
「にっひひ~」
そのまた横からチャラ子で異世界モノを嗜む疋さんが茶々を入れた。
少し間をおいた綿原さんはため息を吐きながらも歩み寄りの姿勢だ。俺はいつでも大歓迎だよ、綿原さん。
片や男装ともとれる騎士服を着こんだ黒髪ポニーのサムライ美少女と、こなた深紅のドレスでロングスカートな金髪ドリルヘアーな悪役美少女のステゴロバトル。
それを見守るのは堂々と腕を組んだ先生をはじめ一年一組一同と、スメスタさんたち一部大使館職員、そしてリンパッティア様の専属護衛のメーラハラさん。
相変わらず目が死んだままだけど、これが本来なのか、それともリンパッティア様との付き合いの結果なのかは不明のままだ。
「ですわっ!」
「しゃうっ!」
攻めるリンパッティア様に対し、中宮さんはひたすら受け続ける。
コトが対人戦闘ともなると、中宮さんは大真面目だ。よって、リンパッティア様の攻撃は全てスカされている。
なのにどこかリンパッティア様が楽しそうなのが……、これもまたいいな。




