~消しゴムマニアを極めるチャンスと、安全な学校生活を天秤にかける少女~
<第11章都学園の5つの光(通称R5)>
体育館裏で膝をつき、震えている薫の脳内では、先ほどときわが行っていた言葉がぐるぐると回っていた。もし、ときわが言っていたように、R5の定期会議の議題にされることになっていたとすれば、薫はおそらく次のR5の定期会議があった翌日には、退学になっていただろう。そもそもR5とは、この学園の5人のモテ男のことである。全員例外なく家が「お金持ち」で、モデルや人気俳優顔負けの顔面偏差値。授業態度はともかく、成績が良く、スポーツ万能な集団である。彼らの正式名称は、「5Ray(5つの光)」なのだが、それを略して「R5」と、呼んでいるのである。(いまいちピンとこない方は、某人気漫画、「花より〇子」の、「F〇」のようなものだと思って下されば分かりやすいと思われます。また、「パクリじゃないか!」という感想は受け付けませんので、ご注意ください。(超失礼))そんなR5は、あまりにも人気があるため、R5直属のファンクラブが発足したのである。そのファンクラブは、その中でも「推し」のファンクラブに分かれており、普段は別々に活動しているのだが、月に一度、定期会議が行われ、それには、R5のメンバーと、各ファンクラブの会長及び副会長が参加する。R5の影響は絶大で、教師でさえ、R5の決定事項には逆らえない。なおR5は、この学園の伝統で、誰かが卒業又は他校に進学した場合、例の会議で新しいメンバーが選ばれる。現在は、前メンバーが全員、高等部卒業後に別の大学に進学したため、全員が同期で、なぜか同学年だ。(全員中1で選ばれた)そして、面倒ごとが起こらないよう、彼らは常にクラスが離れている。1組から順に、(丁度5クラスある)劉仙魁人、魅堂誉、姫城琉偉、弧慶悠夜、そして、天河久。R5の後継者は、定期会議で決まる。つまり、後継者に決まってしまうと、拒否権はないのだ。まあ、拒む男子はめったにいないのだが、久の場合はそうだったのだ。彼のファンクラブがあくまで「非公式」なのは、そのためである。(長ったらしい説明はこれで終わります。どうぞ、本文をお楽しみください。)
薫はさっきの姿勢のまま、葛藤していた。同じ消しゴムマニアとして、彼と意見交換をしたり、家に行って消しゴムを見せてもらうのは、消しゴムマニアとしてのスキルアップにつながるだろう。これまで以上に消しゴムのことを掘り下げられるに違いない。しかし、このままでは今回のような勘違いをする人が続出するだろう。なんせ、彼にとって不本意だったにせよ、R5として人気と注目を集める彼のことだ。そうなれば、火の粉は確実に薫に降りかかる。そして、平凡な薫は、それに対抗する手段を持ち合わせていない。
一時間ほど悩んだ薫は、ときわに相談してみることにした。皐希に相談するということも考えたが、皐希のことだ。自分で決めろの一言で一蹴されるに違いない。薄情な友人である。それに、ときわならば久のことをよく知っているはずだし、過激化しそうな女子を抑えられる唯一の生徒だ。明日には彼女に相談すると決めた薫は、ゆっくりと立ち上がり、帰路についたのだった。
やっぱり消しゴムが全然出てきませんね~。短編のつもりでしたが、まだまだ続きそうです。
これから長い間更新できないことが多々あると推測されますが、どうか見捨てないでやって下さい。
どうぞよろしくお願いいたします!!!