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~消しゴムマニアを極めるチャンスが目の前にやってきたことに舞い上がる少女5~

第十九章<日本の消しゴムコンテスト、開催其弐>

 「あ…なん、で?貴方(shine)が、いる(ある)、の?」

嗚呼。少女漫画ではきっと、この薫の台詞は恋人と再会したヒロインが、ポロポロと涙をこぼしながら言うのだろう。しかし、悲しきかな。これはあくまでひねくれたコメディーだ。ゆえに、「再会」した相手は、消しゴムなのだ。そして、薫の表情としては、ポカーンと口を開けて固まっているという少々間抜けなものだった。

まあ、薫としては、この再会に、少女漫画のヒロイン顔負けの感動と動揺を感じていることが救いだ。

クスッ。

いつの間にか薫の後ろには久がいて。何故か先程以上に嬉しそうな、笑顔の花(爆弾)咲か(爆発)せていた。

「驚いた?」

楽しそうに、久はそう、問いかける。

「…驚かない方が非常識なのよ。」

ややぞんざいな返答だったが、致し方無い。なにせ、薫は今、さながら嵐の中の波のごとく押し寄せる感動と動揺が溢れないように抑えることでいっぱいいっぱいなのだから。

「この消しゴムは、親父の会社からの出展なんだ。」

「…えっ?どういう、こと?」

薫は、困惑する。そもそも、この消しゴムの製造会社は潰れているのだ。

それなのに。何故、ここまで説明されていなかったが、日本の会社が自社の消しゴムを出店するコンテストに、販売停止になり、マニアとメルカリで法外な値段で個人売買されるのみになった会社というバックがつぶれた消しゴムが出場エントリーしているのだろう。

「天河グループって、潰れたことあったっけ?」

「ないわ!何をどうしたらその結論になるんだよ!?」

「いや、だってshineの製造会社って潰れてるでしょ?もしかしたらそこの会社って、何者かの陰謀によって天河グループの一社だということを内密にしたまま潰れてしまった哀れな会社だったのかと…」

「推理小説か!?そんなドラマチックなこと、ウチの会社でもそうそう起こらんわ!?」

「じゃあどうしてshineがここに出場エントリーしてんのよ!?」

(ちょっとお二人さん。あなた方、どこからどう見ても喧嘩してるカップル以外の何物でもないですよ。周りの五割は迷惑そうにしてるし、五割は、普段クールなキャラの焦った顔の尊さに胸を一万本の矢(所有者、自称愛の天使)が突き刺さっている始末です。特に、横にいらっしゃるもう一人のお嬢さんが

「ああ、尊い…今日のためにスマホの写真の容量を空にしておいて正解でした…笑う久様の破壊力は人気アイドルの比ではありませんが、焦ったお顔もまた…」

とか言いながら男性の方にスマホ構えて連写しているようですし、案内役の方もひたすら見惚れており、何かを妄想していらっしゃるようなので、どうにかしたほうがいいと思います。(by 通りすがりのゲイ、彼氏有り))

そんな忠告を通りすがりの人が胸に秘めていることなどつゆほども思わず、二人のやり取り(周りからしたらカップルの痴話喧嘩)は続く。

「俺が親父に頼み込んで、shineを天河グループの文房具会社で復活させたんだよ!」

久の爆弾発言(消しゴムマニアのみ有効)に、薫の目の前は真っ暗になった。


ゲイの方、ナイスツッコミ(`・ω・´)b

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