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~消しゴムマニアを極めるチャンスを現在進行形でものにしている少女4~

 第二十四章<日本の消しゴムコンテスト、本番開催3>


 そうこうしているうちにケシケシくんはステージの隅へと移動し、次の消しゴムが運ばれてきた。


 今まで明記されていなかったが、このコンテストは観客全員が審査員であり、出場する消しゴムが全て出揃ったところで採点表が配布される。そしてその採点表に、全ての消しゴムに点数を付けて提出することで、二次選考、三次選考へと進んでいくのだ。

 だが、何分膨大な数の消しゴムが集められているため、一つの消しゴムがセンターで輝ける(スポットライトを反射して)時間はほんのわずか。だから、後から採点しようにも、印象の薄かった消しゴムは、なかなか採点しづらい。

 写真撮影が許可されているのは、そのためだ。

写真という鮮明なデータを残しておくことで、採点効率は確実に上がるというわけだ。

 

 そんな風に進められる予定の消しゴム採点作業は、常人ならば、気の遠くなるような作業だっただろう。――常人ならば。

 

 しかしここは、選ばれた消しゴムマニアが集結した、(※除く、ときわ)そして日本を代表する消しゴムたちが集結した空間である。

 審査員、参加消しゴム共に、血で皿を洗う猛者たちが集う、正しく決戦と呼ぶに相応しいこの戦場。彼らは、消しゴムの審査を喜びと感じこそすれ、一時たりとも苦痛と感じるような者はいない。もしそのような者がいたならば、即座にどこかから取り出された斬鉄剣によって切り捨てられている。


 なお、ときわに関しては、自身の“推し”である久の趣味を同じ空間で同じように行っているという事実にこの上ない喜びと感動を感じている。そのため、採点も真面目に、気合を入れて行うつもりだということなので、今のところ問題はナシ。

 

 そうやって、次々と多種多様な消しゴムたちが次々に紹介されていく中――薫は何気なく、その地味で黒い瞳に、コンテストのプログラムを映した。

 

 そして、気づく。

 

 つ、次で一次選考最後の消しゴムじゃない!?

 

 ――最後の消しゴム。

 それは、一次選考のトリのことを指す。ということはつまり、あの伝説の消しゴムがついに――?


 思わず久の方を見れば、久も緊張した面持ちで、一つ頷いた。

 ときわに至っては、「久様の緊張した表情…美しい…!」と、会場の迷惑にならない程度に呟きながら、どこかから取り出した、音が出ないように合法的に改造されたカメラ(一眼レフ)で写真をひたすら撮りまくっている。なお、一眼レフを音が出ないように合法的に改造する方法なんてものは知りません。ですので、聞かないでください。

 

 ふと周りを見回せば、会場中が、さながら厳粛なカトリック教会のミサの最中のように静まり返っていた。

 会場中の皆(※除く、ときわ)が、“あの消しゴム”の登場を期待する中―― 


 「お待たせいたしました!いよいよ、最後の消しゴムの入場です!一度製造中止という危機にぶち当たったものの、不死鳥のごとく蘇った不滅の消しゴム兼、一次選考、ラスト消しゴム――shine!」

 

 とうとう、カーネ〇爺さんの口から、最後のエントリー消しゴムの入場が告げられた。


お、お久しぶりでございます…<(_ _)>

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