~消しゴムマニアを極めるチャンスと、安全な学校生活を天秤にかける少女2~
<第12章都学園の朝>
相も変わらず早い時間帯に登校した薫は、またしても早く来ていた皐希に、現在進行形で迫られていた。2日連続である。
「ねえねえ、昨日何があったのか教えてよ。もちろん洗いざらいね♪」
と、お約束通り笑顔で追い詰めてくる皐希に、
ならついて来いよーっ!と心の中で怒鳴りながら、薫は全てを話した。もちろんお約束通り、皐希はきっかり45秒笑い続けた。
「いや私マジで怖かったからね!R5の会議の議題にされるとか終わりじゃん!」
と言う薫に対し、
「だよねーっ♪」
とサラッと返してくる皐希。現在、薫の心には特大の矢が突き刺さっております。
「そ…それでね、天河君との関係を続けても大丈夫かを、お昼休み、南小路さんに相談しに行こうと思ってるんだけど…」
薫は痛みに耐えつつ、何とか言葉を紡ぎだしたが、
「あ、分かった。じゃあ今日のお昼は別々ってことで。だって絶対長引くもんね。」
と、返された。
「一緒に行くって選択肢は…」
「ない。でも、どんなことを話し合ったのかはぜひ聞きたい。」
またしても見事な一刀両断。ほんっとにこのキャラは色んな意味で期待を裏切らない。私が親友になった人って鬼だったのかなあ?と、軽い錯覚を覚えた薫は、のろのろと自分の席へと歩いて行った。もちろん、その日の授業に身は入らず、そのくせいつまでも続いてほしいと思った授業だったが、とうとうチャイムはなってしまった。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。嗚呼、チャイムの音の表現にここまで字数を使う作家はおるまい。いくらリアルなチャイムがキーンコーンカーンコーンを4回鳴らしているといっても、小説及び漫画では一回で十分だ。
誰か、どうでもいいことをほざいていますが、気にしなくて結構です。
さて、薫は重い腰を上げ、朝自分の席に向かった時よりももっとのろのろと立ち上がり、生徒手帳を片手に教室を出て行った。ドアを閉めるとき、チラッと皐希を見れば、満面の笑みでこちらを向いている。
「頑張ってね♪」
と、口パクで言ってくる彼女を睨んだが、皐希は少しも動じない。むしろ心なしか笑みを深めたような気さえする。
どうして消しゴムマニアだというだけで、こんなに心労を負わなければならないんだ!いや、天河君が同志だったことに関しては嬉しいんだけど!だからってR5で問題にしかけることあるのかよ!と、胸の内で文句を垂れ垂れ薫はときわの教室である3組へと向かった。
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