~薫、散々な一日の始まり2~
<第8章天河久のファンクラブ(非公式)登場其弐>
「はいいいいいいいいっ!?」
と、いう叫びがのどまで出かかったが、間一髪でそれを抑え込んだ薫は、手紙の文章を読み直した。
だが、悲しきかな。10度ほど読み返してみても、手紙の内容は変わってくれない。薫は、そうした一人脳内コント(なんじゃそりゃ)を乗り越えて初めて、驚きだけでなく、今まで生きてきた中で2番目の恐怖を感じた。ちなみに1番は、初めて恐怖映画「リ〇グ」をテレビで見た後に、単身赴任で滅多に帰ってこない父が帰ってきて、しかも、それに気付かずに寝ていた薫を起こしに来た父がメガネを外していたことで父だとわからず、おまけに光の加減でちょうど彼の目元が影になって見えないというタイミングの悪すぎる偶然が重なったことで、父を、悪霊「〇子」と勘違いして、自分の死期を悟ったことである。余談だがその時は、腰が抜けて朝まで動けなかった。(誤解は父が「ただいま」といった瞬間解けた)
そしてその恐怖は、素早く皐希まで伝わったようで、
「何があったの!?」
と、可愛らしい笑顔で迫られた。明るい茶髪(地毛)を、ハーフアップにしている彼女は、とてもとても可愛らしい少女だった。運動神経はまずまずだが、成績がとてもよく、特に国語の成績が神がかっている。それなのに結構気さくで、本をこよなく愛する彼女と、彼女ほどではないにしろ、読書家な薫が親しくなるのに、そう時間はかからなかった。故に、まだ新学期が始まって2週間目であるにもかかわらず、2人は気遣いの要らない会話をすることができているのだ。ちなみに、(要らない情報だとは承知の上ですが)薫の運動神経は0である。
(すいませんでした。本編に戻ります)さて、どこか楽しそうに、しかし逃げ道を完璧にふさいでくるという、超高度すぎるテクを使ってくる彼女に、誰がこんなん教えたんだろ…と、どうでもいい考えを巡らせつつも、別に隠すことでもないので、薫は金曜日の出来事から、洗いざらいすべてを話した。
皐希は一瞬目を点にした後、きっかり45秒、爆笑し続けた。
文章を少し読みやすくしたつもりです!ちゃんと読みやすくなってるかな…?