第397話 冒険者が居ることのできる場所を
「最悪の状況として南部を帝国との緩衝地帯として扱う覚悟をしています。引き抜けるだけの人員を集めてからにしたいとは思っていますが、帝国の手が伸びるよりはこちらが早いでしょう」
なんとも無情な女王様の言葉だが、そういう事態を武器として使うことでバルトロア男爵、つまり宰相の息子さんが白旗を上げて恭順してくれば、それ相応の扱いをするなんていう気もあるんだろう。
この人は、ありとあらゆる手段を使って人を取り込んでは、少しずつ味方にしてしまったのだから。
「南部の情勢についてはしばらく先の話です。では、みなさんも興味を持っている冒険者について、わたくしなりの考えをお伝えしますね」
かなり生臭かった南部の話題を切り上げて、ついに女王様が冒険者について語り始めようとする。
一年一組のメンバーが一斉に息を呑むのが音になって聞こえてくるようだ。高一に冒険者という単語は、やはり刺さる。
「まずは現状を申し上げましょう。王城内にあるアラウド迷宮は論外。南のバスラ迷宮では流民をむりやり冒険者登録し、即日徴発してしまうような有様です。西のフィーマルトはウェラル侯が組合に介入し、それに反発した職員を含めて冒険者は離散。この国では冒険者が冒険者でいられる余地は、あまり……」
改めて聞かされて思うのだけど、本当に夢も何もないな。南に至っては完全な法律の悪用じゃないか。
そもそも冒険者は国籍を持たないのに、そんな人間を国軍の兵士として組み込んでどういう扱いをしているのやら。
「現状のアウローニヤで即時に改革が可能だとすれば、北のラハイダラ迷宮くらいのものでしょう」
「ラハイド侯爵とベルサリア様、ですか」
ラハイダラの名を聞いて、昨日お会いしたインパクトのあるご夫妻の名を出した藍城委員長は、どこか納得した様子を見せた。
たしかにあの人たちなら独自で動いていてもおかしくない空気を持っているんだよな。
「中央に目を付けられない程度の規模で、元第二王女が嫁いだ先でのお遊び、という体裁です。お姉様主導だからこそお目こぼしを受けられている扱いでしたが、現状で三十人程度の冒険者を抱えているようですね」
中央と南、西がダメならと、本命と目していた北のラハイダラ迷宮では、なんと冒険者制度が維持されていたようだ。
すごいなラハイド侯爵夫妻。期待以上じゃないか。
とはいえ三十人となると、仮に一組六人パーティだとして五パーティか。ううん、なんとも少ない。
王国基準なら部隊よりちょっと多い程度で、戦隊を名乗る『緑風』よりも規模が小さいというのが、なんとも。
こんなのではクランとかはムリっぽいか。いや、チームラハイダラみたいな感じで三十人が団結しているなら。
妄想が捗るなあ、冒険者関連は。
「詳しい資料とかはあるんですか?」
冒険者がアウローニヤにいるとなれば、俄然オタクな古韮が前に出る。気持ちはわかるぞ。
「組合に関する資料はラハイド侯爵家で止めていたようですので、今この場では。ですが、ペルマ迷宮に習ったモノであるとだけは」
「なら俺たちがペルメッダで調べても変わらないってことですね」
「はい。皆様ならば、むしろより良き冒険者の在り方を示すのではないかと期待しています」
すげなく返された言葉にも、古韮はめげずにむしろ前向きだ。
で、女王様はなんともいい笑顔で一年一組を持ち上げる。俺たちは万能なナニカではないし、ラノベに登場する冒険者のお約束が通じるかもわからないのだけど。
いちおう古韮や野来が調べた資料には目を通しているから、冒険者という集団や組合がワリと真っ当だということは知っている。
それでも実際に出会ってみて、話して、具体的にどんな活動をしているか、そういうのは自分たちの目で判断しないと見えてこないものもあるはずだ。
迷宮の魔獣だってそうだった。俺たちが資料で読んだのと、迷宮で見たリアルが全然違っていたように。
日本にいた頃は、パソコンやスマホ、テレビなんかがあれば世界のどこだって見ることができて、それだけで体験していた気になっていたのを思い出す。
異世界に来て思い知らされることになろうとはな。
「現状を改善することは可能です。問題となっている『冒険者強制動員制度』、それを運用する側が強制動員を執行しなければいいだけのことですから」
俺が自分の小ささを再確認していても話は進む。
そうか、女王様の言うとおりだ。法で認められているからというならば、ルールに従って止めてしまえばいい。今回の場合なら、それができるのは──。
「直接の徴発は軍団長もしくは大隊長が行い、承認は軍務卿。それが規定です。実際の徴発段階では軍団長の背後にいる者の意志が強く働きますし、書類がまともに軍務卿まで上がってこない状態なのが嘆かわしいですね」
女王様がため息をひとつ吐く。
現在の軍務卿は罪人として捕まり、王都軍のゲイヘン軍団長が代理を務めることになっている。なのでゲイヘン軍団長が承認しなければ、この法律を盾にした徴用は止められる。ハンコを押さないだけでいい。
だけどそれ以前の問題が転がっていると女王様は言ったのだ。
王都、北方、東方、西方、そして南方に三軍ある全部で七つの軍団は、それぞれバックが存在している。建前では全ての軍団が国王の意志だけで動き、それをサポートをするのが軍務卿ということになっているが、とてもとても。
つまり悪の軍団が冒険者狩りをやりたい放題しているのがアウローニヤだ。どうしてこの国は法律の運用がろくでもない方向にばかり行くのかなあ。
とはいえ王都軍は『第三王女』のシンパと化していたし、北方軍はラハイド侯爵、というかベルサリア様が抑えているようなので、味方ですらその調子ということだ。
ある意味明確なバックがいない東方軍が一番真っ当なのかもしれない。
「ですので軍団単位で法の執行を抑え込みます。南と西はわたくしと軍務卿名義で通達を出し、これ以上の悪化を防ぎます。並みの軍務卿では軽く見られるかもしれませんが、ゲイヘン軍団長は軍部の重鎮。そうそう無下にはできないでしょう。その上で、まずは北を拡大していく方向で」
「あの、東には迷宮が無いし、南を諦めるのも……、わからなくもないです。西も捨てるっていうのは?」
アウローニヤの冒険者事業を北のラハイダラ迷宮だけに絞ろうという女王様の意見に、オタクな野来がおずおずと確認する。
その気持ちはわかるけど野来、さっきの説明で西がダメな理由が出てきていたぞ。相方の白石さんのメガネが冷たく光っていることに気付くんだ。
「西のフィーマルト迷宮は、冒険者が活動する組織体制自体が崩壊していますので。ウェラル侯に指示は出したのですが、時間が必要となるでしょう」
「あっ、そうでした。ごめんなさい」
「いえ、お気になさらず」
そう、西のフィーマルトは統括するウェラル侯爵がヤラかして、冒険者組合自体が消滅してしまっているというのはさっき出てきた。
女王様に同じようなことを二度言わせてしまった野来が恐縮しているが、せっかく迷宮があるのだから冒険者ギルド……、組合を作ればいいと思ってしまう気持ちもわかるんだよな。
俺だって国内にいるのがマズいという状況でなければ、西に行って冒険者ギルド立ち上げなんていうイベントに参加してみたいくらいだよ。
「現時点での優先順位ということです。一から作り直すとなると、時間がかかりますので」
「はい……、そうだと思います」
優しげな追撃の言葉を受けて、野来は素直に頭を下げる。
「ですがノキ様、だからこそ情報が重要になるとは思いませんか?」
「あ、はい」
あ、野来、お前たぶん女王様に変なスイッチを入れたぞ?
「さて、現状では下地のある北のラハイダラを大きくしていくのが堅実だと考えます。今でも完全とは言えないようですが北方軍をラハイド侯が極力抑え、意図的な申告漏れを出来る限り防ぎます。そして軍務卿代理はゲイヘン伯。わたくしも目を光らせれば、法を恣意的に運用して冒険者に手出しする者など、そうは現れないでしょう」
情報という単語から急に話題を戻した女王様は、アウローニヤ冒険者業界の立て直しの起点として、北のラハイダラ迷宮を選択したと事実上宣言した。
ここまでの説明で事情がおおよそ理解できたこともあり、クラスメイトたちも納得の表情だ。もちろん野来もそうなのだが、さっき食らった女王様のフリが気になっているようだな。まだ首を傾げているし。
ほかにも目ざとい連中が何人かいるし、委員長あたりは結論まで到達しているのかも。
「勇者の皆様方が冒険者となられるとして、国内のラハイダラで活躍していただきたい気持ちは大きかったのですが、やはり組織としては小さく、未熟。さらには帝国の圧力もあり得ます。それこそアウローニヤが勇者に『冒険者強制動員制度』を使うことを求め、身柄を確保することすら」
とても残念そうな表情で語る女王様だけど、帝国の圧力で自分の国の法律を悪用されるとか、酷い想定もあったものだ。そんなの通るのだろうか。
とはいえアウローニヤを離れることについて、俺たちはもう諦めというか納得している。
帝国の圧力やら、胡散臭い聖法国。さらには俺たち勇者を害することで女王様の権威を失墜させようとする国内の弱小勢力。
現段階での俺たちは、こんなところにいられるか状態なのだ。
よって俺たちがすぐにできることはふたつ。ペルメッダに渡り、ペルマ迷宮に潜って帰還のヒントを探すこと。もうひとつは手段としての力を手に入れること。
たとえペルマ迷宮で何も見つからなかったとしても、力だけは得られるだろう。
もしも帰還の門がアラウド迷宮にしかないとなれば、無理を押し通してもこの王城に入り込むくらいの圧倒的な力を得ればいい。
そうなれば、女王様をはじめ、ここに居る人たちは俺たちを迎え入れるための手段を講じてくれるはずだ。一年一組はそれを疑わない。
だからこそそんな信頼関係をこれからも……、あ。
「わたくしとしてもラハイダラの今後には期待しているのです。アウローニヤにおける冒険者再興の礎として。そこで何より必要となるのが──」
女王様の言わんとしていることに気付いてしまったせいで、なんか白々しい溜め方だと俺などは思うのだ。
「情報です。実際に運用してわかることもあるでしょうし、冒険者だけでなく、第三者の視点で気付ける点もあるはずです」
つまるところ、女王様が欲しがっているのは冒険者と組合、迷宮を組み合わせた運用方法。えっと……、ノウハウってヤツか。
そしてそれをとても重視しているのですよと、あからさまにする意味とは。それこそ野来のセリフをダシにしてまで。
「はい。報告書の提出は欠かしません」
全てを察した委員長が、苦笑を浮かべながらハッキリと言い切った。
◇◇◇
『こちらとみなさんのあいだで、情報の共有ができるようにしておきたいのです』
一年一組がアウローニヤを離れペルメッダに移動することが本決まりになった時点でアヴェステラさんから提案された意見は、実に真っ当で俺たちとしても大賛成なモノだった。
だってそうだろう。俺たちはアウローニヤと縁切りをしたいわけではなく、向こうだってそんなことは望んでいない。
もしかしたらシシルノさんあたりが、俺たちより先に帰還のヒントを見つけ出すかもしれないし、そうじゃなくても迷宮で新発見を、なんていう展開もありえるのだ。知りたいだろう、どうしたって。
「皆様からの報告はとても重要なものになるでしょうし、わたくしも個人として楽しみにしているのです」
そういう俺たちの想いはさておき、こちらを見渡しながら、女王様は恥ずかしげもなく語るのだ。
まさか目の前にいる女王様がラノベ展開みたいに委員長、藍城真にぞっこん、なんてことは……。
そこから巻き起こる、委員長の幼馴染にして副委員長の中宮凛を含めたドタバタラブコメ……。ないな。絶対ない。
女王様から伝わってくるのはそういうラヴいなにかではなく、勇者全員への敬愛だ。悪く言えば執着とも。個人に対してどうこうっていうのは全く伝わってこない。
ついでに中宮さんと委員長の関係は、むしろ相棒ってところだし。
俺と綿原さんもバディを名乗っているが、出来ればもう一歩進みたい気持ちはある。山士幌に戻ったら、俺……。なんてな。
「ペルメッダは物流の結節点。そこには当然情報も含まれます。この時のためではありませんでしたが、甲斐があったというものです」
「情報が大事だというのは、僕も同意します」
「アイシロ様にそう言っていただけると」
なんか俺の妄想を現実にしようとするような会話が展開されているが、二人ともが悪い笑みなのがよろしくない。
女王様の持つ情報網。アレを聞かされたのは初回か二回目かの来襲だったか。
ペルメッダ侯国を経由して、表立った国交の無い帝国とアウローニヤを結ぶ連絡路を女王様は作り上げた。
いちおう主権国家としてお互いを認めている以上、外交官こそ存在しているが、やっていることは白々しい情報交換ではなく情報収集、つまりは表立ったスパイだな。
ちゃんとしたと言ったら表現はおかしいが、対話形式でお互いに連絡を取り合おうとしているのは、個人レベルが関の山らしい。そのためにはコネと金と手間暇が必要だ。
たとえば宰相などは自分が脱出するために、帝国の皇族やら大貴族とパイプを持っていたのだとか。
で、女王様は帝国の第二皇子と繋がっている。
基本は女王様の息がかかった何人かの商人が手紙を持って移動するという形だ。
ペルメッダ侯国は西にアウローニヤ、東と南は帝国、そして北を魔王国という感じに四方を囲まれている。
アウローニヤ王国、帝国、魔王国はそれぞれ国交を持たないが、ペルメッダはその状況を利用して物流の中継点として栄えているらしい。冒険者産業との二本柱なんだとか。
やっていることは第三国を経由した密貿易みたいなものだけど、そうすることで全部の国が助かるのだから、そういう状況は良しとされているのだ。
帝国もアウローニヤも北の魔王国には手出しするつもりがないようなので、ペルメッダはちょうどいい緩衝国としても重宝されている。実に見事な立ち回り、ってことになるのかな。
繰り返すが俺たち一年一組は、間違っても魔王討伐とかは考えてはいない。フラグじゃないぞ。たぶんだけど。
「どんなことでも構いませんし、誰に宛てても問題ありません。当日の夕食の内容から、そうですね……、女性の皆様からの愚痴なども歓迎いたしましょう」
「それ、いいねぇ。たくさんあるしぃ」
わざとらしく砕けた女王様の物言いに、チャラ子の疋さんが乗っかった。実に疋さんらしいけど、なぜ俺をチラ見した。
話題にされないことを神様に……、聖女上杉さんに祈るとしようか。
「基本は七日に一度。符丁と印はお渡しします」
週に一度の文通というわけだ。合言葉と印鑑まで用意されるとなるとちょっとアガるな。
「もちろんわたくし以外の検閲はありません。逆に言えば、わたくしは全てに目を通すということになりますね」
「陛下、それではわたしがシライシくんと秘密のやり取りをできないではありませんか」
「諦めてくださいな、シシルノ」
完全な独裁者っぽいことを女王様が言い出せば、シシルノさんが冗談を入れてくる。
で、この場合の諦めるというのは検閲なのか、それとも文学少女な白石さん本体のことなのか。
ほら、白石さんが困った顔になっているじゃないか。それでもシシルノさんに構われるのはまんざらでもなさそうなのが、これまた。
王国の現状で重たくなっていた談話室に、ちょっとした笑いが響いていた。
◇◇◇
「わたくしの心情ばかりで申し訳ありません。やはりどれだけあっても語りつくすことはできないのでしょうね」
ちょっと寂しそうな女王様の表情が、言うべきことが終わったことを伝えてくる。
旅立つ前日の夜だ、雑談も大事だけど必要な情報交換の場であるべきだからな。
けれどまあ、委員長が上手いコトを言ってくれるだろう。
「今生の別れではありませんし、手紙は欠かさず送ります。それに僕は、ここが帰還の場所になるような気がしていますから」
「そうですね。ならばわたくしは、勇者の皆様方を迎え入れる態勢を作り上げるべく努力いたしましょう」
上手い話の持って行き方だとは思うけれど、なんか卒業式で進路が分かれた友達とのやり取りみたいだな。
同窓会でまた会おうとか、いつかは地元に帰ってくるんだろ、みたいな。
もしくは微妙に気になるあの子との別れとか。
「『この世界』にいる限り、わたくしは勇者の皆様方を決して手放すことはないでしょう。そのための手段は選びませんし、必ず喜んでいただけるようにいたします」
「身に染みていますよ。女王様なら僕たちを納得させるような形にしてくれると、信じていますから」
「努力をお約束します。王国の名と、太祖たる勇者様たちに……、などと仰々しい誓い何度もしてきましたね。最後くらいは素直にただの約束とだけ」
絶対に逃がさんぞという魔王のごとき女王様の重たい宣言は、軽い微笑みでまとめられた。
この人は謀略好きのヤバい存在ではあるものの、一年一組の利益をキッチリ守ってくれている。
俺たちがアウローニヤにいない間にも、女王様は野望のために動き続けるだろう。それと並行させて俺たちを迎え入れることが可能な国造りを実現してしまいそうな気がするのだ。
「それだと僕たちがどうやって返事をしたらいいのか、ちょっと困りますよ。僕たち一年一組も努力を怠らないと約束しましょう。それでいいですか?」
「その言葉こそ、まさにわたくしが期待するものです。そういう純朴さこそが、まさに勇者の証ではないかと思っているのですから」
困った顔で返事をする委員長だが、女王様は笑って流す。
というか女王様って勇者のやることなすこと、全部ポジティブに受け止めそうなんだよな。
この場にいる勇者担当者全員がそういうノリな気もするし。
「では陛下、わたしからも、よろしいですかな」
完全にお開きムードになった場の空気だが、そこにあえて乱入してきたのがシシルノさんだった。
女王様が半分終了宣言をしたというのに、ここで口を挟んでくるとはな。さすがとしか言いようがない。
「時間も遅くなりましたが、シシルノが言うならば重要なのでしょうね」
「ええ、とても大切なことですとも。そして、とても楽しい」
少しだけ呆れた顔の女王様だが、瞳には興味の色が浮いているような気がする。もちろんシシルノさんは実にいい笑顔だ。
「では。当面のあいだ会えなくなるだろう勇者の諸君に、問答をさせてもらおうかな。お互いに思い残しがあっては困るし、もしかしたらペルメッダに赴くことで解ける疑問だってあるかもしれない。それも含めて再確認だね」
「はい!」
そんなシシルノさんのセリフに俺たちは声を揃えて返事をする。
俺たちの対応に呆れた様子の女王様やアヴェステラさんたちだけど、とっくに知っているでしょう。一年一組はシシルノさんのこういうノリが楽しめて、付き合えてしまう面々なのは。
それにほら、ほかの人たちを差し置いてこういう会話ができて誇らしげにしながらも、どこか寂しそうなシシルノさんを見てしまうとな。
「問いかけようじゃないか。君たちがどんな答えを導き出すのか、それが楽しみで仕方がないよ」
そう、俺たちと離れ離れになるシシルノさんが言い出すことなど決まっている。
魔力と迷宮。どんとこいだ。